ギルドスレッド
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廃墟
家具の軋む音と、衣擦れ。足音。次いで取られた手に、彼女は相手が手を握ったことを理解した。呼吸の息遣いが少し上にあること、手の感触、声からして男性であっているのだろう。
「あ、ええと…ごめんなさい。どこかに行きたかったわけじゃなくて、貴方がどこにいるのかしら?って思ったのよ。距離が測れないから」
そう言って彼女は彼の手を軽く握り返す。それは振りほどこうと思えばできてしまうくらいに、ほんの軽くだけ。そうして彼女は彼の顔があると思われる方を見上げた。その際に、顔の向きが実際より少しずれてしまうのは致し方がないことである。
「ね、私としばらくお喋りしてくれないかしら?ここにどんなものがあるだとか、自分がさっきどこにいただとか、ここに来る前の世界の話でも。なんでもいいの」
「あ、ええと…ごめんなさい。どこかに行きたかったわけじゃなくて、貴方がどこにいるのかしら?って思ったのよ。距離が測れないから」
そう言って彼女は彼の手を軽く握り返す。それは振りほどこうと思えばできてしまうくらいに、ほんの軽くだけ。そうして彼女は彼の顔があると思われる方を見上げた。その際に、顔の向きが実際より少しずれてしまうのは致し方がないことである。
「ね、私としばらくお喋りしてくれないかしら?ここにどんなものがあるだとか、自分がさっきどこにいただとか、ここに来る前の世界の話でも。なんでもいいの」
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若干の暑さは感じるものの、大きく伸びた枝葉の影の恩恵は大きく、寝苦しくなるほどでもない。
綿が飛び出したせいであまりクッション性のないソファーの上で、一度、寝返りをうつ。
頬を撫でる風が心地よかった。
「……晴れ。空。……青……」
半ば寝ぼけながら呟いた端的な声は小さく、するりと空気に溶けて行く。
視界に映る枝葉の隙間の青空が、ひどく眩しくて、心地よい。
日に焼けない白い掌を、木漏れ日にかざす。ほんのりと、血潮が透けた。
・異世界からやって来て、ほんの数日。寝床を決めたばかりのある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎