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廃墟
「……廃墟だよ。苔生してひび割れ、草木に覆われ、樹木に侵食された場所。君みたいなのが、迷子で来るような場所じゃあ、ない」
相変わらず聞かせる気がなさそうな声で、身を起こそうともせず、端的な返答を。瓦礫もそこら中に転がっているから、本当に、相手のような女性が迷子で来る場所じゃない。
相変わらず聞かせる気がなさそうな声で、身を起こそうともせず、端的な返答を。瓦礫もそこら中に転がっているから、本当に、相手のような女性が迷子で来る場所じゃない。
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若干の暑さは感じるものの、大きく伸びた枝葉の影の恩恵は大きく、寝苦しくなるほどでもない。
綿が飛び出したせいであまりクッション性のないソファーの上で、一度、寝返りをうつ。
頬を撫でる風が心地よかった。
「……晴れ。空。……青……」
半ば寝ぼけながら呟いた端的な声は小さく、するりと空気に溶けて行く。
視界に映る枝葉の隙間の青空が、ひどく眩しくて、心地よい。
日に焼けない白い掌を、木漏れ日にかざす。ほんのりと、血潮が透けた。
・異世界からやって来て、ほんの数日。寝床を決めたばかりのある日のこと。
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎