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ギルドスレッド

廃墟

【RP】贄神と冬の風

 息が白い。
 廃墟暮らしにも随分慣れたけれど、隙間風どころか雨も雪も吹き込み放題の廃墟の中はさすがに寒かった。外気と大体同じ気温だ。
 いつもの寝床と化していた壊れたソファーをずりずりと暖炉だった場所の前まで移動し、火を焚いて、その温もりを感じながらなんとか過ごしている。
 廃墟の中で焚かれた火は、冷たい風に不安定に揺れた。

「……ちょっと、寒い……かな」

 は、とまた白い息を吐き出して、特異点だからと気にかけてくれたらしい商人に貰った毛布に包まった。
 もとの世界の地下牢では、辛うじて寝床と、格子の外に火は与えられていた。隙間風もなかった。
 神官達や信者達にとって、自分という存在はより不幸な身の上にしたいだけで、幸福の還元の為には寿命以外で死なれては困るのだ。暴力や策略は死なないように管理出来るが、病は管理出来ない。なら、病からは遠ざけておきたい。それが総意だったように思う。
 だから、この世界の方がその辺りは危ない。
 自分はこの世界の人間ではない訳で、うっかり風邪なんてひいたらどうなるのだろうとどうでもいいことを考えながら、ぱちぱちと薪が弾ける音を聞いた。
 寒い時期は採取した食べ物がなかなか腐らないからありがたいけれど、指が動きづらいのが困った。
 春は暖かくて美しい季節さ、とあの商人が言っていたから、早く春になればいい。


・辛うじて暖炉に火の入った、外気と大体同じ気温の廃墟の中で
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎
・その他、臨機応変

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・・・(探索途中に、ふと廃墟を見つける。彼、或いは彼女は立ち止まり、思考をする。
やがて、結論が出たのか廃墟へと向かう。)

……(中をそっと確認すると、廃墟にはあるはずのない「光源」に気付き、誰かが居る、又は居たと判断する。
一度この建物の構造を確認した後、警戒しつつ中へ入る。)
 ぼんやりと火に当たっていれば、不意に聞こえた物音。足音、だろうか。
 微睡みかけていた意識を引き戻すように、ゆるりと一度だけ瞳を瞬いた。
 こんな寒い日に廃墟に来るなんて変わったひともいるものだ、と自分のことを棚に上げつつ、もっふりと埋もれていた毛布から顔を出す。

「……誰」

 疑問符のない淡々とした問いかけをひとつ。
 男にしては高く女にしては低いその声は硬質で、まるで囁くように。
 声を張る気のない誰何は、相変わらず不親切だった。
(予想通りだと判断し、)

「・・・あ、ごめんなさい…。人がいるとは思わなくて…
私はただ適当に歩いていたら、ふと荒れた廃墟が目につき、不思議で気になっただけです。
ここはあなたの住居、でしょうか?」

(と、こちらも声を聴いた限りでは性別が分からない、
しかし何処か困惑したような印象を感じさせる声色で返答する。)
 誰何に返ってきたのは、謝罪と、己がここにいる理由を説明する声。
 何度か、瞳を瞬く。
 どうやら、変わり者はどこにでもいるものらしい。

「……別に、居住権は、ないけれど。住んでは、いる」

 端的な返答が、薪が弾ける音の合間に静かに流れる。
 居住権はないのに住んでいる。
 それは、身も蓋もない言い方をすれば、不法入居者という奴だ。
 まあ、幸い。近隣の住民に見られても訴えられたことはないけれど。
「……なるほど。──ということは、あなたはイレギュラーズ…ですよね?」

(ほぼ確信した声色で、しかし一応の確認の為に問いかける。
その表情はフードによって隠されており、口元までしか見えない。)
 問いかけの形で断定されると、またゆっくりと瞳を瞬いた。
 廃墟暮らしをしているだけで断定されるとは思わなかったが、間違いではない。
 とはいえ、目の前の相手の風体が怪しすぎて、素直に頷くのも若干躊躇われる。

「……なら、何」

 とりあえず、否定しないことを肯定の代わりにして、静かに問い返した。
(否定はしていない…しかし、肯定もしてはいない。だが…)
(一瞬判断に迷ったが、別の部分である程度予測する。)


「…いえ、実は私もあなたと同じウォーカーなのですが、
まだこの世界のことがよく分からず少し不安でして…。
なので、同じく召喚された方に出会えて安心しました。」
(口元に笑みを浮かべ、安心したような声色で返答する。)
 じ、と瞬きもせずに相手を見つめる左右異色の瞳。
 少しだけ手元の毛布を引き上げて、もふりと口元まで埋もれた。火を焚いていてもやっぱり寒い。

「……そう。これには、同じだから安心するという集団心理はわからない。……どうせこの世界で生きていかなくてはならない。なら、わからないことは、この世界の住人に聞けばいい。と、思う」

 けれど、安心したと言うのなら、よくはわからないけれど、おそらくいいことなのだろう。
 冷たい風が吹き込んで、壊れかけの暖炉で炎が頼りなく揺れた。冬、早く終わらないだろうか。
(…相手がウォーカーである可能性は7~8割と判断したが、合っていたようだ。)
(今までのやり取りから相手の思考・判断をさらに予測していく。)

「それは……そうですね。ただ、余り人と関わりたくないので…。」
(少し悲観的な雰囲気を持った声色で言った後、最後まで言わず切る。)


(風が吹いたことで一瞬フードが靡くが、左手でフードを深く被り過ごす。)
「…やっぱり外は寒いですね。
(そう言って、少し考えるような仕草をした後、)
…もしお邪魔でなければ、風が治まるまでの間だけここに居てもいいでしょうか?」
 ひとと関わりたくない。
 そう聞くと、1度だけ、不思議そうに瞳を瞬いた。
 自分に積極的に声をかけてきている相手から、そんな言葉が出て来るとは思いとしなかった、と言うように。

「……別に、好きにすればいい。ここは自分の所有している土地ではない、から」

 寒いと言う相手をわざわざ追い出したりはしない。
 が、ここも所詮は廃墟だ。
 ひび割れて崩落した場所からは容赦なく風が吹き込んでくる。寒さや風が凌げるかは、ちょっと怪しい。
「ありがとうございます…。」
(そう言って口元に笑みを浮かべ、比較的改善できる場所へ移動し、
フードは取らずにそのまま静かに休み始める。)

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