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廃墟

【RP】贄神の果物狩り初体験

 農園の一角。
 目の前には、それはもう元気よく走り抜けて行く果物の群れ。
 ……そう、走り抜けて行く、果物の、群れ。

「……?……動いた」

 果物って、動くものだっただろうか。もしかして、自分が知らないだけで動くのが当たり前なのだろうか。
 目の前の状況をまじまじと見つめる、左右異色の瞳。
 これがこの世界では普通なのかもしれない。なるほど、異なる世界というものは驚きに満ちている。
 しゃがみこんで長々と観察していたせいで、3度目までは通過を見逃した。あんまり見事な走りで、つい。

 そうして、4度目。

 目の前を横切った果物をわしっと無造作に掴んで、手にしていた籠に入れる。
 籠の中から出ようとする活きの良いそれを片手で押さえつつ、ことりと小首を傾げる。

「……どうやって食べよう」

 今度はそれが大きな問題だった。


・【爽秋の一時】みんなで楽しく? 果物狩り
 https://rev1.reversion.jp/spevent/result/18/25
 これをもとにしています
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎
・上記イベシナに参加した方でも、していない方でも歓迎
・その他、臨機応変

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 剥いてしまったから、これは食べきってしまおう。
 相手も取りやすい位置に暫定オレンジを差し出したまま、もう一房、ひょいと摘んで口に入れた。
 もぐもぐ。
 おいしい。
 そっと瞳が細められた。

「もとの世界は、知ってる人、いないから。……ここは、気楽でいい」

 詳しくは言わないけれど、これで天涯孤独かなにかだと思ってくれれば、それでいい。
 もとの世界の話もどちらかといえば言いたくない方だし、子供に聞かせる話でもない。
 だから、付け足したのは、この世界にいい印象を持っているという意味の言葉。この世界は、自分にとって天国のようだ。

「……食料調達?」

 同じようにことんと首を傾げて、端的な言葉を。
 連れて来られはしたが、金銭的補助や衣食住の保証はない。
 仕事がないから、金もない。金がなければ食料は買えないし飢える。
 だったら現地調達、というのが現状だ。

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