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廃墟
「……まあ、毒はないと言っていたから。それを信じるしかない、と、思う」
お互いに走る果物は初見なら、農園の持ち主の言葉を信じるしかないだろう。
流石に、子供に毒味をさせるというのもちょっとどうかと思う。
少しだけ微妙な間をあけて。
ぽい、とひとかけらを口に放り込んだ。
「……あ。普通に甘い」
咀嚼すれば、口内にあふれる甘酸っぱい果汁。
変な刺激もないし、しっかり味わってみたけれど目眩がすることも舌先が痺れることもなさそうだ。
ほら、と相手の方に果物を差し出しながら。
「自分は、丁度よかった。もとの世界に未練もとくには」
至極あっさりと。
そうだ。自分はもとの世界が嫌いだ。大っ嫌い。あの世界が滅びたって顔色ひとつ変えないだろう。ざまあみろ。そう言える。
が、それは目の前の相手に知らせることでもなし。ただどこまでもあっさりと、さっぱりした歯切れのいい言葉が、かけらの未練もないことを伝えるだろう。
お互いに走る果物は初見なら、農園の持ち主の言葉を信じるしかないだろう。
流石に、子供に毒味をさせるというのもちょっとどうかと思う。
少しだけ微妙な間をあけて。
ぽい、とひとかけらを口に放り込んだ。
「……あ。普通に甘い」
咀嚼すれば、口内にあふれる甘酸っぱい果汁。
変な刺激もないし、しっかり味わってみたけれど目眩がすることも舌先が痺れることもなさそうだ。
ほら、と相手の方に果物を差し出しながら。
「自分は、丁度よかった。もとの世界に未練もとくには」
至極あっさりと。
そうだ。自分はもとの世界が嫌いだ。大っ嫌い。あの世界が滅びたって顔色ひとつ変えないだろう。ざまあみろ。そう言える。
が、それは目の前の相手に知らせることでもなし。ただどこまでもあっさりと、さっぱりした歯切れのいい言葉が、かけらの未練もないことを伝えるだろう。
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目の前には、それはもう元気よく走り抜けて行く果物の群れ。
……そう、走り抜けて行く、果物の、群れ。
「……?……動いた」
果物って、動くものだっただろうか。もしかして、自分が知らないだけで動くのが当たり前なのだろうか。
目の前の状況をまじまじと見つめる、左右異色の瞳。
これがこの世界では普通なのかもしれない。なるほど、異なる世界というものは驚きに満ちている。
しゃがみこんで長々と観察していたせいで、3度目までは通過を見逃した。あんまり見事な走りで、つい。
そうして、4度目。
目の前を横切った果物をわしっと無造作に掴んで、手にしていた籠に入れる。
籠の中から出ようとする活きの良いそれを片手で押さえつつ、ことりと小首を傾げる。
「……どうやって食べよう」
今度はそれが大きな問題だった。
・【爽秋の一時】みんなで楽しく? 果物狩り
https://rev1.reversion.jp/spevent/result/18/25
これをもとにしています
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎
・上記イベシナに参加した方でも、していない方でも歓迎
・その他、臨機応変