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廃墟
「……オレンジ……?」
思わず胡乱げな声がこぼれた。
だって思いっきり走っていた。
が、甘酸っぱい香りは確かに柑橘類のように思える。
「この世界の果物はみんな走るのかと思った、けれど。そういうわけじゃなさそうだな」
寝床にしている廃墟の近くの森に実っていた木の実は走らなかったが、あんまり当たり前に元気よく走り回っているものだから、この世界ではこれが普通のなのかとちょっと誤解しかけた。
笑顔を向けてくれる少女に対し、申し訳ないほどの無表情は変わらないまま。それでも、纏う空気はただ静かで穏やかだ。
もとの世界についてを尋ねられると、一瞬だけ複雑な間を空けた。
「…………自分は、あまり、外のことは知らないけれど。魔導の発達した、この世界にも似通った世界、だと、思う」
神殿の外を知らない自分には、答えようがなくて。
けれど、瞳を輝かせる少女が失望しないように、少しだけ曖昧ながらに言葉を選んだ。
思わず胡乱げな声がこぼれた。
だって思いっきり走っていた。
が、甘酸っぱい香りは確かに柑橘類のように思える。
「この世界の果物はみんな走るのかと思った、けれど。そういうわけじゃなさそうだな」
寝床にしている廃墟の近くの森に実っていた木の実は走らなかったが、あんまり当たり前に元気よく走り回っているものだから、この世界ではこれが普通のなのかとちょっと誤解しかけた。
笑顔を向けてくれる少女に対し、申し訳ないほどの無表情は変わらないまま。それでも、纏う空気はただ静かで穏やかだ。
もとの世界についてを尋ねられると、一瞬だけ複雑な間を空けた。
「…………自分は、あまり、外のことは知らないけれど。魔導の発達した、この世界にも似通った世界、だと、思う」
神殿の外を知らない自分には、答えようがなくて。
けれど、瞳を輝かせる少女が失望しないように、少しだけ曖昧ながらに言葉を選んだ。
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目の前には、それはもう元気よく走り抜けて行く果物の群れ。
……そう、走り抜けて行く、果物の、群れ。
「……?……動いた」
果物って、動くものだっただろうか。もしかして、自分が知らないだけで動くのが当たり前なのだろうか。
目の前の状況をまじまじと見つめる、左右異色の瞳。
これがこの世界では普通なのかもしれない。なるほど、異なる世界というものは驚きに満ちている。
しゃがみこんで長々と観察していたせいで、3度目までは通過を見逃した。あんまり見事な走りで、つい。
そうして、4度目。
目の前を横切った果物をわしっと無造作に掴んで、手にしていた籠に入れる。
籠の中から出ようとする活きの良いそれを片手で押さえつつ、ことりと小首を傾げる。
「……どうやって食べよう」
今度はそれが大きな問題だった。
・【爽秋の一時】みんなで楽しく? 果物狩り
https://rev1.reversion.jp/spevent/result/18/25
これをもとにしています
・入室可能数:1名
・どなたでも歓迎
・上記イベシナに参加した方でも、していない方でも歓迎
・その他、臨機応変