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月見酒の縁側

公開版・文字の貼り場

SS貼り場やチラシの裏に書いたけど勿体ない、でも出し場に困っている。
だけどあまり人に見られないところがいい、けどやっぱ他の人にも見てもらいたいとか絶妙な場所をお探しの方。
どうぞこちらをご活用ください。

掲載する者に関しては規約に準じたもののみと致します。
最低限の公序良俗は守りましょう。それでは良きひっそりライトワークスを。

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【来客その1】

「で、意気込んで開店してみたが」

オープンより2時間が経った頃だろうか。出だしは散々すぎる程に悲惨だった。
一言で表すならば閑古鳥がオープニングを高らかに歌い上げている程。
まぁ、それもそのはず――

・繁華街を大きく外れ、ほぼ路地裏とも言えるくらいに絶望的に立地が悪い。
・店主はメニュー作りに熱心であり幅は広いがとにかく宣伝がされていない。
・近くにめっちゃ大きな菓子屋がある。

「無理だろ!!!!!!! なんでこんな所に店出した店主!!!!!!!!」

叫びたくもなる。
折角朝早くから仕込みや焼成、店主のレシピ通りに菓子を作り上げていったわけだが。
絶望的なまでに客が来ない事には店として成り立たないにも程があるだろう。

「どうしたものか……やると言ったからには成果は出さないとな……なにか打開策を――」
「オウッ♡この俺を呼んだなマイブラザー♡♡♡クロバ♡フウッ♡困っているようなら俺に任せとけチェケラ♡ッハァ♡」
「……あぁ!?」

思わず声が出てしまったが、目の前にいたのは街角の超が付くほど有名人……?
いや、有名妖精であるラヴィエル(p3p004411)その妖精だったからだ。
相変わらずなんか只者じゃない気配をまき散らせながら、そいつはオレの前で懸垂をしていた。

「色々とツッコミたいところがあるが、一体どう協力してくれるというんだ? まさか買い占めてくれるとでも?」
「ノンノンだぜクロバァ♡♡待っていろカラーァ♡俺が全速力でお前にラヴを届けに今駆け巡るぜ!!!イッツァショウタァイム!!!ムンムンムンムン♡」
「……ま、毎度ー」

――さり気なくイチゴショートケーキを一個とその代金を置いていった愛の妖精を見送った。

「何か分からんが凄く不安しかないな!??」

クロバの一日は始まったばかりなような、気がした――

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