エマが目を付け、住み着いた集会所の一室。
例によってベッドの骨組み位しかない殺風景な部屋であったが、彼女が村から拾ってきた小さなテーブルや、傷んだ棚、ぼろぼろのチェスト等の家具が散見され、ベッドにこれまたどこからか調達したボロ布が敷かれる等、それなりに整備されている。

来客は問題なく通すようだ。選びに選んだ彼女の隠れ家故、多少警戒はされるかもしれないが……。

まったく、そう言われるとしょうがないわね。

へー、じゃあここにはエマのお宝も眠ってるわけね。今度ガサ入れしてみようかしら
（くすくすと冗談めかして）

ああ、これはね。見ての通り薬を投薬しつつ魔法の杖として使うの。握る位置で魔力を流して、それを剣として、杖として、魔力で形を変えるわけ。
見た目は悪いけど、便利でしょう？

……って、貴方がでかい得物ぉ？
これはまた……ゴツいわね。いや、コレに振り回されなくなったのは、貴方が強くなったからか。なら、心配ない、でしょうね（しげしげとその武器を眺めて、さらりとガラスのように透明感のある髪が揺れる