さあ、《勇者の特権》にご参加のお客様。
　生き馬の目を抜くようなこのゲームではあるが、それだけでは疲労困憊してしまうというもの。
　存分に菓子でも楽しみながら、自由に過ごしてくれたまえ。

わしが把握しておったのは、上位３名が同じ作戦……つまり、多数の協力者に参加して貰ってカードを買い上げ、毎日３勝ずつを上げることで盤石の勝利を得ようとしておった、というところだけだな。
今だから白状するが、この作戦はある程度想定済みではあった。……が、本当に毎日入ってくるとまでは思わなんだ。
幾ら何でも恣意的に感じたので、急遽新規参加者の勝ち目が完全になくなった６日目に募集停止することにした、というのが裏話だな。
この辺り、もう少し事前にルール側で牽制を入れておけば、というのがわしからの反省点だった。

……しかし、まさか最終日直前までは宿命のライバルのような動きをしていたシラス君とマルク君が、実は共闘関係にあったとはな。
しかもシラス君の驚くべきところは、そこでマルク君に優勝して貰って後から賞品を譲って貰えば十分なところを、きっちり自分で逆転優勝しに行ったことだ。
これほどの勝利への執念があるのなら、優勝を手にするのもむべなるかな、と言ったところかな？