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造花の館

翼カルトってなんだよ

「領主~、翼カルトのえらい人から手紙着てますよ。
 要約すると『暇だから遊びに来るね』みたいな感じの。」

この地域で一番の、そしてこの地域では唯一の執政官が、好奇心とデバガメ根性からくる愉快そうな面を浮かべている。腕の中にはポストから持ってきた仕事上の手紙の束。その中にはあのうさん臭い教祖からのの私用の手紙が紛れ込んでいたのだろう。
最近思うのだが、こいつに手紙の持ち込みを任せるのは間違いかもしれない。それか私用のポストを別に分けておくべきだろう。

「へ~~~~……エントランスでお迎えするんですね?執務室じゃなく?
 あんまり仲良くない感じの人なんですか?
 でも仲良くないひとならそもそもOKサイン出しませんよね。」

探りたがりのバカを睨みつけ、仕事に戻るように促す。肩をすくめながら気のない返事で書類仕事に戻っていく。

仲がいいわけではないというのは事実だ。だが使い道はある。
秘密を探られるリスクや、領民に交友の広さを示すポーズをとるならこの程度でいい。というかいまいち得体の知れないやつを屋敷の奥に招き入れるとか普通に抵抗あるだろうが察しろ。

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さっきも言った通り、羽衣教会は『原罪の呼び声への耐性を持ち、世界の敵たる魔種へ対抗する術を持つ』ことを目的とした宗教な訳なんだ。

今では考えられないけど、5年前くらい前までは魔種なんて御伽噺みたいなもんだったじゃん?ㅤ会長もまさかほんとに居るとは思ってなかったし。

でも、それを本気にして、原罪の呼び声を恐れる者達がいた。

彼らは練達に住む純種であり、呼び声の効かないウォーカー達の中で隠れるようにして暮らせば魔種もやって来ないだろうと考えていた人達だったんだ。

でも、カロス様が翼を手に入れたまさにその瞬間、その姿をひと目見ようと人々が集まる中、実際に魔種と呼ばれる存在がその場にやってきたそうだよ。
当然純種の人達は恐れ、命乞いを始めたんだけど、カロス様がその魔種の呼び声を跳ね除けちゃったんだ。魔種はその様に恐れをなして逃げ帰ったとか。

そんな光景を目の当たりにした人達はカロス様を神だと崇めようとした。でも、カロス様はそれを制してこう言ったんだ。

「私は只人です。私に出来ることが、同じ只人である貴方達にできない道理はありません。私と共に修練を積み、私の背の“羽衣”を皆も手にしましょう。さすれば、もはや魔種を恐れることはなくなります」

そうして、みんなで翼を手に入れ、呼び声を跳ね除けようっていう宗教、「羽衣教会」が設立されたって訳。

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