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造花の館
前向けよ、前。
折角ボクと出歩くという栄誉を賜ってるのに、ボクじゃなくて地面ばっかみてどうすんだよ。
(……これである。
急に押し掛けた時もあの恰好であったため、別の服を着るのが億劫とか、慣れ親しんだ服がいいとかそういう可能性を考えたがそうではなかった。この態度はもっと別のよくわからないものである。)
折角ボクと出歩くという栄誉を賜ってるのに、ボクじゃなくて地面ばっかみてどうすんだよ。
(……これである。
急に押し掛けた時もあの恰好であったため、別の服を着るのが億劫とか、慣れ親しんだ服がいいとかそういう可能性を考えたがそうではなかった。この態度はもっと別のよくわからないものである。)
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これほどまでに生産性のないものはない。
ついでに言えばこちらに恋愛感情はないし婚姻を前提とした関係も求めてない。
参加することで利益を見込めるかと言えば、必要経費に対する見返りも薄そうであるし。これによってさらなる進展を得られるかと言えば、そんなことしなくともあいつは『仕事』に対する付き合いは良い方である。
さらにいうとボクがそういうことをしたいかと問われれば『その気はない』と答えざるを得ない。
つまりこんなことに一切のモチベーションもないわけだが。
そこでボクはあれがここに至るまでずっと着たきり雀であったことに再び注視した。
あれに教育を施すことによって得られる利益は、ここまでの経緯を考えれば「ない」とも言い切れないため、今回はあれにその分野における視野と選択肢を広げるよう促すつもりである。
それくらいの理由があれば、まあ、時間と労力を割くことも吝かではないと言えよう。
すでに百合子には依然渡した衣装で来るよう言いつけた。
変に律儀なあいつのことだから着てくることは着てくるだろう。
あとはボクの手腕とあいつ次第だ。
●ロケーション
練達(再現性東京)のショッピングモール