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造花の館
(この国に来るたびに思うことは、よくもまあ商業施設をここまで高い建造物に押し込んだものだなという関心である。建造物の高さはその国の土地面積に対する人口、そしてその技術力を反映するものである。この国がその『東京』とやらの再現物であるなら、この建造物の高さはそのままその世界の国力と国民の消費・生産量反映していることになる……さぞかし金の話が転がっていたのだろう。)
(……とまあ、こんなことを考えていたらあれに文句を言われる可能性もあったろう。
この前の宿泊があれだったことを考えれば、あれがもっとあれ自身に集中するように要求をぶつけてきて、こんなことを考える余裕もあたえられなかったのかもしれないが。そんなことを考える余裕があったのは、あれが思いのほかあれだったからである。)
(件の衣装売り場にて、後ろを振り返る。
もう何度目かわからないくらいに。)
(……とまあ、こんなことを考えていたらあれに文句を言われる可能性もあったろう。
この前の宿泊があれだったことを考えれば、あれがもっとあれ自身に集中するように要求をぶつけてきて、こんなことを考える余裕もあたえられなかったのかもしれないが。そんなことを考える余裕があったのは、あれが思いのほかあれだったからである。)
(件の衣装売り場にて、後ろを振り返る。
もう何度目かわからないくらいに。)
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これほどまでに生産性のないものはない。
ついでに言えばこちらに恋愛感情はないし婚姻を前提とした関係も求めてない。
参加することで利益を見込めるかと言えば、必要経費に対する見返りも薄そうであるし。これによってさらなる進展を得られるかと言えば、そんなことしなくともあいつは『仕事』に対する付き合いは良い方である。
さらにいうとボクがそういうことをしたいかと問われれば『その気はない』と答えざるを得ない。
つまりこんなことに一切のモチベーションもないわけだが。
そこでボクはあれがここに至るまでずっと着たきり雀であったことに再び注視した。
あれに教育を施すことによって得られる利益は、ここまでの経緯を考えれば「ない」とも言い切れないため、今回はあれにその分野における視野と選択肢を広げるよう促すつもりである。
それくらいの理由があれば、まあ、時間と労力を割くことも吝かではないと言えよう。
すでに百合子には依然渡した衣装で来るよう言いつけた。
変に律儀なあいつのことだから着てくることは着てくるだろう。
あとはボクの手腕とあいつ次第だ。
●ロケーション
練達(再現性東京)のショッピングモール