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造花の館

執務室(鬼楽)

豊穣風の屋敷との奥にある、半ば私室と化した執務室。
畳と土壁に囲まれた部屋には、幻想風の調度品が並べられ、見る者が見れば時代錯誤な調和を思わせるだろう。

セレマは訳知りの個人的客人はこちらに通すらしい。
いつ来ても部屋いっぱいに焚かれた香(のような独特の香り)があなたを出迎えてくれるだろう。
然るべき客人であるならば。


●やってはいけないこと
・知らない声が聞こえても返事をしてはならない
・執務机の載せた天秤はアンティークではないので触れてはいけない


●過去(練達)
https://rev1.reversion.jp/guild/1238/thread/18142/6?

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(なにを聞かされているんだ。

 いや、わかる。

 要するにこいつの中では、自分の存在が言葉から一挙手一投足に至るまでに、天体の動きの如く感情どころか生き方を左右されてしまう、愛だとか恋だとか不安定なものに陥っているのだ。いやそれどころではなくこいつの場合は勝手にこっちの一部になろうと…あるいはこいつ自身もうすでにこっちの一部になったつもりでいるから、突き放されることが耐えられないのだ。

 馬鹿か?
 そんなものは依存だ、すでに情ですらない。
 それを言うに事欠いて「好き」だなんて言葉で覆うとは笑わせる、いや笑いすら生まれない。笑えない喜劇が最もグロテスクとはいったい誰の言葉だったか。いっそこんなもの全て茶番であればまだ憤ることもできたというのに。

 血肉の生暖かさと、ぶよぶよした皮膚に覆われた骨の感触が、ざらつきながら指の上を滑る。その末端にねじ込むように突きさされた固く薄い膜の上には、確かに自分が買い与えた紅で覆われていて、これが紛れもない現実だと主張している。

 何を聞かされているんだ。

 「そんなに大事なら、自分のものにすればよかったじゃない」とせせら笑う『あの女』の台詞と、申し訳なさそうにそっぽを向く『彼』の存在を思い出してしまう。
 なあ、アンタ。アンタはすごいよ。でもアンタにだけはなりたくないし、同じ方法は使いたくなかったんだ。情故に傍にいてくれる人間なんて、より強い情で簡単に奪えるものだって、アンタが教えてくれた一番の教訓だったよ。だからアンタにも奪えない絶対のものを作ろうとしたのに、だというのに。

 結局はこれか?
 何を聞かされているんだ。

 ああ、そうとも。結果そのものは当初掲げていた目的以上のものだ。すばらしい。素晴らしい成果じゃないか。自分にしてはよくやったじゃないか、だがこのざまはなんだ?究極的に人間を支配する手段が、保証された利益でも、可能性の開拓でもなく、ただ強烈な感情にしか存在しないというのなら、いままで自分がやってきたことはなんだ?
 推察し、与え、研磨し、模索し、教示し、価値の証明を重ねることとその確約と、その成果を積み重ねることよりも。その投資よりも「好き」で満たされるってどういうことだ?ここまで提示した利益よりも情の方が強いのか、それとも提示した利益が情へと転じたのか。ああ、でもどちらの結果にせよ『実益は感情を凌駕しなかった』のだ。

 「一番簡単なことよ。
  相手を騙したければね、自分を好きだと思わせればいいの。教えたでしょう?」
 何を聞かされているんだ。

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