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捩れ木の匣

ある夜、森の入口。

ある夜、森の入口。
すでに陽も遠く涼しい風。虫の歌声が聞こえている。
家馬車の脇でおんぼろ外套が火を焚いている。
石の輪の中、串に刺された肉が焼ける香りが煙と共に上がる。
君は焚き火に加わっても良いし、足早に通り過ぎても良い。

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ほ~。ヨタカと言うのかえ。鳥の名前なんじゃの~。
(まるきりそれを名前だと思い込み、ふむふむと頷いているうちに、
 いつの間にかリュカシスに手の内の石板ごと握られ、)
にぎゃーーーー!!痛い!あほう!ばかもん!はげ!花なし!
(思い付く罵倒を次々と並べ立てつつ腕をぶんぶん振って逃れ、
 ぴんと立っていた尾がようやく垂れる。)

(と、篝が何やら騒いでいる。)
む?……おお~、いかんいかん。
(鍋を火から下ろし、杓子でかき混ぜ。
 ごりごりと底から何かを剥がす音がする。)
底がちと焦げ付いたようじゃが~……ま、いけるじゃろ~。
(ごろり鹿肉と根菜と共にところどころ薬味とお焦げの浮くスープを、
 木の深皿やジョッキ、小ぶりの壺、広口フラスコによそって木の匙とともに出す。
 普段人を招くことが無いらしく、馬車の中から寄せ集めてきたらしい。)

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