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草カフェバー『ダンデリオン』

【一幕】うらぶれた倉庫

草カフェからは少し離れた、今は使われていない倉庫。
天井近くの小さな明かり取りの窓から差し込むほそい月の光にこまかな埃が踊って見える。

普段は施錠されている。
が、がちゃりと音を立てて鍵は外れ。

軋む音が、して。

扉は開かれた。

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……。
(手放していたのか……。混乱の中で視界も奪われた事で、気づく暇が無かった。敗者が語る事はないがそれ以前に、まるで心配してくれているかの様な忠告が心に染みる)

そうだな。もっと平蜘蛛と向き合うべきだった。都合の良い武器だと思っていたが、心象を感じ取れるほど繊細なら、主人の半端な覚悟にどれ程の不安をかかえていた事だろう。

もっと対話をして、連携を取れる様にするとしよう。
(制御よりも対話に方向がズレてしまったのは、自然現象から生まれた存在故に、無機物もまた同じ命という感覚があるからで)

アーマデルが気にしなくても、怪我を負わせた俺が気にする。
怪我が治り切るまで、身の回りの世話くらいはさせてくれ。
キミが許してくれるならだが。
(本当に異常はないのか。確か頭を自分の代わりに打っていた様な。心配し、撫でてみようと手を伸ばす)

『決闘』……そうか。そういう線引きが出来るものなんだな。
俺の教団での役割は死を与える事。生かしたまま互いの力をぶつけあう、というのは考えも及ばなかった。ただ……殺しに来い、とは言えても、アーマデルを殺すとは言えなかった。
争いたくない。傷つけたくない。……キミの命を大切にしたい。
そういう気持ちと闘争心が混ざり合って、余計に訳が分からなくなっていた気がする。

……次に譲れない何かがあったら、決闘を申し込むと約束しよう。だならこれからも、そばに居させて欲しい。

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