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ギルドスレッド

別邸『イハ=ントレイ』

【プラック・クラケーン】海洋の戦士

 進んでいく。
 何もかもを置き去りにして進んでいく。

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 コン=モスカは領邦であり、絶海信仰の総本山でもある。
 政と教えが結びつくのは当然の理であり、コン=モスカにて要職に就くものは皆、祭司としての顔を持っている。
 すると自然、軍事に携わる者もまた僧侶であり、それらは『武僧』と称された。裾野の者は言い訳程度に祭具を頭に据えるくらいで済むが、位が高くなればなるほどそうはいかない。
 総主祭司(サンブカス)は全ての政と祀り事を司り、大祭司(カタラァナ)の日々その歌そのものが崇敬されるべきイコンであった。
 では、祭司長(クレマァダ)の役目は何かと言えば、人と金の管理である。
 政治、祭祀、軍事の三本の柱はコン=モスカの血族の手によって采配が下される。最終決定権を持つのは祭司長であり、それに異を唱えることができるのは総主祭司と大祭司の二人のみだ。
 それがどういう意味を持つか。
 祭司長とは、それら全てに精通していなければ務まらない職務だということである。
 ことに当代の祭司長は、武僧としての才に恵まれた。
 そしてそれを喪って、搔き集めている。
 そのことに彼女が何を思っているのかは、杳として知れない。


 襟を引っ掴んで歩き出したが、嬲りものにするようで気が引けたのと疲れたので、赤い髪の男が大人しくついてくるのを確認してから、海種の少女は手を離してずんずんと大股で歩きだした。
 首をさすって、その小さな背中を男は見る。
 それは自分の知っている小さな背中に似ていたが、首に残った感触はあの少女のやわらかくてほにゃっとした感じとは似ても似つかない力感だった。
(――オルカの海種ね)
 同じく身体的には優れた点が多い蛸の因子を持つ彼には、同じ顔ながら何ゆえそんなに違うように感じるのか、はっきりと理解できた。
 強壮。そういう響きが自然と頭に浮かび上がる。
 儚くて柳のように頼りないからいつまでも折れなかった姉とは違う。同じしなやかでもそれは竹とかそういうもののそれであり、肌にばちばちんと怒りの気配が漂ってくるのも感じられるほどだ。
 大股に進んでいく少女が目指すのは、コン=モスカの別邸。
扉をばん!と開けて帰りに頭を下げる侍女たちにあれこれ指示を出すと、そのまま屋敷を通り抜けて中庭に出た。

 中庭には、色々なものがある。
 打ち据える為の立ち木のようなものがあったり、持ち上げる重りのようなものもある。
 中央には円形の広場がある。
 石のモザイクなどで飾り立ててはいなく、むしろそこは無造作に板張りになっているようだった。そこから、用途は自然に見えて来た。
「女々しい……とは言うまい」
 目の前の少女が、ここでいつも汗を流している姿が見えて来た。
「じゃが貴様、いつまで立ち止まっておる。
 いつまで礼も言われぬコインを投げ込んでおる」
 近頃は寒くなってきた。
 最近は、『レガドは寒い』などと言って上着を着こんで内股で震えている少女は、羽織っていたケープを勢いよく脱ぎ捨てて動きやすい恰好になった。
「ああすっきりせぬじゃろう。
 仇も居らず、敵も居らず、上げた拳の降ろしどころか……振り上げどころすら見つからぬ」
 円形の広場の、一歩外で立ち止まる貴方を置いて彼女はその反対側に歩いていった。
振り向いて高く脚を上げると、振り下ろす。
たぁん! と高い震脚の音と共に、左手を手刀の形で前に、右手はみぞおちの前に構えた。
「じゃから――打って来い小童。
 貴様の腑抜けた拳で、何ひとつも為せぬことを教えてやる」

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●参加者向けハンドアウト

彼女は、貴方に拳を向けています。

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「ふぅ…なるほど、な」
彼女が言わんとする事は大凡理解した。
…もちろん、コレが理解した"つもり"になっている可能性も有るが。
彼女へ想いをぶつける機会たる今は…それくらいの理解で丁度良いだろう。

「クレマァダ」
名を呼ぶ、敬称は付けない。
最早、それを付ける間柄では無くなるだろうから。
「俺は立ち止まってねぇ、腑抜けてねぇ」
髪を整える。最早、捨てた髪型を今一度だけ。
「ーー為せないなんて事はもうしない」
海賊服を脱ぎ捨てる。
心に怒りの火を灯し彼女に相対する。
構えるはキックボクシングに酷似した自己流の型。
ぬかしおる。
じゃがその言葉が虚飾か実を伴ったものか知れるじゃろう――
どうした。来ないならこちらから行くぞ!!

(拙速は巧遅に勝るとでも言わんばかりに、返事を待たずつっかける。
 腕をしならせ、掌打で空を叩いた。
 『引潮』――リーチの長い掌打を、更に『漣』――遠当ての技術も使うことで、一歩も踏み込まずにプラックを何度も打ち据えんとする心算の様子。
 威力はそれほどないが、気炎万丈の威勢にも関わらず冷静であった)
腕を交差させ防御の姿勢を取る。
衝撃…腕に鈍い痛みが走るが、今は問題は無いと判断し
「はっ、様子見か?威力が低すぎんじゃねぇのか!?」
「次は俺の番だ!」
吠え、二打目を打たれるよりも早く攻勢に出る心算で
強く地を蹴り、只、一歩、一瞬で近づく。
雷鳴の如き跳び蹴りをクレマァダへ与えんとする。
「様子見ではない、布石じゃ」
 初手で飛び蹴りとは邪道じゃな、と思い、だがそれを戦法に入れるだけの身体能力は持っておる、とも思った。
 体を捌いて掠らせながら避ける。本来なら背後に回りたいところだったが、彼の狙いは絶妙で、正面至近距離に相対する結果となった。着地した彼の胴に打つ突きは、工夫のない縦拳。当然のように両腕を上げてガードしようとするプラックの手は――絶海拳『凪』。先ほどの遠当てで打たれた経穴の影響で、一瞬遅れて万全の受けとは行かないだろう。
「絶海拳――『波濤』ッ!!」
「ーーーッ!!」
反応が遅れる、ガードは間に合わない。
辛うじて腹筋に力を込められたが、諸に入り。
胴へと激痛が走る。伴い思考が瞬く。
だが、身体は理解していた。次の動作を躊躇していれば流れる様に畳み掛けられるだろう、と。
故に反射の様にカウンターでのミドルキックを行った。
んっぐ……
(ミドルはあばらに入らないよう身をよじって腹で受ける。
 衝撃は脚に逃がす。
 大丈夫、水月には入っていない。内臓には少し。
 素早く蹴り脚を戻されないよう柔らかく受け止めて、そのまま脇に抱えて取ろうとした)
 効っかんわそんなへなちょこキック!!!
「本当に効かねぇんならっ!」
(蹴り足を取られた。それも見事な程、綺麗に受け止められた。
このまま、彼女程の武術使いに組技を掛けられれば敗北は必定で有ると思い。
その取られた脚を軸にもう片方の脚で延髄蹴りを繰り出そうとする)
「ガードしてんじゃねぇ!クレマァダ!」
(こやつは何を言っておるんじゃと思った。
効かないようにガードしたのであって、普通に喰らったら痛いしすっとぶに決まっているであろう。彼我の体格差がわからんのかな、と思い。
……ああ、こいつは本当に、我ならそれくらい耐えられると思うておるのじゃなと思った。
宙に浮いた苦し紛れの延髄切りではよろける程度だったが、このまま掴んでいては地面に落ちる彼の体重に引っ張られて自分の体制が不利になる。
ぱっと小脇に抱えていた手を離すと、とんと後ろに飛んで仕切り直した)

……一つ聞こう。
ガードを……己を護らずして、どうして他人を護れると言う?
ぬおっ……
(手を離され、そのまま地面に落ちる所を魔術による噴水で無理矢理に体勢を変え。構えを一番最初の状態へと戻す、そうして静かにクレマァダの問いを聞いて…)

ーー自分を護らない奴に他人は護れないって言いたいのか?
………は、はは…くかかっ、かかかかかか!!!
ふざけるなっ!!!
俺は…俺達は護られた!護れられたんだ!
親父に!!カタラァナさんに!!全ての奴らに!
自分を護らない人にだって誰かは護れていた筈だ!
護れないのは只の力不足だ!!力不足なんだよ!!

(言葉の解釈違いかも知れない。熱くなり過ぎて質問の意図すら分からないのかも知れない。けれど馬鹿な彼には否定された様に感じた。己が身を顧みずに戦う人達と自分を。彼の耳には皮肉にも聞こえてしまっていた、言外に『ガードも知らない馬鹿が他人を護れる訳が無かろう』と)
――――そうとも。
護れぬのは只の力不足よ。
力不足故生き残った。
じゃが、あやつらが己を護らなんだと思うのか。
ならば貴様の性根は―――やはり甘ったれていて―――それ以上囀るなら―――殺す。

(とん、と踏み込んだ。
牽制でも何でもない。
プラックの目の前に、抜き身の刃のような二本貫手が突き出された。
かろうじてそれを避けたのを皮切りに、今までの攻めが撫でていただけに見えるような連打が始まった。
全てが切り裂くような鋭さを持っていて、全てが急所を狙っている。
絶海拳『白浪』――弾こうと思えば弾ける軽さの技撃の全てが、触れた瞬間剃刀のように肉を抉り、波のように骨に響いた)
ああ、そうだよ、甘ったれだよ…糞がっ…
(吐き捨て。激流の様な連打を必死で捌こうとする。しかし技量は彼女のが上、対応も追いつかず。急所への攻撃をズラすので精一杯。肉が抉られ激痛が走る。激しい攻防に整えた髪が解ける。捌いた手脚からの出血は止まらない)

…殺したいなら殺せよ。
(そうして一通り捌いた後にわざと捌くの止める。彼女の勢いづいた攻撃が、文字通り致命的な急所を穿つ様に)

(理解していたのだ立ち止まってると。感じていたのだ腑抜けてしまっていると。自分の魂の柱がどうしようも無く折れてしまっていると。
だが、それを認めたくは無かった。認める事は出来なかった…認めれば…父とカタラァナさんに愛想を尽かされそうで)
貴様――
(殺したいなら殺せ。
その言葉に、本気で目の前が真っ赤になるほどの怒りを見せた。
急所は打った。
水月。胸骨と腹直筋の境目。内臓にダイレクトな一撃が響く個所。
絶海拳『砕波段波』――但しその一段階目のみ。
全ての守りを打ち破る秘拳。二つの波を続けて叩き込むそれを、敢えて一度止めた。手を引き、思い切り腰を落とす。
そして再び構えた。
無防備どころか、今の彼には腹を固めることも儘ならない。
きっとそれが突き刺されば、致命的な一撃となるだろう)

――では、殺す。

(渾身の一打が、放たれようとしている)
ーーそうか。
(眼を閉じて来たる一打を受け入れる。その一撃が腹にまでに色々な事が頭を過ぎる。母の事、父の事、カタラァナの事、ローレットでの生活…そうして走馬灯が如く、全てを振り返り…一撃が当たる寸前、疲れた様に自然と呟きが口から漏れた)

俺は…どうすれば良かったんだろうな。

(渾身の一打は直撃した)
(水月を打った打撃は単純にして明快な、魔力を乗せた一撃——
全身の力の焦点を拳の一点に当てるという、それだけの、それだけに難易度の高い打撃だった。
その衝撃は十分に逃げることも叶わず彼の体内を乱反射し、結果的にその場で崩れ落ちるという結果として現れた。
確かに殺す気で打った——弱い者であれば。
耳を彼の口元に寄せ、呼吸を確かめると、無表情のままため息をひとつ吐いて、侍女を呼びつける。
3、4人の女たちに重たそうに担がれながら、彼は客間に運ばれていった。)
承前。

場面転換。

貴方は屋敷の客間にいる。
貴方は目を覚ました。
起き上がると全身がどんよりと怠い。
何度か血を吐いたらしく、腹部に虚脱感がある。
包帯は清潔に保たれている。

枕元に座っていた彼女は、目元にくまを作っていた。
一晩看病をしていたらしい。
倦怠感、虚脱感を何処か遠くの事の様にぼんやりと感じながら、枕元の彼女を眺める。
倦怠感がそうさせているのか、目覚めた直後だからか。
近くに居るはずの彼女が起きているのか、眠っているのか、そして此方を眺めているのか、どんな表情をしているのかすら…分からない。
ただ、殺されなかった事…手当てを受けた事は理解した。

………すまねぇ

小さな…蚊の鳴くような小さな声で呟き。項垂れる。
フン。謝るくらいなら殺せなどと申すでないわ。
それに、我は本気でトドメを刺すつもりで打った。
お主が弱ければな。

じゃが死ななかったから生かした。
それだけのことよ。

……それで。
死んでみた感想はどうじゃ?
……最悪の気分だよ。
死にたいなんて思った事も、お前に殺す役を頼んだ事も…最後まで願いを踏み躙る所だった事も、死ねなかった事も…全部が全部、最悪だ…。
"名誉の為に生けることかなわざりし時は名誉のために死なん"……なんて綺麗に出来るもんじゃねぇな…
……高説を垂れたとてな。
どうすれば良かったのか分からんのは我も同じじゃ。

なあ。
生きるのは恥か?
力及ばぬは罪か?
…少なくとも、俺にとっては罪になったよ。
誰かを踏み台にして生き続けるのも…俺だけに限りゃ、恥さ。

…クレマァダ
どうすれば良いか分からないのは同じだって言ったよな
…お前はどうしてる?どうして……前へ進めるんだ?
それは、武人としてか?
それとも、特異運命座標としてか?
……それとも、妹としてか?
息子の貴様ならわかっておると思ったがな。
……いや。貴様は私生児か。
そのことを愚弄するわけではないが、やはり言葉としてわかっておるのとおらぬとでは違うな。

――宜しい。
薫陶を授けてやろう。そこに直れ。
(ベッドから足を出して、枕元の彼女に向き直る。
今や、ぼんやりとした意識は皆無であり。真剣に話を聞こうとしてーーそこで初めて彼女の隈に気づく。が、今その事に言及するのは野暮と胸に仕舞い)

まぁな…生憎と家族観は特殊なもんでよ。
ああ、それと…別に薫陶じゃなくて良いさ
…お前の有りの儘が聞きてぇ。
有りの儘じゃと?
そんなものを、只人はさも”あるかのように”言う。
ならばなおさら授けるのは薫陶じゃ。

よいか。
人の生は、人ならぬ生きとし生けるものの生は、呪いによって始まる。
生きよと。
生きねばならぬと。
愛によりて、想いによりて、或いは怨みや憎しみによりて。
何でもいい。

我らが何を選択し、どう生きるかではなく、人とは願いという名の呪いを背負って生まれ、呪いのような願いを背負いながら生き続ける生き物じゃ。

”有りの儘”というのは即ち、”その呪いを全て背負った我”にほかならぬ。
あるいは、”己の望む呪いだけを背負”っても構わぬ。
”呪い全てを打ち捨てて自由に”なっても構わぬ。


今一度、お主の問いに応えよう。
なぜ我が歩み続けられるかじゃと?
我は――その呪いを、全て受け入れると決めておるからじゃ。
生への執着も、死に際の怨みも。

なれば、生きよと命じた姉の呪いもまた、我が継ぐべき呪いなのじゃ。
ーーっ
(言葉を失った。それは同じ齢の少女としては達観し過ぎた言葉。超人然とした考え… その生き方を悲しいと思った。その生き方を眩しく、強いと思った。どんな感情を向けたら良いか分からない、分からないが)

…先ずは答えてくれて、ありがとよ。
呪い…呪いか…
(意地の悪い言い方をした、と少し嘆息した。
だって、”これ”が何か、自分なぞより彼の方がずっと知っているはずなのに。
ああ、父から愛されていた彼が羨しい。
自由な彼が羨しい。
だけど、彼女は祭司長である。人を教え導く者だから、意地悪をしたままではいられなかった)

我にとってはこれは呪いと言うべきものじゃ。
しかしの。普通は……こういうのはな。
願い、と。そう呼ぶらしいぞ。
……お主、母御はご存命か?
(願い…呪い。何時だったか。何処か心に刻んだ言葉を思い出す。呪いと祝福はコインの裏表。違う様で同じモノと。)
ーーそうか、願い。願われてるんだよな。俺は。
………ん?お袋か?………生きてるよ

(今は…分からないけどなとは口に出さなかった。目に隈が出来るくらいに世話を焼いている真面目な彼女にどうしてこれ以上の厄介を持ち込みたく無かったからだ)
愛されてた筈だ…多分な。
まぁ、それもきっと親父の次に、だけどな。

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