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Memoria
"──幾日か過ぎた頃。
小さな村で囁かれていた、『悪い化け物』の話はぱったりと途絶えました。
何でも、噂を聞いた余所者が、面白半分森の中に入って。
怪我一つ負わずに帰ってきて、村の人々に言いふらしたのです。
「化け物がいるって噂を聞いて来てみれば、どうしたことだ。」
「ただただ暗いだけで、恐ろしい存在なんて何処にもいない。あんな森、大したことないじゃあないか!」
それから、人々の間に森に纏わる、怖い噂が飛び交う事はありませんでした。
しかし、噂が消えても尚、森に近づくのは未だ僅かな人だけ。
──暗い森の中に、晴れやかな声が灯されるのは。もう少し、先の様です。"
小さな村で囁かれていた、『悪い化け物』の話はぱったりと途絶えました。
何でも、噂を聞いた余所者が、面白半分森の中に入って。
怪我一つ負わずに帰ってきて、村の人々に言いふらしたのです。
「化け物がいるって噂を聞いて来てみれば、どうしたことだ。」
「ただただ暗いだけで、恐ろしい存在なんて何処にもいない。あんな森、大したことないじゃあないか!」
それから、人々の間に森に纏わる、怖い噂が飛び交う事はありませんでした。
しかし、噂が消えても尚、森に近づくのは未だ僅かな人だけ。
──暗い森の中に、晴れやかな声が灯されるのは。もう少し、先の様です。"
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鬱蒼とした森の中はとても静かで、動物達の気配を感じさせない程。
奥へと誘う道は、迷い人を呑まんとする暗闇の様でした。
「あの森の奥には入ってはいけないよ。悪いおばけが住んでいるのだからね」
始まりは、森の奥で人影を見たという者が発した、ほんの些細な法螺話。
子供達の間で囁かれていた噂は、やがて大人へ。そしてあっという間に、村人全てに広まりました。
「あの森の奥に迷い込んだら、悪い化け物に食べられてしまう。そして、二度と帰っては来れないのさ」
***
そんな一人歩きした噂を知らず、ふらりと。
森の奥深くに薄鈍色の青年が、足を進めていた。
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※カルウェット コーラス(p3p008549)との1:1スレッド。
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