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月灰治療院

業務日誌

漸く開業に漕ぎ着けたので、その日を祝し日誌を付ける事にした。
ここにいつまでいるかは分からないが、幻想という国は隠れるには打ってつけのようだ。

ローレットの仕事でペアを組む事が多い、火が趣味という変人が牢屋跡の見張り小屋で生活するにも飽きたらしい。
薬品作りにも使う植物園の世話を任せてみたが思いの外世話が上手かったので部屋を一つ貸して住まわせる事にした。
治療費を踏み倒す輩が現れたら場合によっては燃やして良いとお墨付きを与えてみたら喜んでいた。

仕立ての良い服を着たハーモニアの女性が怪我をしていたので治療をした所、イレギュラーズとして初めての依頼に赴いた所、海洋の揺れる船の上で難儀したらしい。
受け答えにも品があるので良い所の人だろうと思ったが、長く住まいを離れず過ごしていたので、当世を知る為ローレットにやってきたのだそうだ。
当座の宿もこれから探すという話だったので、部屋を貸す代わりに受付や相談係として働いてみないかと持ち掛けた所即OKしてくれた。

いきなり二人の従業員を得られた事は僥倖だが、給料の支払いを考えればローレットの仕事を3人でこなした方が効率的ではないだろうか。
それか火遊びした貴族の子弟がならずものに足の1本くらい吹き飛ばされていれば暫く遊べるくらいの金額は稼げそうではあるのだが。

ともあれ、落ち着いて稼げるようになれば良い。

【今日のノーデンス】
待合室の日当たりがいい場所を探してうろうろしていた。その行動は猫の行動では? と思ったが、指摘したら寝床を占領される未来しか見えないので黙っていた。

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