晴れているのに雨が降るのは、狐がお嫁さんに行ってるって話を昔おばあちゃんから聞いたっけな。

場所：再現性東京2010
時間帯：昼
天気：にわか雨

油断した。こんなお天気な日にまさか雨が降るなんて。でも狐の嫁入り行列が終わったらすぐ止むだろう。それまで少し屋根のついた公園のベンチで雨宿りするとしようかな。

あわわわ……晴れてるのに雨……！
あっ、あそこに屋根付きの場所が……！
ちょっと雨が止むまで休んでいこ……。
ん……？既に人がいるね……？

はあ、論文が濡れなくてよかった……お天気雨とは、少し油断したな……。

ん……？(フラーゴラに気がついて)
こんにちは。君も油断してたのかい？

うんちょっと傘持ってなくてね……。だって晴れてるんだもの……。

えっと……隣お邪魔していい？
ワタシはフラーゴラ。狼の獣種だよ。

うん。もちろんだよ(少し横にズレて)
俺は築柴 雨月。人間種だよ。よろしくね

確かに、こう晴れてると雨が降るのが不思議なくらいだもんね

雨月さん。よろしくね……。(とん、と隣に座る)
人間種の人ってことは同じ混沌の人かあ……。
ローレットに長くいると珍しく感じちゃうな。旅人の人とっても多いから……。

天気も今日は珍しいね。
走って行ってもいいんだけど……今日は急ぐ用事でもないし。

書類いっぱい……。お仕事道具かな？

そうかな？俺はあんまり依頼には行かないからあまり旅人の人には会ったことないかも……どうだろ？

うん。急ぎの用事がないならのんびり雨宿するのがいいよね。

……これ？これは大学から借りた論文だよ。次書く論文の参考にするんだ。仕事道具って言うよりかは、勉強道具？なのかな？

うん。旅人の人多いよ。
見た目人間種みたいな人多いけど実は、ってのすごく多い……。
ワタシの師匠も、ワタシの好きな人も、お友達も旅人だね。

論文？ええっと……研究者さんとか学生さんなのかな？

そうなんだ。じゃあ俺が会ったことある人ももしかしたら旅人なのかな？区別つかないからよくわかんないや。

うん。大学生だよ。

すっごく若く見えるのに実は大人とか……すごくすごく歳を取ってるとか。そういうのはビックリするかも。
タイミング合えば聞けるかも……？
ワタシのお師匠先生はワタシと同じくらいの女の子に見えるけど煙草もお酒もいけちゃうから最初はビックリしちゃうよ……。
本人はとっくに成人してるのだけどね。

大学かあ……？大学って何するの？
ワタシは学校に行ったことがなくて……うーん違うなあ。
行ったことはあるのかもしれない。記憶がないからねえ。

そうなんだ。……それは驚きだ。
人は見かけによらないんだね。

うーーん。自分の好きなことを勉強出来る場所……かな？どうだろ、大卒っていう肩書きがほしいから行く人もいるし、まぁ、強いて言うなら……能動的に勉強するところかな？記憶がない？じゃあ通ってたけど忘れちゃったのかもしれないね。

うん。見かけによらない。本当にそう思う……。
見かけ通りの人は少ないのかもしれない？

ふーむ？うーんと、色々な目的があって行くんだね……？
免許……とは違うなあ。資格を取るみたいな？
お勉強が好きな人にはすごく嬉しい場所っぽそう。

そうそう。行ってたかもしれないけど……わからないんだ……。
でも基礎的な生活する上での知識は持ってたよ。

あ、そうだ……。雨月さんはどんな目的で大学生になったの……？気になる

そうかもね。(うんうん頷き)

うん。資格が取れる講義とか学部は結構あるよ。ピンポイントで自分の興味ある勉強ができるからね。嬉しいところかも。

そうなんだ……？記憶喪失みたいな感じなのかな？

俺？俺は、医者になりたいんだ。

ええっ！お医者さん……？！すごい……！
すごいなあ、がんばって……！応援しちゃう……！
お医者さんになれたら色んな人を救えるよね。

ふむふむ……。あっ講義って学生じゃなくても聞いていいんだっけ……？ドレスコードみたいなのある……？清潔なほうがいいかなあ。
イレギュラーズのお仕事は泥まみれになったり血塗れになったりするから……。

記憶喪失なのかなあ……？
ワタシのパパ……義父に会っても結局思い出さなかったんだよねえ。

うん。いつか、沢山の人を救えるような医者になりたいんだ。応援してくれてありがとう。

そうだね。基本学生じゃなくても聞けるよ。普通にラフな格好で行けばいいんじゃないかな？血塗れはさすがに良くないとは思うけど、学生は沢山いるし、どんな格好で行っても基本誰も気にしないと思うよ。

そうか。いつか思い出せたらいいね。まぁ、なにかふとしたきっかけで思い出すって言うし、お義父さんに会うことが記憶を思い出すきっかけじゃないかもしれないし。その時にが来ればきっと思い出すよ。病気じゃない限りは絶対思い出せると思うから。

えへへ、ワタシも医師団を支援させてもらってるからね……。
ワタシが本当にやりたいのは貧困層の救済だけど……。忙しくてねえ。
だからお金の支援程度だけど。
お医者さんっていっぱいいて欲しいから嬉しいな……。がんばってね……！

ラフな格好かあ……ふむ。ふむふむ

そうかな？ふふ、ありがとうねえ……。雨月さんと喋ってるとなんだかほっとする。
覚えていない記憶は……どうしても欲しいものって訳じゃないんだよね。今のワタシからすると。
今が楽しくて……。
でも、そうだな。機会があれば取り戻してもいいかも。

うん。ありがとう。
貧困層か……俺は時々孤児院の手伝いに行くことくらいしかできないや。
フラーゴラさんはまだ若いのに色々と周りの助けになっていて凄いや。

そう？だったら嬉しいな。
うん。じゃあのんびりしよう。見つけたくなったら見つけに行ったらいいさ。今が楽しいことはとっても良い事だよ。
もし俺にできることがあったらなんでも言って。俺にできることと言っても、かなり少ないんだけどさ(苦笑)

んっとね……。ワタシが覚えてる一番古い記憶ってボロボロの麻袋みたいなのを服にして……食べるとこも休むとこもなく浮浪者のように街をさまよってたの。
そういう時って自分一人で出来ることって少ないじゃない？
だからそういう時に助けがあったらいいなって……。
ううん。ワタシは救って貰いたかったし、そういう自分に似た人を助けてあげたいんだねえ。

んーとそうだなあ……。じゃあお喋りに付き合ってもらおうかな……？ふふ。
お医者さんを目指そうと思ったきっかけとか知りたいかも。

うんうん。とっても素敵な事だね。

もちろん。俺も楽しいし、大歓迎だよ。

目指そうと思ったきっかけか……前に俺が重い病気なった時、担当医が一生懸命治療して命を救ってくれたんだ。だから俺は彼みたいな医者になりたいんだ。

素敵……なのかな？だといいな……えへへ。

病気だったの？そうなんだ……。
ふむふむ……。じゃあ雨月さんにとってそのお医者さんはヒーローみたいに見えたってことだよね？
ワタシもそんな風に一生懸命な人がいたらお医者さん目指しちゃうかも……。

うん。彼は俺のヒーローだよ。
フラーゴラさんがお医者さんか。似合いそう。きっと優しくてとってもいいお医者さんになれるよ。

えへへ……なれるかなあ……？
子供にふわふわな尻尾触っていいよって言ってなぐさめたりとか……。
あ、あとお肉は解体得意だよ。うーんちょっと違う……？

うんうん。いいね、いいね。患者さんをリラックスさせることは大切だよね。
お肉解体……？解剖はまた違った職種じゃないかな？

解剖するお仕事がある……？うーん……？

あ、雨……やんだみたいだね。そろそろ行こうかな

うーん、多分？

そうみたいだね。今日はありがとう。
おかげで楽しい雨宿りになったよ。

ふふ、こちらこそありがとう……。
また会えたら嬉しいな。じゃあね……。

うん。じゃあね(手を振り)