PandoraPartyProject

特設イベント

眠らぬ海に、星添えて

●オープニング

●night aquarium
 月は漣に交り深海へと薄絹の如く降り注ぐ。
 昇る水泡に指先添えれば、天蓋より堕ちた星の様だと唇に笑み乗せた。
 幻想――その名で知られる一つの国家の、端の鮮やかな蒼。
 巨大な水泡を思わせる丸いフォルムの魔法道具はこの国の王が貴族の少女に戯れ事に渡したものなのだそうだ。
 水中に親和する海種の如く、深い海の中を行く事が出来るのは何処か夢幻の如く。
 その一時、深い海を歩む事が出来るのは海種(かれら)だけではない。
 淡い水草の向こう側、彩豊かな肢体を揺らす魚達は談笑する様に頬を寄せ合っていた。
 呼吸を忘れたかのように見惚れる空より伸びえた月明かり。嗚呼、きっと、この重たい水(よる)の上に人魚姫が王子に恋焦がれるが如く美しい世界が広がっているのだろう。

 星々が煌めくその場所は幻想貴族のプライベートビーチ。
 ビーチに据え置いたテーブルにフルーツを飾った甘いドリンクを一つ差し出す使用人達は頭を垂れる。
 この場所は平穏に満ち溢れる。何かの謀略にも濡れず、何かの策略さえも感じさせぬ――安らかな海。
 浜を彩る夜光虫は浜より雄大な海へと手招く事だろう。
 ゆっくりと、指先を潜らせれば、冷たさは感じない。
 天蓋飾った星々の下、夏の気配を身に纏わせて世界に自分一人だと感じる青に包まれて。
 驚き乗せた魚達は遊ぼうと呼ぶことだろう。
 其処は碧に輝く秘密の浜辺。星々の煌めき飾った優美な空に、幻想と呼ぶに相応しき青の世界。

●liz
「私、特異運命座標(みなさま)の様な『楽しい方々』、久方振りですわ。
 ふふ――皆様にお会いできることを楽しみにしておりましたのよ。……ええ、とても。とっても」
 穏やかに笑んだその顔は『暗殺令嬢』と呼ばれる少女には思えない。然し、緩やかに組み合わせた指先は黒の手袋に包まれ、彼女の隙の無さを伺わせる。
 幾重にもレェスを重ねたワンピース。贅を尽くした品々に囲まれた三大貴族の令嬢――その彼女がギルド『ローレット』に宛てたのは『贅を尽くした遊びに付き合って欲しい』という内容だった。
「この機会に皆様をどこかにお招きしたいと考えておりましたら、陛下から素敵な玩具を賜りましたの。
 是非、『私のプライベートビーチで遊んでみてくださいませ』」
 勿論、陛下――フォルデルマン三世陛下にお礼はお忘れなく。
 そう云って豪奢なレェスを飾ったスカートを持ち上げたリーゼロッテ・アーベントロートは冗句めかして言って見せた。
「そうですわね……私も『遊び』に同道いたしましょう。
 折角ですもの。楽しまなければいけませんわ。こう見えて私、イベントは嫌いではありませんの」
 ひらりとスカート揺らしてリーゼロッテは唇より尖った牙を覗かせる。
 プライベートビーチと呼んだ秘密の海は彼女のお気に入りの一つなのだそうだ。
 イレギュラーズ達が来るのならば星の綺麗な夜がいいとリーゼロッテは笑みを深める。
 夜光虫の煌めくビーチに、空を飾った星々が美しい夜。岩場に囲まれた秘密の場所は澄んだ水中にまで月の光を届かせる。
 岩場には憩いの場所と呼ぶ温泉が存在し、漣と星々を眺めながら茫と湯につかるのもまた至福の時と呼べるだろう。
 フォルデルマンの『玩具』を使用すれば海種以外の種族でも海中散歩が出来るのだという。その使い捨ての玩具にどれ程の費用がかけられているのかは「ええ、ええ、『ひみつ』ですわ」
 風景だけではない、魚の餌付けや夜のビーチで飲食も大丈夫だと告げる。アーベントロートに所属する使用人たちが軽食程度なら用意してくれるのだそうだ。
 お気に入りの場所を思い浮かべ、何処かうっとりとした表情でリーゼロッテは柔らかに笑み浮かべる。
「きっと、素敵でしてよ。この国の名のように――驚きに溢れる場所ですわ」
 幼さを滲ませ乍らも優美さを失わぬ一人の少女の一言は特異運命座標をプライベートビーチへと誘った。
 夢幻の如き、鮮やかな海――きっと『幻想』と呼ぶに相応しい。



●菖蒲より


 菖蒲(あやめ)です。よろしくお願いいたします。
 レガド・イルシオンの貴族のリーゼロッテ・アーベントロート嬢より夜の海へのお誘いです。
 岩場にぐるりと囲まれた秘密の場所――リーゼロッテ嬢のプライベートビーチです。

●魔法道具
 レガド・イルシオンの王様フォルデルマン三世がリーゼロッテ嬢に戯れで渡した魔法道具『夢幻の青』。
 『夢幻の青』は丸い水泡を思わせるフォルム(しゃぼん玉みたいな感じです)に包まれ、水中で呼吸が出来ない種族の方も海の中を散歩できるアイテムです。
 このアイテムを使用して、夜の海をお散歩することができます。
 また、魔法道具をご使用の場合はお洋服の儘でOKです。勿論、水着でも大丈夫ですよ。

【1】【2】【3】のどちらかをご指定ください。

【1】浜辺でのんびり
 アーベントロートの使用人の皆さんがお食事もご用意して下さいます。
 簡単なお食事・ドリンクでしたらご指定ください。
 月と星が美しい夜ですので星見や、夜光虫の美しい浜辺の散歩などどうぞ。

【2】海中散歩
 海の中を散歩します。鮮やかな海は水族館を思わせます。
 魔法道具の使用の有無もご指定ください。(魔有とかでOKです)
 勿論、普通にダイビングやのんびり泳ぐこともできます。夜ですが海中は月の光が差し込み明るく見える様です。

【3】岩場の温泉へ
 リーゼロッテ嬢曰く、憩いの場所。水着着用での入浴をお願いいたします。
 プライベートビーチの端の岩場にこっそりと存在する温泉です。月や星、海を眺める事が出来る絶好のロケーションとなります。

●NPC
 リーゼロッテ・アーベントロート嬢がこっそりとお邪魔します。
 何かございましたらお気軽にお声掛けください。(リーゼロッテ嬢がお邪魔できないパターンもございますのでご了承ください)
 お声掛けがございませんでしたら、描写は致しません。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

●備考

・夏イベント『盛夏の残照』シナリオでの同一参加は出来ませんのでご注意ください。


リプレイ

※1 当リプレイの返却はメールで通知されません。
※2 当リプレイはキャラクターの参加・注文状況・履歴には掲載されません。


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