PandoraPartyProject

特設イベント

Phantom Night

●オープニング


●Phantom Night
「ご機嫌よう。嗚呼、特異運命座標(アリス)。
 そう怯えることはない――何、君達にとっては私の存在は朗報ではないのかね」
 練達より幻想での収穫祭の様子を視察に来たのだというDr.マッドハッターはファンという青年と連れ合ってギルドローレットへと顔を出した。
 カラフルなシルクハットと顔の片面を隠した仮面の男は華やぐ街に良く似合う。仮装パーティーに紛れ込んでいても誰も文句は言わないだろう。
「驚いた。珍しい客、それも大物だ」
『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)は彼にしては珍しく少し驚いた顔をしている。
 外国の要人がよりにもよってこの評判の悪い幻想王都にやって来たのだから確かにそんな反応にもなるだろうか。
 祭りの喧騒の中、菓子の用意やらに忙しそうなローレットの面々をちらりと見やり、青年は口元に余裕の笑みを浮かべて笑う。
「君は面白くないから、ノーサンキューだよ、レオン君。
 私はあくまで沢山のアリス諸君に用があって来たのだから」
「へいへい」と肩を竦めたレオンはイレギュラーズに「構ってやれば」といった風。
 彼のそんな反応から、このエキセントリックさんは『そこまで危険ではない』事は何となく分かる。
 レオンの場合、許容範囲もやくざな所があるので、多少怪しい事もあるのだが……
 閑話休題。イレギュラーズの内心を知ってか知らずか、マッドハッターは機嫌良くいよいよ饒舌だった。
「私は練達でそれなりの地位を持っていてね。なァに、だからと言って何かがあるわけじゃない。
 こんなにも特異運命座標(アリス)諸君が収穫祭を楽しんでいるんだ。
 妖精郷よりのささやかな悪戯も役に立つ事だろう。御伽噺の退屈屋の魔女も今年は何時も以上に笑顔になるだろうね――こんなにも沢山の来訪者(アリス)達が祭りを楽しんでいるのだから!」
 芝居がかった口調で大仰に手を叩いたDr.マッドハッターは『その名前』の通り狂ったラジオの様に笑い続けた。あはは、あはは、と一頻り笑った後だろう、傍らで黙って動向を見守っていたファンが「ご迷惑おかけして」と肩を竦める。
「我々は練達より祭りを見に来た観光客ですヨ」
「観光客、ああ、観光客と呼ばれると聊か部外者であるかのように感じるが、此度は私も演者の一人ではなかろうか。さておき、簡単に言えば我々は観光客と、そうなるのだ。何故? 観光しに来たか? それはね、特異運命座標(アリス)、諸君らとささやかなれど幸福な祭りを過ごしたいと思っている。
 そこで提案なのだが、我が『想像の塔』が作成した魔法道具で不思議な一夜を過ごしては見ないだろうか? なに、簡単な迷路を遊ぶ位の話だよ。妖精たちの悪戯で、ハートの女王も狂ったようにお喜びになる素敵な夜さ!」
 練達――探求都市国家アデプトは混沌南部の小島を勢力圏とする国家だ。旅人を中心に編成され、総ゆる世界、文明の技術者たちが日夜研究を重ねているのだ。
 都市の成り立ちを現したように練達は幻想とは違い近未来的な洋装を呈している。中央制御システム『マザー』により快適と安全を保たれ、国家の姿は未来都市だと旅人たちは口々に表していた。
 旅人達も様々な理由で研究を続けている者が多い。もっとも、マッドハッターやファンのようなフィールドワーカー……要するに面白がりは珍しい。如何せん、練達の連中は『セフィロト』の外へ出る事を余り好まないのだ。
 まぁ、ともあれだ。恐らくマッドハッターの提案は彼なりの楽しみの一環――それは、特異運命座標たちがどのような人間なのかを見極めておきたいという知的好奇心の発露か、単に遊んでいるかのどちらかだろう。
「一応、補足しておくとドクターの道具は受け入れた人を迷路へ誘うものです。
 物理的に街のど真ん中に迷宮が出現するなんて有り得ないんで、本当にこの場に迷路が出現する訳じゃないんですけど。少なくとも体感、迷路を体験する事が出来る。ドクター流に言うなら不思議の国に迷い込んだお嬢さんみたいに――原理は置いといて、まぁ、そんな感じです。蛇足ですが『一応』安全ですよ」
 ファンは「珍しく」と続けて嘆息する。
「ねぇ、ドクター。あなたの奇天烈な思考回路に親切な説明をしろとは言いませんけどね、何が起きてどうなるか位分かるように言って下さい。皆さん、鳩が鉄砲食らったみたいになっているでしょう」
「勿論、我々の魔法道具で遊んでもらうだけでいい。
 パイを齧ったら代金を頂戴しようなんてこともないさ。幻想の夜なのだからね!
 ああ、紅茶位ならご馳走しよう。君はお誕生日様だからね。
 え? 誕生日じゃない? 何を言ってるんだ、365日毎日お誕生日様だろう?」
 ファンの言葉を恐らくは1/10も聞いていないマッドハッターはやはり好き勝手に喋っている。
 かなりの早口で展開されたその内容は(多分)明晰である筈の彼の頭脳の評価を乖離して支離滅裂だ。
「ドクター」
 今一度、窘める様な声がかかり彼はからりと笑って見せる。
 一方的トークは意図してか天然か……これだけでも、十分際物である事は理解できるだろう。
「この道具は簡単に言うと、道具の中に固有の世界を作る。
 無い筈だけど確かに存在する狭くて広い世界は……まぁ、いいか。そんな事は。
 魔法道具の世界に入り込めば其処には茨の迷路があり――うん、君たちは迷路を抜けて見事パーティー会場に辿り着けばいいのさ! 迷うのだって良い。存分にこの夜を楽しんで欲しい!」
 勿論、幻想の夜であろうともパーティー会場には魔法の食事が整えられている。
 走り回るローストチキンを捕まえて、踊るカクテルとキスをしよう。笑ったショートケーキにフォークを突き刺せば忽ち叫び声があがるかもしれない。
 ああ、楽しい幻想の夜。
 退屈屋の魔女も思わず両手を上げて笑い出してしまいそうなそんな夜。

「――ああ、一つ。魔法が溶けた後には君達にお願いしたいことがあるかもしれない。
 けれど今はそんなこと忘れて存分に遊び狂おうじゃないか!
 トリックオアトリート! トリックオアトリート! 夜は未だ明けないのだから!」



●ゲームマスターより

 トリックオアトリート!

『魔法道具:Phantom Night』
 練達のDr.マッドハッターの発明品。狂ったお茶会を楽しめる不思議の国のセットです。
 ハロウィンテイストに飾られた薔薇の迷路がございます。入口は3つ迷路は難しいですがどの様な抜け方をしてもOKです。
 迷路内には様々な悪戯が仕掛けられています。(飛び出すキャンディや追いかけてくるローストチキン、絡みつく蔦etc……)
 迷路を抜ければパーティー会場。踊り歌う食器たちと楽しい晩餐会を楽しめます。ダンスがしたい? 勿論、食器たちはそれも許すでしょう。
 あまりにオイタをしてしまえば赤の女王が怒りだします。公序良俗はしっかりとお守りくださいね!
 どんな仮装をしたのかを必ずお書きくださいませ。SD参照などでもOK。なぜ? 今日のドレスコードだからですよ、アリス

【1】【2】よりお選びください。

【1】迷路にチャレンジ
 様々な悪戯の仕掛けられた迷路にチャレンジします。どんな悪戯かもご指定くださってOKです。
 貴女は抜けられるでしょうか?迷ってしまうかもしれませんね。

【2】パーティー
 ハロウィンパーティーへと参加します。
 食事は十分。トリックオアトリートと声をかけてくるトランプ兵たちもいるでしょう。楽しいお食事をお楽しみください。
 踊り歌う食器たちとの楽しい語らいも、おなか一杯に食べる事も楽しいですよ。奔り回るローストチキンがオススメです。
 特異運命座標の皆さん同士で悪戯し合ったり、踊ったり、語ったりと存分に楽しんでください。


●備考

シナリオ参加締め切り 11/3 23:59までです。ご注意ください。
・お友達との参加に関して
 迷子防止のために【お名前タグ】か名前(ID)の何れかをご使用ください。
 ご記載のない場合はうっかり迷子ではぐれてしまうかしれません。

・NPC参加に関して。
 ステータスシートを所有するNPCはざんげ以外は存在するものと扱います。
 ステータスシートを所有しないNPCに関してはDr.マッドハッターとファンのみ存在するものとして扱います。
 どちらもご希望がございましたらお気軽にお声掛けください。

●リプレイ



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