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<闘技名鑑No.003>『猫のワルツ』スー
登場人物一覧
<闘技名鑑No.003>
『猫のワルツ』スー
●人物像
猫科のブルーブラッド。104歳(!)の女性。両利き。
出自として謎が多い人物である。複雑な環境で生きてきたという噂もあるが詳細は不明。
自己申告のプロフィールでは、104歳を自称している。外見だけならどう見ても少女のそれだが、種族によって年齢や寿命の幅も広い為、一概に冗談とも言えない。
また、様々な地域で旅の踊り子として活動する彼女を見たという声を聴く。その中に、『若い頃に見た事がある』という老父も居るという。しかしそれを裏付けと呼んでいいかどうかは……。
なお、彼女が故郷と呼ぶ村は既に存在していないと言われている。嘘か誠か、彼女のみぞ知る。
元々、ラド・バウという娯楽性の強い闘いに関心は薄かったが、イレギュラーズを招待するローレット主催の公式大会、ローレット・カップの開催を機に興味を持ったと語っている。
とは言え、戦いそのものよりは様々な観客の前で踊れる、という点を重要視しているようではある。
イレギュラーズとして召喚された後も気まぐれに旅を続けており、手に入れたファイトマネーもほぼその路銀の足しにされているようだ。
旅路の関係でラド・バウでの試合参加も不定期である。試合で見れたらラッキーだ。
●寸評
ラド・バウD級闘士(2020/09/25現在)。
軽い身のこなしで翻弄させて相手の隙を突き、勝利をかすめ取る戦闘スタイルを取る闘士。
踊りを"魅せる"事に情熱を注いでいる彼女を快く思わない闘士もいるようだが、そういった者達も黙らせてきた実力を併せ持つ。
あまり勝敗自体には拘る事は無いようだ。納得の行く『踊り』が披露出来れば満足ではあるものの、しかし負ける事を是としている様子も見受けられない。戦いも踊りも、真剣に取り組んでいるのだ。
格上との試合でも臆さず笑顔で挑み、気持ちのいい試合を見せてくれるだろう。
ワンパンで負けてしまう事もあるけれど、それもご愛嬌。
扱う武器は毎回同じものである。
飾り布が柄に結ばれた、剣舞で使われるような短い片手剣と、美感に訴える意匠が凝らされたケープを用いる。
蝶のように踊り、蜂のように刺す、踊り子の彼女らしい武器だ。
刺突も斬撃にも優れた鋭い刃もさることながら、剣に結ばれた飾り布の幻惑効果は対戦相手にとって予想以上の効果を実感するはずだ。
生半可な魔法や遠距離攻撃はケープや飾り布でいともたやすく振り払われてしまう。
美しき刺繍の施されたケープはふわふわと揺れ、相手の視線を追わせ、気をそらし、距離感を狂わせる。
また、ステップマジックという独自の技術を駆使する事でそれらの幻惑効果を飛躍的に高めている。
彼女自身、非力で貧弱な弱点を自覚している事から、それを克服するために生み出したものであるようだ。
激しい舞踏のさなかで動きや体感速度をより鋭敏化。緻密で繊細な動きにより繰り出される攻撃と回避行動は着実に相手の体力を奪う。
手を伸ばせば掴めそうなつかず離れずの距離を保ち、嘲笑うかのように目の前で開かれる一人の為だけのダンスショウは、じわじわと対戦相手を追い詰めていく。
これによりペースを崩され、彼女を捉えられずに負けた闘士も多い。
そんな彼女だが、己の美貌もしっかり自覚しているようで、試合ごとに衣装を変えるのも見どころ。可愛らしい衣装から露出度の高い大胆なものまで多岐に渡っている。
次回はどのような衣装を着こなすか、彼女のファンの楽しみの一つであるよう。
闘士としてはまだまだ発展途上、だがこれからの活躍を応援したくなる。
彼女の追っかけをするなら今のうちだろう。
(ジャーナリスト:P・ポンタ)