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<闘技名鑑No.002>『黒焔纏いし朱煌剣』アリシア
登場人物一覧
<闘技名鑑No.002>
『黒焔纏いし朱煌剣』アリシア
●人物像
異世界からやって来た旅人で、20歳の女性。尖った耳と薔薇を思わせる髪色はまさしく彼女自身が名乗る吸血鬼を連想させる。
同性の血を好むと言い、夜な夜な美女の血を啜っているとまことしやかに囁かれている。その事から情報が少なく、ミステリアスで近寄りがたい雰囲気を纏う。
少女然とした服装を好む傾向にあるようだが、華憐さの中に危険さが同居したような立ち振る舞いを見せる。
聖剣騎士団というイレギュラーズが独自に運営する騎士団に所属し、戦いの中に身を置いている。
その中での称号は『全てを切り裂く一太刀・モラルタ』。まさに一刀の下に敵を伏す彼女に相応しいものだ。
大規模ギルドの『ローレット』に所属している。人々の依頼の声のもと各地に馳せ参じるが、果たして彼女がそう単純な人助けなどするのだろうか? 瞳の奥に眠る真の目的は果たして──。
●寸評
ラド・バウC級闘士(2020/07/25現在)。
短期間でC級まで上り詰めた実力派闘士。ローレット主催で開かれる招待試合でも善戦を重ね、決勝トーナメントに名を連ねたりと目覚ましい活躍を重ねている。
魔法と剣術の扱いに長ける、いわゆる魔法戦士タイプな戦闘スタイル。身に着けている指輪から魔力を引き出し、剣の刃に魔力を乗せて戦う。引き出す魔力は攻撃にも防御壁にも転用しているようで、高い魔術の素養を仄めかす。
使用する武器は主に片手剣だが、いわゆる日本刀と呼ばれる異国の剣を扱う事もある。
魔術に抵抗を持つ者には剣術を、物理的に頑丈な者には魔術をぶつける事が出来る点から、その戦闘スタイルは相手を選ばない。
中距離から放つ小技を効かせたトリッキーな戦法や防御を固めた堅実な戦い方も行える一方で、肉薄してからの重い一撃を繰り出す大胆さも持ち合わせ、そのバトルセンスの高さを伺わせる。
中でも彼女の放つ『幻雷斬』は流れる剣撃の後に紫電が絡みつき、対戦相手の態勢を崩して隙を作る、一体一でも多対多でも通用する万能技。その後に魔力を乗せた強撃を叩き込み、幾人も沈めてきた。試合の中でも多用される為、彼女と戦う闘士はその瞬間を強く恐れているという。
この戦法は彼女独自の勝ち筋に則った至極まっすぐなものであり、卑怯な手を使う事は無い。また相手がそのような姑息な戦法を取っても自らの戦い方を崩さぬ様は、矜持を保つ吸血鬼らしい高潔さが見える。
兎に角あらゆる弱点を無くす努力を見せており、何かの執念すらも感じるほど。
多彩な戦法を持つ彼女だが、力や体力だけでねじ伏せてくる相手を苦手としている節があるため、ゴリ押しされると一気に劣勢に持ち込まれやすい。彼女ほどの実力者がそんな弱点を自覚していない訳は無く、そういった相手への対策も既に練られているだろうが。
そんな彼女の人気についてだが、彼女自身は『皆無』と語るものの、彼女の出る試合はよくよく席が埋まる。
それもそのはず。美しき少女然とした闘士が、己の体格より大きな屈強な男をねじ伏せるのだ。
強いだけでも鉄帝国では人気になるのだが、彼女自身その美貌を何とも思っていないどころか他者の方が優れていると考えているようで、そこがなんともいじらしいと評判である。
過去にD級闘士(当時)のクステ選手との試合にて、卑劣な戦い方をする彼に対し一切動じずに勝利を掴んだ(クステ選手は精神を徹底的に動揺させる戦い方で有名。女性闘士なら衣服の脱衣を優先して狙い、男性闘士なら急所を狙うなど)。女性闘士のサービスシーン目当てに駆け付けた観客も居たが、そんな者たちですら魅了させる程、鮮やかに実力で圧勝をもぎ取ってから人気が急上昇。
鉄帝人は強くて自信満々の者が好きだが、強くてお淑やかな者も好きなのである。
公式か非公式か、猫耳と尻尾をつけた『にゃりしあ』という衣装がファンの心をくすぐっている。
要はクールでミステリアスな少女が可愛らしいコスプレを披露した事によりやられた連中が多いのである。
そんな彼女を題材にした創作本まで出回っているという噂も。決して本人の目に付かないよう、ファンはこっそり楽しんでほしいものであるが……。
夜に微笑む紅の淑女、アリシア・アンジェ・ネイリヴォームの魅力に取りつかれたならば、今すぐラド・バウに足を運ぶべきだろう。
(ジャーナリスト:P・ポンタ)