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ウホ
登場人物一覧
ぱ/ん/ロ/マ夢 (コング、甘熟)
名前変換有 → ##name1##
煙る空と灰色の街。地響きの如き破壊音が定期的に鳴るのを聞いて、##name1##は振り返った。
知っている。これは彼の足跡。歩くだけで、触れるだけでものを壊してしまう不器用すぎる彼の……。
「おはようございます、コングさん」
「ウホッホ! ウホホホウホ! ホワァーーーーーーーーア! ホワーーー!」
大ジャンプで##name1##の目の前に着地するコンバルグ・コング。
ひずむ地面。ひび割れる窓。追って落ちてくる折れた自転車。
コングはそれでも飽き足らず、地面を両手の拳でドンドンとたたき続けていた。
今日のコングは一段と気分が荒れていた。
それもそのはず。先日一緒に行ったチャリティーイベントでは散々だったからだ。
そのチャリティーは慈善団体が催したもので、鉄帝の恵まれない子供たちにファイターたちが会いに行くというものだった。
ラド・バウA級闘士であるコングはそうしたイベントに呼ばれることも多く、スポンサーからの要請とあらばフイにするのも難しい。
結局他のA級闘士たちと一緒に病院へ赴き、手術を受ける元気が欲しいという子供を励ますことになったのだが……。
「コングさん、この子を励ましてあげてください!」
「任せろ、##name1##!」
コングのトレーナーとして同伴した##name1##に導かれるようにして、気合い充分のコングが病室へローリングタックルで飛び込んだ。
ギプスで足をつった少年に対して、病院じゅうに響き渡るような大声をはりあげる。
「オマエ、ツヨクナル! ナレ! ウホウホウホウホウホウホ!!」
鋼の鎧を鋼の拳でドラミングするコングの音は病院じゅうのいろんなひとをびっくりさせ、ドラミングによって起きた風圧で病室はひっくりかえってしまった。
幸い少年に怪我はなかったけれど……。
「コングさん……」
病院から帰る時の、どこかシュンとした横顔を思い出す。
けれど##name1##は知っていた。コングは歩くだけで物を壊すとか病院に入れることが間違いだとか言われたけれど、いつも壊したものより多額のお金を渡して回っているし、孤児院や病院にもいつも出資し続けてるってことを。
コングにとって、試合前に食べるバナナがあれば、お金はいらない。
そして人一倍ものを壊してしまう彼だからこそ、人一倍それを気にして彼なりに補おうとしているのだ。
「ウホ……##name1##……落ち着いた。すまない」
頭をかりかりとかきながら、コングは##name1##に頭を下げた。
「荒れるのも仕方ないですよ。昨日は病院で、明日は孤児院ですから……」
シュンとしたあの横顔を思い出す。
ふと見ると、今日の新聞にはイケメンC級闘士が流麗なサイン色紙を入院中の少年にプレゼントしている写真が掲載されていた。
「サイン……か……」
「コングさん?」
首をかしげる##name1##の胴体を片腕でがしりと掴むとすぐ近くの文房具屋さんへとローリングタックルで突入していった。
「色紙だ! 色紙をくれ! 全部だ!」
それから猛特訓がはじまった。
鉄板すらべきべきにしてしまうコングが、彼からすれば爪楊枝以下のようなサインペンをつかみ小さな色紙に自分の名前を書き付ける。
その作業は困難を極め、幾度となく色紙どころか机を粉砕してしまった。
けれど……。
「大丈夫です、コングさん! 机も色紙もまだあります!」
##name1##は熱心にノコギリと釘とハンマーを装備し、木材から机を作り続けた。
「あなたが壊してしまっても、私が作ってみせます。だから自分を諦めないで!」
「ウホ##name1##……」
しばし##name1##の顔をじっと見つめたコングは、嵐のごとく叫びを上げた。
「グオオオオオオオオオオ!!!!」
近所の猫という猫が、鳥という鳥が、人という人が逃げ出す叫びであったが……。
しかし……。
「こ、これは……」
薄目を開けた##name1##は、自分の胸に色紙が押し当てられているのを見た。
色紙には豪快な文字で『コンバルグ・コング』と書いてある。
そうだ。
##name1##は、知っていた。
コングは触れる物みな壊してしまうが、人だけは傷つけない。
「できましたね、コングさん!」
「……ウホ」
コングは頷き、##name1##はおそらく史上初であろうコングのサイン入り色紙を抱きしめた。
翌々日。新聞には驚いた表情の子供たちがみなコングのサイン入り色紙を胸に抱いている写真が掲載された。
『優しきゴリラ』という一面記事に頷いて、##name1##はそっと新聞を置いた。
これからコングの試合が始まるのだ。
控え室から出たコングの目は、どこかららんらんと輝いているように見えた。
「今日は気合い充分ですね、コングさん。控え室でバナナもいっぱい食べましたもんね!」
「……」
コングは黙って、##name1##の目の前にバナナを突き出した。
赤いリボンの結ばれた、一本のバナナ。
「――ウホ」
ゆっくりと、そして小さく頷くコング。
##name1##もまた、ゆっくりと……そして目を瞑って頷いた。
知っている。
『ウホ』の二文字に隠された、彼の心を知っている。
コングはファイター。##name1##はトレーナー。
二人の距離は変わらないけれど、言葉に出来ない言葉を、##name1##は知っていた。
自分にだけ書き込まれた――『愛してる』の、サインを。
コングの背が、輝く闘技場の逆光へと消え、シルエットがかすんでいく。
「ウホアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
大地を踏みしめ、天に向けてドラミングをするコング。
その声を、通用口の壁に背を当てて、##name1##は聞いていた。
マグ「はぁ~コングさん純真! チョロい!(笑」
コング「ウホッホ!」
マグ「けどそんなコングさん大好きです!」
コング「ウホホ……(////」
マグ「え、次のお話はないのかって? そ、それはまたいずれ……(汗」
コング「ウホウホ」
マグ「それじゃあ最後に、一言だけいいですか?」
コング「……ウホ」←CV※※※(妄想)
マグ「それではまた~~! 夢小説が出来る前に夢絵をくれた†常闇猫月†さんありがとうございま~す! リンク結ばせてもらいました!(爆」
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