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あなたと過ごすその時が
登場人物一覧
ぱ/ん/ロ/マ夢 (帽子屋、甘々)
名前変換有 → ##name1##
探求都市国家アデプトの首都セフィロト。その一画に彼の過ごすサロンがあった。
何時もの通り、ファンさんと言うチャイニーズ風の旅人が私の事を美しい花が咲くサロンへと誘ってくれる。
「こちらへ」ってそんな声を聞きながら、ゆっくりと其方を向けば大きなテーブルにカラフルな菓子を乗せたマッドハッターさんが座っていた。
「やあ」
ひらりと手を振って、微笑んでくれるマッドハッターさん。その笑顔は何時もの通り格好良い。
「お招きいただき、ありがとうございます……!」
「いや、君も物好きだねアリス。わざわざ私の茶会に参加したいと言うのだから。
どのような気紛れなのかは分からないが……私は、君ならばいつでも歓迎だよ――##name1##?」
そうやって、意地悪く私の名前を呼んだ。
最初は特異運命座標の名前なんて覚える気がなくって、ローレットから来る人は皆同じ扱いだった。
練達で沢山仕事をした人たちの事なら、憶えて居るのかもしれないけれど……。
操さんたちには認知度は叶わないし、『アリス』って呼ばれ続けるのも仕方ないのかと思ってた。
けど――
「君は物好きだね、アリス?」とマッドハッターさんはそう言った。
私は、彼のお茶会に参加するのが好きだ。カラフル過ぎて驚くようなお菓子も、あたたかくておいしい紅茶も。
……紅茶はファンさんが淹れているんだろうけど、マッドハッターさん好みにと調整したそれは本当においしかった。
「私は此処でマッドハッターさんとお茶するのが楽しいんです」と告げた時、彼は不思議そうな顔をしてこっちを見て瞬いた。傍でファンさんが噴出したけれど、どうしてかは分からない。
「楽しい? 私が話す言葉なんて、大体が理解で居ないだろう。それに君……私は君の名前すら憶えない。
それでも、楽しいと、そう感じると言うのかな。……ふふ、それならばどれ程、喜ばしい事なんだろうか」
くすくすと笑うマッドハッターさんにファンさんは「私もお役御免ですカ?」と問いかけている。
「……みんな、マッドハッターさんのお茶会は楽しみにしてると思うんですけど……」
「さあ、どうかな。案外、何時も変わらぬ気狂いの帽子屋の話など意識の川へと流して時間泥棒を無視する事でのんびりと茶と菓子を楽しんでいるのかもしれないさ」
「そうですか?」
「ああ」
頷くマッドハッターさんに、私は「けど」と少しだけ食い下がった。何だか、それを認めてしまえば、私までマッドハッターさんと過ごす時間を馬鹿にされている気がしたからだ。
「私は、マッドハッターさんの面白おかしいお話も好きだし、毎日誕生日を祝ってくれるのも楽しい。
それに、元の世界のアリスと過ごす時間を私に分けてくれてるんだとすれば、それってとっても、嬉しいです」
「―――」
「あっ、マ、マッドハッターさんが喜んでくれるなら、ですよ!?
……貴方が私と過ごすのを喜んでくれるんなら……それって、とっても嬉しいって思って」
私がそう言った時、ファンさんがマッドハッターさんの肩をトンと叩いていた。
それから、というものの彼は私の事を名前で呼んでくれるようになった。
私との二人きりの茶会を楽しんでくれてるみたいなのだ。その時は大きめのティーポットに紅茶を淹れてファンさんも席を外している。それが一番の変化だったかもしれない。
「##name1##? どうかしたのかい?」
「あ、いいえ……その、今日はファンさんは?」
私がそう問いかければマッドハッターさんはその表情を帽子で隠してから私の手をそっと握った。
先ずは手首を掴んでいた白い手袋からその手がそっと抜かれていく。素肌になって、手袋を置き去りにしたまま、彼の手は私の指先に這ってから、ぎゅうっと私の指先と絡めた。
「君は、ファンも一緒が良かったのかい?」
「えっ、いいえ……! そう言うわけでは」
「――なら、私に嫉妬と言う感情を抱かせてくれるなよ。知っているかい? ##name1##。男の嫉妬というものは物語では陳腐に語れるがね、海よりも深い時もある。嗚呼、けれど、こう思わせたのは君の所為なのだから――」
その儘、ぐいっと腕を引かれた。私はバランスを崩して彼の腕の中へと転がり込んでいく。
「わあ」と声を上げて、マッドハッターさんの腕の中に納まった私は、真正面から彼の顔を見上げてどきんと胸が高鳴るのを抑えられなかった。
「……さて、どうしてくれようか」
「え、えっと! マッドハッターさん……!
ち、ちが……ッ、わ、私はマッドハッターさんと二人きりで過ごせるのが嬉しくて……!」
「そうか――……ふふ、冗談さ、アリス。私はそれ程、強引な男ではないのだよ。まだまだ時間はある。
ゆっくりと私と君の物語りを進めていくのだって――悪くはないだろう……?」
そう言って、マッドハッターさんは私の前髪を掻き上げた。額が覗いた其処へと小さく唇が落とされる。
かあと頬が赤くなる感覚に私が思わず彼の腕の中から離れると、楽し気な笑い声が降ってきた。
「さて、##name1##、紅茶は飲むかい?」
「……ッ」
全く、狡い人だ。こうやって、私が困るのを見て楽しんでいるんだから。
それでも、さっき見せてくれた嫉妬が本当なら……私は嬉しくなって彼の顔をもう一度見る。
いつも通りの涼しい顔をして、マッドハッターさんは私の名前を呼んだ。
「さて、そろそろファンを呼ぼうか。紅茶も冷めてしまっただろうし――ね?」
ああ、意地悪!
けれど。私はまた、明日もこうしてこの場所に訪れるのだろう。
貴方が新しく見せてくれたその表情が、仕草が、どこまでも愛おしくって、嬉しかったから。
あなたと過ごすその時が
(かけがえがないって、教えてくれるでしょう?)
マグ「いや~! マッドハッターさん、嫉妬!(笑」
帽子「偶にはいいだろう」
マグ「勿論! それに甘いこと言う~~! 超好きです!」
帽子「そうかい? アリスがお好みだと思ってね」
マグ「そりゃまあ(爆」
帽子「それで? 私とアリスの話はもう終わりかい?」
マグ「ま、また書きますから!(滝汗」
帽子「……また、楽しみにしているよ。私のアリス」←CV※※※(妄想)
マグ「それではまた~~! あ、夢絵はお待ちしてます(爆」
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