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君に幸せを飾って
登場人物一覧
「琉珂、琉珂、こっち」
手招いた玲樹はその頬を赤く染めて楽し気に微笑んだ。ひらひらと手を振った玲樹に手を引かれながら琉珂はフリアノンを駆けていく。
「待って、玲樹。どうしたの?」
手を引かれ、琉珂は不思議そうな顔で彼を見つめた。フリアノンは、亜竜の郷は小さな場所だ。
それこそ、幼い頃から知っていた彼がこれほどまでに嬉しそうに笑うのだから琉珂だって意外な表情を見たと困惑をしようもの。
ずっと大事な、大切な友人として――それだけではきっとないのだろう。この混沌世界で、フリアノンを束ねる一家に生を受けた姫なのだから――見守って来てくれた彼が「とっておきがあるんだよ」と笑うのだ。
幼い頃のように、彼と共に原っぱに転げるように走り出すような年齢ではなくなってしまった。
玲樹だって、琉の家を継いでデザイナーとして生計を立てているし、琉珂とて里長として奔走する日々だ。
それでも、幼い子供のようにこうして走る事が出来たのはなんだか、とても楽しくて。
「玲樹。もしかして本当にとっておき?」
「そうだよ。琉珂。とってもとっておき。だってさ、俺が琉珂の事を考えたんだから!」
「あ、なんだかわかっちゃったわ?」
しまった、とそんな顔をした玲樹を見つめてから琉珂は楽しげに笑って見せた。
――彼は宝石等の細工を行っている琉の家に生まれてついている。それでも、まだまだ一人前とは呼ばれずに修行の身だろう。
近頃は宝石の細工関係のデザインを彼が起こしていることを琉珂は知っていた。自身が正式に他国を訪問する際に身に着けるアクセサリーを彼に依頼すると意気込んでいた事だってある。
デザインと制作は彼と、彼の妹の幸華にお願いしたいともそう考えていたのだ。
それは玲樹当人にだって伝えてあった。だからだろう。その
「ほら。琉珂。こっち」
「琉珂、琉珂!」
手を振る幸華に気が付いてから琉珂は「幸華」と微笑みかけた。玲樹にもよく似ていると、そう思える可愛らしい少女――実年齢よりも幼く、小柄に思えるのが琉家の特徴だ――が自慢げな顔をして琉珂を招き入れてくれる。
室内にひょこりと顔を出した琉珂の前には箱がひとつ置かれていた。ボストンバックのようなそれはラサの市から流れ着いてから玲樹達が宝飾類の保存用に利用しているケースだ。
玲樹と幸華が顔を見合わせて悪戯めいて笑う。
「見て、琉珂」
「とっておきよ、琉珂」
二人がゆっくりとケースを開いたならば、その中には可愛らしいティアラが入っていた。
きらりと淡く光る桃色の宝石に、散りばめられた星屑のような意匠が何とも愛らしいティアラだ。
「わ、わ、すごいわ……!」
「これは、琉珂のためのものだよ。だから、着けてみて?」
「いいの、こんなにも凄いもの」
「勿論。だって、これは俺達が琉珂にって思って1からデザインしたんだから」
琉珂はそっとそれを手に取った。緊張がその体に走る。壊してしまわぬ様にと頭上に掲げようとするが硬直してしまった。
玲樹は小さく笑ってから琉珂からそれを受け取る。まるで戴冠式のような様子で、青年は彼女の頭にそのティアラを乗せた。
「目を開けて」
囁きに琉珂が顔を上げる。目を開いてから鏡をじっと見つめれば自身にぴたりと収まる様にそのティアラが輝いている。
「綺麗だね、琉珂。俺が思った通り!」
「ふふ、私が作ったんだから。琉珂にぴったりで、一番に似合う様にって!」
自慢げな幸華と玲樹をみやってから琉珂は「ありがとう」とそう笑った。
正式なものじゃない。ただ、それでも、亜竜種の姫君という中途半端な称号のままではない。
彼女は女王になるべき存在だ。その権威を示すならば、彼らが作った
「私、不安だったのかも。一人で、この
「琉珂のティアラは私たちが琉珂を愛している証だよ」
「そうだよ。琉珂。君と過ごす日々が俺達は一番大好きなんだ。だから、さ、今日も一緒に食事をして楽しい事を話して。
それから、毎日毎日、懸命に生きていこうよ。君が笑っている傍に、俺達も絶対一緒に居るから」
「ありがとう! 二人とも!」
輝くそれは、きっと彼女にとってのしあわせの証になる筈だ。
きらりと毀れた感情のように、玲樹はそっとそれを眺めてから幸華と頷く。
どんな不幸があったって、彼女と共に歩いて行こう。それが、この
- 君に幸せを飾って完了
- GM名夏あかね
- 種別SS
- 納品日2026年06月13日
- テーマ『これからの話をしよう』
・珱・琉珂(p3n000246)
・琉・玲樹(p3p010481)
