SS詳細
瑞獣の巫女
登場人物一覧
名前:シキ・ナイトアッシュ
種族:
特徴:元旅人であった少女。貴石の民
設定:
――あなたが死んでしまうことを、わたしは苦しくおもいます。
黄泉津瑞神はシキの運命について察して居たのだろう。シキからそれを告げる事が出来たのはつい最近のことでしかなかったのだが。
混沌での冒険を続け、十年が経った頃に彼女の肉体は宝石になってしまう。騙し騙し、生きては来たけれど、それには代りは無かったのだ。
ただ、黄泉津瑞神は「共に生きてくれる未来はないか」と問うた。
「わたしの力を貴女に少しばかり分けることはできましょう。けれど、只の人のように生きるだけ。
長く、長くずっと生きてはいけないでしょう。精々が
その揺らぐことない神格を有した神霊から見れば、人間の一生などまたたきのようなものだっただろう。
シキは彼女の問い掛けに頷いた。カムイグラで彼女と友人となった時から傍にあった瑞刀に自らの持ち得る命の全てを注ぎ願いとする。
賭けでしかなかったが、黄泉津瑞神の支えもあり少女の肉体は大きく変化することとなったのだ。
今のシキ・ナイトアッシュは黄泉津瑞神の巫女だ。彼女の力を借り受け、その肉体に黄泉津の神格を注ぎ込んだ。
神霊と呼ぶべき器へと変化した彼女の身を蝕んでいたわざわいは進行することはない。
「のぞむならば、すべてのあとを消し去ることもできましょう。宝石があなたを蝕むことは、もう二度とありませんもの」
黄泉津瑞神の加護を与えられたのはこれまでシキが豊穣郷に尽くしてきたからこそだっただろう。
神霊へと変化をしたとて、与えられたのは力の一端のみ。人間としては少しだけ永い寿命を生きていくだけ、となってしまうだろうが。
それだけでも、きっと、贅沢者なのだとシキは可笑しそうに笑った。
――因みに、その一連の流れを知ってから黄龍は拗ねて、拗ねて仕方が無かったのだという。
元より
「これから、生きていく未来に祝福があれば」
其れで良いと黄龍はシキを抱き締めてくれたというのは余談である。