PandoraPartyProject

SS詳細

変化した者、見届ける者

登場人物一覧

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
ジェラルド・ヴォルタ(p3p010356)
戦乙女の守護者


 無辜なる混沌フーリッシュ・ケイオスは不穏さが増すばかりの今日この頃。特異運命座標イレギュラーズ達は各々の国で駆り出されている。『不屈の太陽』ジェラルド・ヴォルタ(p3p010356)もまた見逃せない邪悪を前に一人最後の戦いへの準備を着々と進めていたところだった。
「あれー? 久しぶり? 身長伸びた?」
 そんな気の抜けたような声でジェラルドに声をかけた者がいた。
「ア、アンタ……久々に顔見たな……こんな時に再会出来ちまうとは俺も驚いたぜ」
 ジェラルドが目を見開いて驚いた人物は『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)だ。
 ジェラルドは彼と会うのは実に二年近くぶりと言う事になる。驚きも当然の事だった。
「フラッと声掛けてきたと思ったらそっから全然見かけなくなっちまって、どうしちまったかと思ってたぜ」
「いやいや〜心配させてたかな? 悪かったね、そんなつもりはなかったんだ」
 あっけらかんと笑うランドウェラにジェラルドは相変わらずそうだと苦笑した。
「さっきの返答だが別に身長は変わりはしねぇよ、髪は切ったが」
「あ〜〜〜〜だから印象違ったんだね!! なるほど、謎が一つ解けたよ〜〜!!」
「謎なんてもんじゃないんだがなー?」
「それで、今日出会えたのも何かの縁だしまたどっか行く? 前はふわふわだったから今度はきらきらなんてどうだろうか。あ、金平糖いる?」
「その、ついでに金平糖いるか聞くのも変わってねーのな」
 まぁまぁまぁとテンションの高いランドウェラにジェラルドは仕方ないなと。
「別に付き合ったっていいがよ、アンタは準備とかいいのか?」
「準備?」
 ランドウェラが首を傾けキョトンとした反応をする。それに少し呆れ気味にジェラルドは今の世界の状況を話し始める。
混沌ここも今じゃなかなか騒がしくなってるぜ? 特異運命座標なんだから、戦いには声かけられるだろうし、その準備はいいのかい?」
「あ〜……僕、戦いは苦手で。いや、苦手って言うのもまた違うかな……刀を壊したくなくて、あんまり戦ってない? 的な?」
「か、刀ってのは戦う為にあるもんじゃねーのか?」
「いやぁ〜最近そう言えばそうだなって気づいて! 今更ながら鍛え始めちゃったんだよねぇー。だから僕が今更準備しても、ねぇ?」
「そーかい? まぁアンタのやり方にケチつけてぇ訳じゃねぇからアンタが良いんならいいけどよ」
「ハハハ〜」
 こんな、世界の終わりのような世間に対してランドウェラは気楽に笑っているように見えた。どうも彼の事は以前に会った時もそうだったが、掴みどころが難しい男だと思う。それとももっと単純なのだろうか? と。
「……俺は力になりてぇヤツが居るから、準備してもしたりねぇぐらいなんだけどよ」
「そうなのかい? 以前見たジェラルドからは少々印象が変わったんだね?」
「そう思うか? まぁ、我ながら自分でもそう思う」
 覇竜覇竜領域デザストルを出る前はもっと簡単に考えていたはずだ。向かってくる敵を薙ぎ倒すくらい簡単に考えてたはずだった。
 それが……こうもたった数年覇竜の外混沌の世界を見ただけで、様々な人と関わっただけで、人生までもがガラリと変えられた気がした。
「……命をかけてもいいと思えるヤツに出会っちまったから、かね」
「そんな人に?」
「自分でもおかしいと思うけどよ」
「別に俺はおかしいなんて言ってないよ。まぁでも本当に命をかけるのは止めた方がいいんじゃないかな」
「あ?」
 ランドウェラの意外な言葉に驚いてジェラルドは彼の方へと視線を向けた。
「だって、命をかけられたってその人が喜ぶって本当に思う?」
「それは……」
「ジェラルドがその人を死なせたくないから命をかけたいのはわかるけど、逆も同じ事だよ
 だから共に生きる為に戦う……が心構えとしては健康なんじゃないかな!」
「……共に生きる、か」
 に対して感情を抱いたまま共に生きる事を願ってもいいものか、ジェラルドは悩んでいた。
 こんなに難しく考えるくらいなら命をかける方が簡単だと思えるくらいにだ。
「ジェラルドにも複雑な気持ちが生まれてるんだね?」
「まぁ、一方通行の気持ちってのは儘ならねぇなぁとは、な」
「それはもしかして、もしかしなくても、恋バナってヤツかい!? 詳しくしていいかな!?」
「止めてくれ、そんな大袈裟なもんじゃねぇよ」
「そうかい……?」
 テンション高々なランドウェラにジェラルドは少し嫌そうな顔を浮かべ、ランドウェラはあからさまにしゅんとした。
「……この戦いに生き残れたら、話さなくもない。お互い、な」
「それは本当かい?!」
「……そんなテンション上がるような事でもないだろう?」
「そんな事はないさ、楽しみにしているよ」
「……なんだかなぁ」
 ヤレヤレと言った様子のジェラルドだが、こうしてランドウェラの雰囲気に飲まれ
 約束をしたのだった。


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