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幼き日に光を帯びて
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- エルス・ティーネの関係者
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子雨が探していたのは幼馴染みで兄のように慕う少年だった。何時もふてくされて傷だらけになって居る2才上の幼馴染みは、更にその兄に当たる少年二人と比べられることに飽き飽きしていたらしい。
「どこー? あーそん」
「
有梛は有存の母親である。上の兄の
康家は代々は介護や医療を担当する家系である。長兄の有心は秀才であり、介護の心得を胸に薬剤師となることを目指すのだと言った。二男にあたる有末は天才だ。薬学の知識に優れていた兄は見る見るうちに全てを吸収した。
「じん兄とすえ兄はお勉強終ったって」
唇をつんと尖らせた有存は「知らない」とごろりと原っぱに転がった。「ずうは何時も楽しそうでいいよなあ」と有存はぼやく。
年の離れた兄達は勉学に優れている以上に人徳に厚かった。帯する有存が落ちこぼれと言われるのもそうした所なのだろう。
まだ9つだ。だが、立派に学び、人々の役に立とうとする兄達は眩い光の下に居るからこそ簡単に比べられる。有存は物心付いた頃からそうだった。
母である有梛は医術士だった。父の
どちらかと言えば父に似たのだと有存は認識している。母の持った知識も、その頭脳も有存は全く以て持ち合わせては居ないものであったからだ。
「どーせなら、とーちゃんと稽古したい」
「あそん、棒術苦手じゃない」
「ずうはいつもおれに文句ばっか言う」
「あ、また、おれっていった。だめなんだよ。おれっていったら」
頬を膨らます子雨は小さなお母さんのように振る舞った。それら全てが有存の母の真似なのだから救われない。
もう少しおしとやかな女の子になってくれれば、こうして追い回されることも無かったのに。そんなことを考えてから「ばーか」と有存は子雨の額を叩いた。
「ひどい。傷が残ったらお嫁さんに貰って貰いますからね! 約束だよ!」
「誰の真似だよ」
「有梛ママだよ」
貰い手がなかったら、なんて言ったのかよと有存はぼやいてから「気が向いたらなあ」と返した。
- 幼き日に光を帯びて完了
- GM名夏あかね
- 種別SS
- 納品日2024年02月16日
- テーマ『それは愛しく、あたたかな』
・エルス・ティーネの関係者
※ エルス・ティーネからの提案