PandoraPartyProject

SS詳細

復活

登場人物一覧

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸

 蒼白な景色に眼球を送り込んでやれば、葬送してやれば、この世の中を模倣する事は容易だと思われた。想い想いに晒された結果が、刺し貫かれる最悪だったとしてもオマエは眠る事しか出来ない。コトコトと、沸々と、擽られる度にようやく覚醒する術を得た気分に陥る。チラチラと、チカチカと、明滅している星のようなものはおそらく幻想上の魔障なのだろう。まるで瘴気を浴びたかのような、まるで正気を削られたかのような、ゆっくりと咀嚼されるような泥濘感。そう、たとえば、最近目にした気のするバグホールの虚、只、投身したくなるほどに鬱々としたベッドの柔らかさ。僕は知っている。知っているからこそ、こんな無様な状態を僕自身に晒しているのです。するりと歪んだ現実がパラダイスへと思考を引っ張り上げる。そうとも、僕は喪失しているのだ。喪失していて、虚無にやられて、息苦しくて仕方がないのだ。……嗚呼、なんてこと。買い溜めていたと謂うのに最早ないと詠うワケか。伽藍洞と成り果てた瓶詰の奈落に己の刻印だけを垂れ流す……。僕は痛いのは嫌いだ。嫌いだから、普段は使わないようにしている。でも、この痛みが、今、必要に思えてたまらないのだ。寂しいが執念と化して纏わり憑き何もかもがひっくり返る。
 文字だ。たくさんの文字が嫉妬深くもオマエの目の前で回転を孕んでいる。いや、酷な事だ。齢十一くらいを自称するオコサマにはツラい夢現ではないか。幾等バベルが崩れなくたってこの難さはオツムに、莫迦みたいに悪い。色彩感覚に頼らずとも『白と黒』だけなのだからか、余計に、オツムの底へと塵芥が積もっていく。気分が悪い、気持ちが悪い、もっと痛くしてくれないと、気が触れてしまいそうだ。耳朶を引っ張ろうとしたところで回転する文字がやっと『絵』に変化してくれた。僕は何を見ているのだろうか。僕は何を聞いているのだろうか。喇叭だ。喇叭の音までぐるぐると周囲を旋回している。
 美味しそうな匂いまで流れてきた。ふわふわとした、蜂蜜のような馥郁だ。アルコールを彷彿とさせる眩暈に情け容赦なく何者かが這入ってくる。……僕を迎えにでもきたのかい? 天使だ。文字通りに天使だ。本当に――「時が止まっているかのように」――超自然的な大渦巻きが其処には在った。そうか、噂は真実だったんだね。僕は、また、甘い物を亡くしてしまったんだ。痛みは要らない、欲しいものは。
 回転だけとなったのだ。

おまけSS『嘘吐きイクリプス』

 ――慈しみが存在している。これは果たして愛なのだろうか。
 ――復活の兆しとして、まず、光が在る。
 ――光とはつまり、琥珀糖の齎した幻覚なのではないか。
 いたくないくすり、アンハッピー・ターンの粉、地獄味のあふれる様々な甘ったるさ。
 ――僕はつまり、彼等の世話になっているのではないか。
 疑問があふれてくる、クエスチョン・マークが留まる事をしらない。
 ――何もかもが回転している、それこそ、何処かで遭遇した、蛇みたいに。
 ――ねえ、※※※、なんで態々、僕のところなんかにやってきたんだい?
 月だ――月が嗤っている――隠れてしまった月のカタチは、もう。
 狂ったように、オマエの目の玉とおんなじだ。


PAGETOPPAGEBOTTOM