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雪に焔
登場人物一覧
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びゅうと吹きつけた風が白を渫っていく。塒としていた『料亭』が
雪は、
以前はどう思っていただろうか。雪が降ってくれた方が寒さが薄れ、冬の雨よりもありがたいと思っていたかも知れない。そんな寒さは、魔種となってから気にならぬものとなった。己の血は常に怒りで滾り、燻り、爆ぜるようになったから、体は常に熱かった。寒さに凍えそうな思いをした過去の気持ちなど既に遠いもので、雪に対してもあれやこれやと考えることもなくなった。
ただ――悪くは無ェな、とは思う。雪は全てを隠してくれる。
――次はどうするか。
男はそうだなァと考えた。
豊穣で暴れるのも飽いた。この国を壊してやろうと思っていたが、数年前からこの国以外にもいけるようになった。
(国に固執する理由は無いよなァ)
大きいと思っていた国は、実は小さかった。国が開けてからというもの、
(国崩しよりも、もっとでっかいのを壊してェよなァ)
世界を壊そう。その考えは元よりあった。そして、今こそがこの国から出ていく良い頃合いであろう。
何より、世界を壊せば結果的にこの豊穣という国も瓦解する。いくつもの国とともに滅びを迎えるのだ。
(雪、か)
ひらひらと降る柔らかな白。鈍色の曇天。
見上げた男の脳裏にひとつの国が浮かび上がる。
(確か鉄帝とか言った国だったか? 冠位サマが暴れてるンだってなァ)
神皇帝に就いたらしい冠位憤怒様は、好きに暴れて良いとのお達しらしい。
好きに暴れたって罪にはならない。荒くれ者共の楽園。そう考えれば、血がぐつぐつと滾るようであった。
(冠位サマの顔も拝んで見てェしなァ。
闘争を望むのはきっと
雪降るある日、焔心(p3n000304)は豊穣という国を後にし――以降、その国の地を踏むことは無かった。
- 雪に焔完了
- GM名壱花
- 種別SS
- 納品日2023年12月06日
- テーマ『蒼雪の舞う空へ』
・焔心(p3n000304)
※ 耀 澄恋からの提案