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過去綴りの章・途
登場人物一覧
名前:リンディス=クァドラータ
設定:
紅血晶と月の王国での戦いを経てリンディスに様々な影響が及ぼされた。
烙印による影響は少女の肉体にも大きく変化を与えた。
右腕から始まる水晶化。その腕は戦いの最中に砕け散り、元に戻ることはなかった。
それでも記録者失格として追われる立場であった少女は兄の身を保護し、彼に認められる『未来』を掴み取った。
しかし――リンディスは文字録保管者、つまりは『記録』を行なう者である。
利き腕であった右腕を失い、『記録』もままならぬ状況であった。
自らの魔力を通した紙とインクを消費し『読破しており、書かれた言語について理解している』書類・本について短時間で写本を作成出来ていた能力も、現状では上手く発揮も出来まい。
そして、訪れる愛しき人との離別。
失意の最中であった少女は慣れない左手でペンを持ち――世界から得た贈り物にリンディス当人の思いが反映されたかの如く変化が訪れた。
自らの魔力を通した紙とインクを消費し「これまで記録してきた物語の断片」を使役することが可能。
魔力を流し込むことで記録時に『水晶の右腕』を一時的に作り上げる事をも可能とした。
記録の能力が不安定であるため、使役可能なのは動物程度に留まる。
記録は実体を伴い、リンディスの傍に佇む相棒となった。
――それはまるで、兄ケルズ=クァドラータの持ち得る記録の想起の如く。
未来を綴る編纂者として進むリンディスの覚悟の形として、傍らの相棒は力を貸してくれるだろう。
最後まで、記録を綴り歩み続けると決めた失意の娘にとっての苦難の道のりを『過去の物語』よりやってきた相棒は認め、眺め、糧とする。
決して歩んで途が無駄ではなかったのだと告げるように。
最後まで『記録』して行かなくてはならない。誰かが生きて、誰かが記録しなければ。
屹度、この物語に「めでたし」は訪れないのだから。
私だからこそ、出来る事を探して。
だからこそ、私は憶えている。