SS詳細
『回帰悲願』イルハン
登場人物一覧
名前:イルハン
一人称:僕
二人称:君
口調:だね、だよね、なのかな
登場シナリオ:<黄泉桎梏>熱き怒りの嵐を抱け
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/9818
ただ少しだけ器用な、けれどごく普通の少年だった。
ごく普通の父と母を持ち、友達がいて、村の学校に通っていた。
そんなある日、全ては奪われ、失われた。
それは豊穣の都が厄神によって滅び駆けていたかの事件のおり。魔種によって放たれた百鬼夜行に飲まれる形で首都郊外にあった彼の村は壊滅した。
復興と称して役人たちが訪れ建物を直し雇用を生み人を流れ込ませることで表向きの復興は済んだものの、少年にとっての過去はもはや戻ってなどこない。
けれど、少年は耐えた。
大人たちが言うからだ。
未来を見なさい。過去に縛られるな。死んだ人は帰ってこない。死んだご両親は喜ばない。
現実を、世界を、真実を知らぬ子供にとって、大人たちのそんな言葉を信じるしかなかった。
信じて、耐えた。
けれど心のどこかではずっとこう思っていた。
誰も、何も、僕に返してくれてなどいない。
父を返せ。
母を返せ。
友達を返せ。
学校を返せ。
日常を返せ!
ため込まれた感情は硬く硬く凝縮され、圧縮された。
そしてある出会いによって解放されたのだった。
『我等は星灯聖典。失ったものを取り返そう。それがどんなものであっても』
少年は豊穣の村にやってきた宣教師に触れ、その奇跡を目にすることになる。
死んだものは帰ってこない。過去になど戻れない。そんなルールをあざ笑うかのように、かの存在は奇跡を信じさせてくれた。
そう、信じさせてくれたのだ。
星灯聖典を導く氷の聖騎士様から下賜された聖骸布に触れた途端、心から信じることができた。
返ってくる! みんなが、ぜんぶが!
「このときより名乗ろう。僕の名はイルハン。洗礼名イルハン。僕の触れる全てを賭して、忠誠と崇拝を。聖騎士様がくれた、この力に誓って」
●『回帰悲願』イルハン
かつて失われた日常を取り戻せると信じ星灯聖典に忠誠を誓う豊穣出身の少年。
黒髪のショートヘアにラフに着崩した和服を好む。
聖骸布を多く下賜されているため超人的な戦闘能力を持ち、空想を一時的に具現化するという子供ならではの戦闘方法をとる。
天目 錬の領地を自らと同じ運命を辿らせようと襲った際に防衛されたことで、因縁が生まれている。
おまけSS『イルハンについての補足解説』
・領地襲撃の経緯
無垢なる少年であったイルハンは世界の全てに対して無意識の憎悪を抱いています。
特に豊穣の復興に寄与した天目 錬さんに対しては、『自分には日常が戻ってこなかった』という不満から同じように領地の人々を妖怪によって破壊しようと画策したようです。
あの当時はイレギュラーズたちが偶然にも(あるいは急いで)駆けつけたことで民間人への被害は免れましたが、イルハンの計画通りに進んだならば家族を失った子供や街と日常を破壊された人々が発生する予定であったようです。
計画を防がれたことに怒りを覚えてはいますが、それを素直に述べることはできず生意気な態度をとってしまっているようでした。
・イルハンの容姿
黒髪ショートヘアで和服を着崩した少年ですが、オシャレや着替えはそれなりに好きであるため、かわった格好をしていても構いません。
発注者様の好みの格好をご選択ください。