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先に往く者として
登場人物一覧
名前:ベネディクト=レベンディス=マナガルム
一人称:俺
二人称:呼び捨て
口調:だな、だろう、だろうか?
特徴:金髪青瞳。整った顔立ちと精悍な体躯をした青年。
設定:
幻想国東部の国境近くに領地を預かるベネディクトにとって、隣国天義の動向は常に気になる所である。
四年前の天義の動乱をベネディクト自身は知らない。
されど、復興していく中で起きた出来事や国境付近のいざこざを身近に感じているのは確かなのだ。
それは自身の領地の人々から伝わってくる恐れや怯えからも見て取れる。
領地を預かる身として、隣国の動向を直に確かめてみたいと常々思っていた。
ベネディクト自身は世界に選ばれたイレギュラーズである。
今まで積み上げてきた死と隣り合わせの偉業と功績。
それを持ってすれば天義の動向をある程度は探る事が出来るだろう。
されど、それは外面的なものだ。
もっと天義に住んでいる人達の心に寄り添い、考えを知る所から始めねばならない。
領地を預かる身として、そんな考えに至った矢先。
『幻想大司教』イレーヌ・アルエがかつて天義の神学校に留学していたと耳にした。
フィッツバルディの後ろ盾を持つ幻想国の騎士ベネディクトの頼みとあらば、イレーヌは天義の貴族へ書状を送るのもやぶさかではないだろう。
――セオドリック・ド・グランヴィル。
かつて留学先だったアーデルハイト神学校でイレーヌと共に学んだ学友である。
天義の貴族の中でもまだ『話しの通じる』相手であるとイレーヌは認識している。
今まで成りを潜めていたイレーヌが、卒業試験で主席を掻っ攫った時のセオドリックの絶望した顔は今でも忘れられない。
そんなイレーヌの手助けがあり、ベネディクトはセオドリックと顔合わせする事となる。
会合が行われたのは、天義のレストランだ。
堅苦しいものというより話しが聞きたいのだとベネディクトが提案し、セオドリックはそれを承諾した。
貴族といってもセオドリックは当主を代理で預かっている身だった。
いずれ本来の当主の娘である姪に全てを明け渡すつもりだと語る。
真面目で少し苦労性のようだが、上に立つ者の義務と役目を見据えている人格者だとベネディクトは思った。
そんな彼からの意見を聞けたこと、有意義な時間が過ごせたと感謝して。
セオドリックとの出会いは楽しいものであったとベネディクトは目を細めた。