PandoraPartyProject

SS詳細

先生は俺にメロメロ♡

登場人物一覧

クイン(p3p009129)
君の虜だよ♡

 ネモフィラが気持ちよさそうに風に揺れている。からりと晴れた青い空に白い雲がゆったりと泳いでいる。行楽日和だ。多くの観光客が青く美しい絨毯を眺めている。そう、見晴らしの良い丘に沢山のネモフィラが咲いているのだ。クイン(p3p009129)はネモフィラを眺めながら、ちらりと藤井 奏(p3n000227)を見つめる。
「あー、奇麗だねぇ。ほんと、晴れて良かったねぇ♡ そして、奏ちゃん、執筆お疲れ様ぁ♡」
 奏に微笑み、ネモフィラの美しさに目を輝かせる。ネモフィラの開花の時期を確認し、今日に決めたのは本当に正解だった。クインの紫の爪が陽光にぴかぴかと輝いている。
「そうだね、ありがとう。あぁ、この暑さが気持ちいいねぇ。久しぶりに太陽を見た気がするねぇ」
 奏の明るい声が見知らぬ賑やかな声を抜け、クインの長耳を甘く撫でた。奏は小さく伸びをしながら、クインに微笑んでいる。奏は身体を鍛えているのだろう。逞しい褐色の肌に後ろへなでつけた白髪が眩しい。クインは頷き、長くしなやかな尾を楽しそうに揺らし、尾に付いた鍵を鳴らす。奏とクインはあの夏の素敵な思い出夏だもん、口説け、サンドリヨン・ブルー!! え、いや、おじさん?の日に出逢った。
「うふふ♡ ねね、奏ちゃん、俺の口調うつっちゃったぁ♡?」
 風が吹き、長い髪が揺れる。クインは目を細め、奏に手を伸ばし肩に触れる。「うん?」と奏は小首を傾げながら、「そうかもしれないね」とはにかむように笑い、クインの瞳をしっかりと見た。クインは奏をじっと観察するように見つめ返す。とても、可愛いと思った。奏の黒い瞳には柔らかな光が宿っている。そして、クインには分かる。奏はチラチラとクインを見つめている。そう、何かを期待した眼差しだ。
「まったく♡ 奏ちゃんは素直で本当に可愛いねぇ♡」
 だから、ウインクをプレゼントしてあげる。羽根を大きく広げ、クインはウインクを披露する。妖艶な微笑み。魅せ方はクインだけが知っている。頭上の王冠のチャームと、ハートのピアスが揺れる。
「そ、そうかなぁ」
 クインのウインクに奏が面食らったような顔をし、ごくりと喉を鳴らしたのだ。そうだろうとクインは笑う。恋愛小説を書く奏にこのウインクは刺さるだろう。眼鏡のつるを上げ、案の定、奏はそわそわしている。それが面白くて、何だか愛おしかった。吹く風にネモフィラが奇麗に揺れている。時折、奏の視線がネモフィラに向けられる。
「奇麗だ、君と見れて本当に良かったよ」
「うん、俺も♡ ねぇ、奏ちゃん」
「どうしたの?」
「奏ちゃん、俺と会うの楽しみにしてたよねぇ」
 クインの言葉に奏が驚き、息をスッと吸い込む。
「ええと、僕にそれを言わせる気かい?」
「うん♡ 俺ってば、とーっても聞きたがりだからさぁ。お願い♡ 教えてよぉ?」
「改めて聞くなんて意地が悪いなぁ、クイン君は」
 赤面し、奏は息を吐く。でもと奏は唇を舐め、照れた顔をする。
「あのね、君に誘われて……僕はとても嬉しかったんだ」
 口ごもりながら奏は言った。クインは笑う。
「俺も今、奏ちゃんと一緒にいれて、凄く嬉しいよぉ♡ ね、奏ちゃん、あっちのネモフィラを見に行こうよぉ?」
 クインは言い、あらと奏を見た。奏は真っ赤な顔でクインの前に手を差し出していたのだ。彼の指はだった。
「奏ちゃん、可愛いねぇ♡ そして、紳士的だぁ♡」
 迷いなく、手を掴んだ。途端に奏の顔がパッと明るくなった。クインはくすくすと笑う。この男は分かりやすく本当に可愛い。クインの笑い声に奏は見惚れるように目を細めた。
「あ、ありがとう……手、お、大きいね、クイン君」
「ふふ♡ 奏ちゃんは手も、身長も小さいねぇ♡ でも、あったかいなぁ♡」
 身長差はそう、10㎝以上だろう。クインは奏の手を強く握り締めた。奏は照れたように目を伏せながら、すぐに手を握り返した。熱い手を感じる。
「どうしたのぉ、奏ちゃん。下なんか向いちゃってぇ♡?」
「えと……クイン君がおじさんを弄んでるから、かな」
「うふふ♡ それはどうかなぁ?」
 奏の耳元で笑い、クインは囁く。奏はたまらず、息を吐き、左右にかぶりを振った。奏はクインに乱されている。
「クイン君」
「う~ん♡?」
「さっ、誘ってくれてありがとう。君といると僕は楽しくて嬉しくてわくわくするんだ。ネモフィラだってそうだ。一人でもきっと奇麗だった。でも、君と見たらもっと奇麗に見えているんだって僕は思ってる」
 奏はわざとらしくネモフィラを見つめ、「うん。やっぱり、奇麗だ」と呟く。
「うふ♡ 今日の奏ちゃん、情熱的だぁ♡」
「そうかな。ね、クイン君」
「なぁにぃ♡」
「今度、僕と水族館に行かないかい?」
 奏はクインを真っすぐ見た。奏の顔は赤く、滲んだ汗が頬に流れていく。クインはすぐに笑った。そして──
「えー♡? どうしようかなぁ♡」
 パッと手を離したのだ翻弄するのだ

おまけSS『丘の上のレストハウス』

「クイン君。暑いしかき氷でも食べないかい?」
「いいよぉ♡ 俺、久しぶりに食べるかも♡」
「良かった。じゃあ、買ってくるから待っててくれるかな?」
「うん♡」

「お待たせ、クイン君」
「!! 可愛いかき氷じゃないのぉ♡! レインボーだなんて俺、びっくりしたよぉ♡!」
「うん、クイン君が喜ぶんじゃないかって思ったんだよ……喜んでくれて良かった」
「へぇ、ありがとう♡ 奏ちゃん、やっさしいなぁ♡! うふふ、食べたら舌が凄い色になっちゃうねぇ♡ あとで、見せあいっこしちゃう♡?」
「……!? え、いや、ええと……」


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