PandoraPartyProject

SS詳細

PC分析表(冬宮・寒櫻院・睦月) ~芳董ver.~

登場人物一覧

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 表向きは冬宮の者としてしっかり者、数々の試練を乗り越えて夫さんと一生リア充爆発してほしい愛され乙女、睦月さん。
 今回はその魅力を紐解いていきます。

■パラメータ
夫さんからの愛:★★★★★★★…∞
料理スキル  :★★☆☆☆
ヒロイン力  :★★★★★


・永遠に幸せでいて欲しい「夫さんからの愛」
 色々なハードルを乗り越えて、ようやくお互いの気持ちを伝えあえるようになった寒櫻院夫妻。互いに向ける愛情がとにかく傍から見ていても微笑ましく、一緒にいる姿を今後もたくさん見たいなという気持ちがあります。
 睦月さんからパートナーにそそぐ愛情は、幼馴染で昔から精一杯、体と心の全部を使って惜しみなく与えている印象で、「まっすぐ向ける素直な愛情」に心温まります。
 混沌に来たばかりで夫さんがわざと素っ気ない態度をしている時は、「とにかく振り向いてもらおう」と必死で振り回そうとしていましたが、今は相手の好意をしっかりと受け止めて、「好きな人にもっと好きになってもらおう」と動いており、好意を伝えるための手段も成長したPCさんであり、そこも彼女の魅力のひとつだなと思っています。性別迷子からちゃんと女の子になった事で、乙女の武器を使えるようになったのも大きい…!

・語る上では欠かせない!?成長の余地がある「料理スキル」
 料理作りに苦手意識のある睦月さん。『仲良し家族の【えんじ】かた』では母親を演じるためにお弁当を持ち込むも、なんとそれは携行品。これから覚えていけばいいと言われてたじろぐ姿も可愛さ満点。カニ鍋パーティーでは殻剥きも(夫さんに甘える為とはいえ)おサボりして任せたり、依頼で料理が必要になるたび避ける様な動きをしていましたが、夫婦になって以降、努力しようという姿勢が見られるところがとっても素敵です。『うさぎ達への挑戦状』では、
「…ピ、ピーラー…ピーラー持ってきました」
 と苦手意識を克服しようと頑張っている姿がとても微笑ましかったです。奥さん稼業に手を抜かない姿勢、はちゃめちゃに好きです。ここから回数を重ねたらお料理スキルが磨かれていくんじゃないかとワクワクしながら見守らせて戴いております。

・助けられるだけじゃない。けれど独りじゃ生きられない。魅惑の「ヒロイン力」
 パートナーと付き合いはじめた後も、嫌われないかと不安がる様子が見えたり、混沌肯定Lv.1の影響や、性別迷子の解消で神通力が失われたり。万能ではない守りたくなるか弱い側面を持ちながらも、立ちはだかる敵NPCを前に強い信念をもって挑む姿がとても頼もしく、守られるだけじゃいられない、現実味のある等身大のヒロインとしてのプレイングにいつも舌を巻いています。敵対関係にある相手でも、更生する余地があれば手を差し伸べる性善的な部分も、書き手として気づきやすくとても行動を考えやすいです。
 それに加えて、気づけば神通力が、戻ってきたという不吉なフラグ! この先どうなってしまうんだろうと期待に胸を膨らませていたところで、この分析を執筆中に烙印がついてしまった事に気付いて驚きました。運命が睦月さんをヒロインにして手放さない!

……余談ですが、もし境界案内人ズに睦月さんに烙印を刻まれたという情報が散布された場合のリアクションはこのような感じです。
蒼矢「烙印ってなに? ……えっ、吸血衝動が出るって!? それは大変だ、いますぐもっと情報をおろして貰わないと…!
   夏の同人イベントに原稿が間に合わないよ! シノムツ本の新刊は吸血鬼主従夫婦ネタで決まりだね!」
赤斗「ば、馬鹿野郎。命に係わる話なんだぞ蒼矢ァ! 何をそんなにウキウキして……くっ。境界図書館に招く余裕なんざねぇのはわかってるが、
   こんな事もあろうかと用意していたダーク&シックなゴスロリドレスを贈りつけてェ……。やっぱお上品なヘッドドレスは必須だろ」
黄沙羅「僕は気にしないけれど、睦月は誰かにかぶりつく事を嫌がるかもしれない。よし、噛んでも良心が痛まない感じの魔物を境界図書館に連れ込もう」
ロベリア「あらあら。心配な癖にパートナーが傍にいるだろって安心感からそれぞれの趣味を押し付けないの!」

■占いで見る睦月さんの運命
 ワンカード・オラクル(簡単な占い)で、今月から半年の睦月さんと旦那さんの恋愛について調べてみました。結果は『世界』の正位置。
 どんな記憶も経験も、これまでのすべてがこの最高のフィナーレのため。旦那さんを尊敬し、信頼し続ける事できっとよい結果が得られます。二人の仲を周囲の人間が同時に支えてくれそうです。助け手に気づいたら、迷わず感謝して甘えてください。
 よいハッピーエンドを迎えるコツは、「こうする」と宣言する事です。言霊は貴方の力となってくれるでしょう。

 睦月さんの分析、いかがでしたか。引き続き、お二人の旅路に花が添えられれば幸いです。

  • PC分析表(冬宮・寒櫻院・睦月) ~芳董ver.~完了
  • NM名芳董
  • 種別SS/IF
  • 納品日2023年04月14日
  • ・冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900
    ※ おまけSS『《マリスの棺》幽世探偵 冬宮・寒櫻院・睦月』付き

おまけSS『《マリスの棺》幽世探偵 冬宮・寒櫻院・睦月』


「――き、睦月、おい。しっかりしろ!」
「…ん……ぁ、赤斗所長…?」
 薄目を開けても最初は誰が体を揺すぶっているのかわからず、冬宮・寒櫻院・睦月は夢見心地な声で名前を呟いた。
 探偵として活動し続けはや数年。波乱万丈な日々を送ってきたが、昨日ほど怒涛の一日はなかったと思う。始まりは単純な猫探し。よくある依頼ながらも、ごひいきにしてくださっているクライアントからの依頼という事で、わざわざ所長じょうしを伴い調査した結果、見つかったのは猫――と、首輪に付いている怪しげなデータチップ。

「なぁ睦月ィ。これは俺の勘だが、もしかしなくても俺達、やばい案件に片足突っ込んじまったんじゃねぇかァ?」
「やっぱり、赤斗所長もそう思いますよね?とにかく、探偵事務所に帰ったら内容を確認してみましょう」

 背後から不穏な気配を感じたのと、データチップを口の中に放り込んだのはほぼ同時だった。ごくりとチップを飲み込んだ瞬間、バチリ!! と電気がはじけるような音が響いて意識を失う。

――0と1の光る数字の羅列が、睦月の精神を取り込んだ。

 過ごしてきた日々が、心の奥にしまい込んだ気持ちさえも、演算式に組み替えられていく。
 それは何か、空間を蝕むような黒いもやから自分を守ってくれるようにも見えたけれど、人は正体のわからないものに無意識のうちに畏れを抱く生き物で。
 だからこそ睦月は、探偵という生き方を選んだというのもある。

(これは何? 僕はどうなっちゃうんだろう。怖い、怖いよ……)

「助けて、しーちゃん」

『―――』

 温かい光が僕を包み込む。それは不思議と、落ち着くような――


「何か怖い夢を見た気がします。でも、最後には誰かが助けてくれたような…」

 手首にある擦り傷は縄か何かの跡だろう。身体の節々から感じる痛みが、拉致された事実を物語っている。

「助けねぇ。だから俺達、事務所に寝てたって事か。でもいったい、誰が? 俺にはさっぱりぞ」

 赤斗がぼやいた瞬間、睦月は目が熱くなるのを感じた。ぱちぱちと瞬きするたびに光の粒子が瞼から零れ、きらきらと消える。
 網膜に映像が焼き付く。夕闇で空が翳り、茜色さしこむ神郷事務所のオフィス。視界に映る男の姿に睦月は思わず息をのむ。

(この人、赤斗さん……じゃ、ない? いくら伸ばしても治らない、眉間のヒビが無いみたいですし)

 そう、今の睦月は探偵だ。微かな情報すら見逃さず、推理を着々とくみ上げる。

(こちらの視点は、成人男性ぐらいかも。不健康そうなちょっと白い腕。けど筋ばった立派な手――もしかして、向かい合ってるのは赤斗署長かな?)

『まさか、しばらく会わねぇうちにお前さんが警察官になってるとはなぁ……意外だったぜ、蒼矢』
『そういう君も考えてる事が同じだから、探偵事務所なんてやってるんでしょ?
 ねぇ、君もこっちに来なよ。僕はボンクラだけど、組んでるが凄く優秀でね』
『助けてくれたのは礼を言う。だが、お断りだ。第一に、俺は国家権力って奴が疑わしいから今の立場に身を置いてる。第二に……今回はしくじっちまったが、俺だって今の事務所の縁で、ようやくってやつが出来たんだ』

 視界が事務所のソファーに向けられる。すぅすぅと寝息を立てて眠る睦月の姿が大映しになって、見えずとも自身の頬が紅潮していくのを感じた。

(僕の寝顔、ばっちり赤斗さんと蒼矢さんに見られてる~~!? じゃなくてっ! え、それじゃあ赤斗さんの『大切な仲間』って……)

『ずっと独りで"ヤツ"を追いかけようとしてた。事務所に正直、誰も所属させるつもりはなかった。だが睦月は不思議な奴だ。
 優しさで事件の犯人の心の闇にするっと滑り込んで、解きほぐすような温もりで包み込む。…依頼を重ねていく中で、俺は何度も彼女に救われた』

(赤斗さん……)

『俺は彼女の才能にかけたい。だからお前さんと一緒には――』
「おい、睦月ィ!」

 肩を強く揺さぶられて我に返る。いつの間にか目の前には、焦った様子の赤斗の姿があった。

「赤斗さん、僕は大丈夫ですか――わっ」
「びっくりさせんな、心臓にわりぃ……。いきなり目が光ったと思ったら、ぼーっとしだして反応しなくなっちまって……お前さんに何かあったら、旦那さんになんて言やぁいいんだよ」
「苦しいですって、赤斗さん…!」

 強く抱きしめられ、赤斗を落ち着かせようと睦月は背中を軽く叩いた。相手が落ち着くのを見てから、ようやく自分の身に起こった事を説明する。

「お前さんが見た光景。そいつぁ俺の記憶で間違いねぇなァ。つまり睦月は俺の過去をって訳か」
「まるでこの世ならざる光景を見ている様でした。意識がふわついて……」
「――『幽世の瞳』」

 ぽつりと赤斗が呟いた言葉に、睦月は目を見開く。

「とりあえずの仮称だ。睦月の中に目覚めたかもしれない能力の名前」
「『幽世の瞳』……いいですね。何だか心に馴染むというか、スッと染み渡りました」

 幽世探偵 冬宮・寒櫻院・睦月。後にこの名はとある捜査官の名と共に、大帝国『混沌』に広く知れ渡る事となる――

「ところで赤斗さん、さっき僕に嘘ついたでしょ。誰に助けられたか心当たりがないって」
「あ、あー! そういやもうすぐ近所のラーメン屋の閉店時間だなァ! くいっぱぐれる前に夕飯行ってくるわ」
「もうっ、誤魔化さないでくださいよー!」

PAGETOPPAGEBOTTOM