PandoraPartyProject

SS詳細

縺れた糸の解し方

登場人物一覧

アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切

名前:『冬夜のすえ
性別:男性
年齢:外見20前後
一人称:俺
二人称:お前、呼び捨て
口調:だな、だろ、~か?
特徴:
灰と空色の中間のような瞳(目隠しなし)
褐色肌に癖の強い白短髪(※生前と反転)
設定:
「アーマデルを置いて逝きたくない」という生前の強すぎる執着から、彼岸へ渡り損ねた師兄ナージーの未練の欠片がアーマデルの力の一つとして形を取ったもの。
その執着の源はナージー自身の行き場をなくしたあらゆる諦念と絶望、愛憎が複雑に絡み合い、固く結ばれてしまった感情。
厳密には本人の本霊そのものでなく分霊のような存在であるため、「ナージー・ターリク」の名は失われている。
存在の維持には特に用を為さないにも拘わらず、「アーマデルに傷を付けること」を報酬として望む。
頼まれた仕事はなんやかんやで完遂してくれる。
その刃が鳴る音は冬の雨の如く重く、冷たく。何故か甘い。
生前の彼のアーマデルに対する行いを知るイシュミルは複雑な顔をしている様子。

「だったら首を寄越せ。……命とは言ってない、首に傷を付け……ああもう、いい。手を出せ、手首でいい」
「いっそ、屍人としてお前を殺せたら……殺してくれたら、こんなには……ッ」
「今の俺が言える立場じゃないが……少しは思い通りになったらどうなんだ」

  • 縺れた糸の解し方完了
  • GM名旭吉
  • 種別設定委託
  • 納品日2023年02月25日
  • ・アーマデル・アル・アマル(p3p008599
    ※ おまけSS『或いはそれも傷痕として』付き

おまけSS『或いはそれも傷痕として』

●違うばかりの糸なれど
 ――どうして、こんなことになっているのか。
 確かに命を終えたはずだった。
 最期にあいつの、思い出すだけでも吐き気がするほど悍ましい姿を目に焼き付けて、終わったはずだった。
 死の間際に、死ぬほど悔しい思いをした。
 それでも、まだ。そのまま終われたら、まだよかった。

冬夜とうやすえ。お前にはその名が合う気がした。どうだろう』

 ――どう、して……ッ!!
 そのまま終われずとも、その後があるとしても。屍人としてお前に『死』を送れるならまだよかった。
 叶わずとも、お前の手で完全に殺されるならまだ、何とか諦められた。
 それがどうだ。あいつに、使役される霊として?
 いっそ自ら消えたいと思っても、あいつに残した執着が強すぎてそれすらもできない。
 死んで尚、何もできないのか。殺すことも、殺されることもできないのか。

『どうした、苦しいのか。お前が苦しい原因は、今の俺にはわからないが……いつか昇華できるその日まで、共に在りたいと思う』

 ――巫山戯るな!!
 お前に呼ばれさえしなければ、苦しまずに済んだ。思い出さずに済んだ。出会わずに済んだものを。
 お前のせいで、お前のせいで俺は、俺は……!!

『凄まじい不協和音だな……それほど苦しいか。少しでも和らげてやれたらいいんだが……』

 扱いに困るくらいなら何故呼んだ。何故望んだ。
 何故使役しようなどと思った。
 お前には理解できまい。一翼の加護を持つお前『だからこそ』できまい。
 その加護をこそ憎んでいた俺にだけは、お前の手は及ぶまい。

 ――ああ、そうか。

 一翼の加護が及ばぬものとして、お前を悩ませ続けるのは――それはそれで、いくらかの慰みにはなりそうだ。
 その死の瞬間まで、悩み続けるがいい。
 死すら温く思えるほど、悩み苦しめ。

『音が……少し落ち着いたか? 何か対価が欲しければ用意しよ――』

 言い終える前にその首を傷付ける。
 殺しはしない。こいつには長く苦しんで貰わねば困る。
 簡単に死んで貰っては困る。俺以外の手にかかって死なれるのも。

『欲しいのは、お前の傷だ』

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