SS詳細
影の影
登場人物一覧
名前:リース(オリジン)
一人称:私
二人称:御身
口調:~だ、だな、か?、であろう、……。
特徴: 【編み髪】 【黒ずくめ】 【スレンダー】【気障】【ナルシスト】【寂しがり】
設定:
「やあ、我が身。其の身は我。影と同じように分かちがたい。リースヒースよ。己の中に何を見る?」
早世した死霊術師。
人格としては、ヒトに紛れ込んだ、気まぐれで残忍、狡猾な化け物でもあった。
生まれて1つで読み書きを覚え、東西南北の賢者をうならせた。
才にも、生まれにも恵まれ、師にも恵まれ、学校のような場で「学」を学んだ。高い能力ゆえにおごり高ぶり、道を踏み外した。
無茶な魔術の実験により、師と友人のすべてを失った。責任を問われ、追われる立場となったあとは、禁術を追い求め「生きとし生けるものすべてをアンデッドとすること」を信条として活動し、いくらかの集落を滅ぼし、アンデッドの巣窟に変えると意のままにした。
……そう、できたのは、いくつかの集落を手中におさめるほどだった。
リースは確かに優秀だった。
けれども世界は広く、井の中の蛙に過ぎなかった。
自分の能力を過信していたリースは、討伐隊により深手を負い、信者に自らが生き返ることを約束して眠りについた。リースが復活することはなかった。
代わりに、リースヒースが宵闇から現れ、それを模倣した。
「リースヒース、私は私を食い尽くす」
「リースヒース、今に私は望みを果たす」
いまや、リースヒースのほうがはるかに強力な死霊術師である。けれども、心に灯る「野心」はかつてのヒースのものだ。ちっぽけなままに死ぬか、野望を果たせとささやいてくる。
おまけSS『シャドウステップ』
欲しければ奪えばよい。なければ作り出せば良い。
寒ければ薪を燃やせばよい。同様に、かつて模倣した影にとっては、人から奪うこともまた同じであった。
そこに善や悪というものはない。限りない向上心は、好奇心に満ちていて、リースヒースの目に宿り、世の中をのぞき込んでいる。
ヒトを操り支配して、有用であれば手駒にする……鳥が果実をついばむように。大地に木々が芽生えるように。
かつてはそれが普通だと、自然の摂理だと感じていた。
リースヒースの世界は狭かった。
己の影は、己の器。
その人ならざるものには、未知を求める好奇心があった。様々なものを見、知り、識ることで影の形を知った。それもまたかの影の魂の形だった。
影は問いかける。まだ、足りないと囁いている。すべてを奪えと、殺せと。ほかのものなどどうでもよいと。この世界のすべてが欲しいとうごめいている。一笑に付すこともできるくらいに小さな声。されど、まぎれようもなくルーツなのだった。