PandoraPartyProject

SS詳細

ふわふわ☆クッキング

登場人物一覧

ノーラ(p3p002582)
方向音痴
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
シラス(p3p004421)
竜剣

●まずは手を洗いましょう
「BLTサンドイッチはベーコン、レタス、タマゴの略。じゃあないんですよ」
「急に何言ってんの?」

 正解はベーコン、レタス、トマトである。
 さて、 ノースポール (p3p004381)がこの場に集った残りの二人、 シラス (p3p004421)とノーラ (p3p002582)に向けて軽いドヤ顔とともに披露した雑学になんの意味があるのかと言われれば、特に無いと答えるしか無い。
 まぁ、この場に集っている理由となにか関係があるのか、と聞かれたら多少はあるといえるだろう。というのも、

「いえ、これからお料理をするのでなにか一つ豆知識を、と思いまして」

 というわけである。本日において3人が集まっているのは、みんなでお料理作ってそのまま軽くお食事会に洒落込むという春が青くキラキラふわふわに輝く系のイベントのためなのだ。これより先は和気藹々のほのぼの空間しか待っていない。進むのならば相応の覚悟を持っていただきたい。

 まぁさておき。

「なるほどなー。あ、じゃあ今日はサンドイッチを作るんだな!」
「え?違いますけど……」
「違うのか!?」
「はい、今日はパンケーキと、あとみんなの苦手なものを克服するためのメニューを作る予定なので」
「……じゃあなんでBLTサンドイッチの豆知識を?」
「なんか思いついたので?」

 ライブ感だけで言を紡ぐのはやめていただきたい。

 ともあれ、本日のメニューはその様になっている。パンケーキは単純に美味しく食べるため、苦手克服メニューはせっかくなのでこの際食べられるようになっちゃおうぜ的なやつだ。みんなで作って食べれば苦手なものも美味しくなるよねっていうアオハルだ。

「まぁおしゃべりも楽しいですけど、そろそろお料理の方も始めちゃいましょう。時間は有限ですよ」
「ポーが言い出したんだけどなぁ」

 そういう事で料理スタートである。

●しっかり分量を計りましょう
 エプロンを装備して手を洗い、準備万端の三人。ポーことノースポールはそれを見て改めて号令をかける。

「では始めましょうか。それじゃあまずは……」
「おー!パンケーキだな!」
「いえ、苦手料理の方で」
「えー」

 威勢よく腕を突き上げたノーラであるが、ポーの否定で勢いが落ちる。グラフにすると90度の直滑降だ。まぁ苦手なものと向かわねばならないのだからその気持もさもありなん。その様子に苦笑しながらポーも言葉を返す。

「ほら、先にパンケーキ焼いちゃうと食べるときに冷めちゃいますから。焼きたてのほうがパンケーキも美味しいですよ」
「なるほどなー、じゃあさっさと苦手料理つくっちゃうぞ!」
「そうだな、っと。そう言えば苦手なもの、とは聞いてるけど具体的には何を作るんだ?」

 そんなノーラとポーの様子を眺めていたシラスはふと思い出したように疑問を口にする。苦手克服メニューと聞いてまぁニュアンスで納得してはいたものの、そう言えば何を作るのかまでは把握していなかった。ぶっちゃけ苦手なものなのであんまり考えないようにしていたところもあるかもしれない。
 だが実際に作る段になってしまえば何を作るか知らないわけには行かないだろう。と、シラスはポーに問いかけた。ノーラは何も考えていなさそうな顔で調理道具かちゃかちゃしていた。やめなさい、今日の料理にそのやたら大きな肉たたきは使わないから。

「よくぞ聞いてくれました。今日作る苦手克服メニューですが」
「ですが?」
「正直私も何作るか考えてなかったんですよね」
「ちょっと!?」
「いやー、ついパンケーキのことばかり考えてましたよね」
「気持ちはわかるけども」
「まぁまぁ、安心してください。ちゃんとみんなの苦手なものは用意してあります」

 そう言ってポーは調理台の一角に置かれていた物を隠していた布を取り払う。何が隠されているかと言えば、その用意していた人なの苦手な食材で、なんで隠していたかといえばそういう気分だったからだ。
 ともあれ、布を除かれて姿絵を現したそれらは、

「……健康に良さそうだね」
「見ただけで口の中が苦くなるぞ」

 概ね緑色をしていた。そのへんのお店で気軽に買えるような野菜を中心に、ゴーヤやらわさびやらゴーヤやら唐辛子やらゴーヤやらゴーヤやら。

「ゴーヤ多くない?」
「みんな共通して苦いものが苦手だったので多めに用意してみました」
「無駄に用意が良いなぁ」
「いやぁ、えへへ」
「なんで照れたの」

 強いて言うなら「良い」という単語が含まれていたためである。些細なことでもプラス思考に変えていくのが人生を楽しむコツだだ。

「うーん、これを料理するのか。他になにか材料はないのかー?」
「後はパンケーキの材料だけですね」
「そこは用意が悪いなぁ」
「いやぁ、えへへ」
「だから、なんで照れたの」

 さっきと似たような流れだったから勢いで褒められたことに出来ると思ったからだ。嘘だ。勢いでどうにか出来るとは思っていなかった。出来ると信じたかっただけである。

「はぁ。ま、用意しちゃったものは仕方ないんだし、これで作れるもの考えようか」
「さすがシラスさん、良いこと言いますね」
「ポーはちょっと反省するように」
「はい」

 壁に手を当てて反省のポーズを取るノースポール。それを尻目にシラスとノーラは何を作るか考える。

「とは言ってもな、サラダとか野菜炒めくらいしか作れないか」
「そうだなー、それじゃあ僕はサラダを作るぞ!野菜を皿に盛るだけだから簡単そうだぞ」
「ふふふ、果たしてそうですかね?」

 反省から戻ってきたノースポールが意味深な表情でそんな事を言う。

「む、どういう意味だ?」
「サラダを作るのは簡単、そう考えていた幾人もの料理人が儚く散っていきました……」
「え、そうなのか!」
「いえ、嘘です。ちょっと話盛りました」
「えー」
「ほら二人とも、馬鹿言ってないでこっち手伝ってよ」

 ポーがライブ感だけの喋りを繰り出し、ノーラがそれを受けに回っている中、シラスは野菜を切り分けていた。料理に関しては素人なシラスだが、手先の器用さはちょっとしたもの。危なげのない包丁さばきで野菜を切り分けていく。

「はい、俺が野菜切るの一番はやい!もうこっちの分は終わっちゃったよ」
「おぉ、さすがですね。あ、でもゴーヤとかはもうちょっと小さく切ったほうが良いですね」
「む、そうなの?」
「火が通りにくいですからねー。それに、小さい方が食べやすいでしょう?」
「なるほど、わかったぞ!」
「ノーラさんは包丁使わないで、手でキャベツとかちぎりましょうね」
「えー」

 しゃきーん!って感じで包丁を掲げていたノーラは不承不承って顔ではあるが素直に包丁を置く。シラスとは正反対な自分の器用さでは包丁使ったら、この緑の山にちょっとした赤いアクセントを加えることになりかねないということは理解していた。

「仕方ないな、じゃあいっぱい野菜を切ったシラスにご褒美を上げるぞ」
「って言いながらこっちの皿にゴーヤを乗せるんじゃない!生じゃ食べないぞ!?」
「ゴーヤは炒めものにしましょうか」

 わいわい、がやがや。ゴーヤの行き先がちょっとした押し付け合いになったり結局3人で同じづつ食べようということになったりしながら、後は特に問題なくサラダと炒めものは完成である。が、

「んー、ちょっと余っちゃいましたね」

 用意した野菜が多すぎた。3人分のサラダと野菜炒めに消費してなおいくらかの緑が余ってしまっていた。

「仕方ないな。シラスのサラダは大盛りに変更だぞ」
「俺にばっかり食べさせようとするんじゃない!あ、でもそうだな」

 皿に野菜を追加しようとしてくるノーラを抑えながら、シラスはなにか思いついたように包丁を再び手に取ると、余った野菜を切り分ける。一口大よりも更に小さく、みじん切りに。

「こうやって細かくして、パンケーキに混ぜ込んだら美味しく食べられるんじゃないかな」
「おー、シラスは頭いいな。僕の分もお願いするぞ!」
「サラダの皿を差し出すんじゃない、それはそれでちゃんと食べるんだよ!」

そんなこんな。お待ちかねのパンケーキを作る時間である。

●火を使うときは目を離さずに
「まぁ材料を混ぜるあたりは特に面白みはないのでカットです」
「ポー、何言ってるの?」

 というわけでパンケーキの生地は完成である。材料は事前に分量を計って取り分けておいたものを用意していたため、それを混ぜ合わせるだけの簡単な作業である。強いて言うなら器用なシラスが卵を割るのに大活躍したくらいだ。

「なんか今、俺の見せ場が流された気配が」
「シラスさんこそ何言ってるんですか。フライパンも温まってきましたし、そろそろ焼き始めましょう」

というわけでレッツバーニング。熱したフライパンにとろりと生地を垂らす。お玉で軽く形を整えたら、火が通るのをゆっくり待つ。表面がふつふつとし始めたらひっくり返すタイミングだ。

「お店で出るみたいにフワッと焼けないかな?」
「ふわふわパンケーキ、美味しいですよね〜♪私も結構、練習しましたっ!」

 ポーはそういうだけのことはある手際の良さでパンケーキをひっくり返す。こんがりきつね色に火が通り、ふわふわに膨らんだパンケーキだ。

「トリさん凄いな!ふわふわ綺麗!!」
「ふふ、我ながらうまく焼けましたね」
「よーし、僕もふわふわに焼くぞ!」
「気をつけてくださいねー」

 不器用とは言っても生地をフライパンに落とすところで失敗するようなことはなく、それでも形を整えようとして逆に少し不格好になってしまったりしつつ。

「そろそろひっくり返していいのか!」
「んー、まだですね」
「わかったぞ!…………もう良いか!?」
「もうちょっとですよー」

 料理に慣れていないとものを焼くときに妙にソワソワしてしまうアレである。フライ返しを片手にソワッソワしているノーラを微笑ましい目で見つめながら、ポーはひっくり返すタイミングを測っている。

「なぁ、こっちもまだ駄目かな」
「うーん、シラスさんのは野菜も入ってますからね、ちょっと長めに焼きましょうか」
「わかった」

 他方、シラスもパンケーキを焼き始めていた。こちらのパンケーキは野菜を混ぜ込んであるため、普通のものよりもじっくりと焼く必要がある。ポーとしてもあまり経験したことのないもののため、そちらの焼き加減を気にかけていた。

「もういいかな?」
「んー、もうちょっと様子を見てみましょう」
「わかった、でもこれそこまでふわふわって感じじゃないね」
「しっかり焼いたパンケーキも美味しいですよ」

 まだかなまだか。もういいかな。
 二人でタイミングを測りながら野菜パンケーキを焼く。ここぞという時を見計らい、フライ返しで引っ繰り替えす。

「お、結構美味しそうだね」
「ふふ、上手に焼けましたね」

 濃い目についた焦げ跡と、緑の生地が鮮やかなパンケーキだ。野菜の青臭さの混じった香りも、不思議なことにこれはこれで食欲をそそるものだ。
 と、シラスとポーの二人が満足そうにうなずきあっているところに

「なー、なー」
「はい?」
「こっちはまだひっくり返しちゃ駄目なのかー?」
「あっ」

 目の前の事柄に集中すると他のことがすっぽ抜けますよね。
 焼き時間長めの野菜パンケーキが焼き上がるあいだうっかり放置されてしまったノーラのパンケーキはこんがりと言うには少し黒色が強くなりすぎてしまっていた。

「むぅ、真っ黒じゃないけど焦げた……」
「うーん、ごめんなさい。目を離したばっかりに……」
「まぁ、まだ生地は残ってるし、次成功させればいいよ」
「おー、シラスは良いこと言うな、お礼にこのパンケーキをあげるぞ!」
「流石に焦げたやつは食わないぞ!」
「焦げたのはお腹壊しますからね、ないないしましょう……」

 少しもったいないが、無理に体に悪いものを食べることもない。苦手なものを克服する企画でもあるのだから、一緒に食べるパンケーキまで苦い思い出になっては本末転倒だ。焦げただけに。

 さて、そんなこんな。ノーラの二度目のチャレンジは、今度はポーが最後までしっかりと見ていた甲斐もあり、焦げずに焼き上げることができた。
 あとは、飲み物などを用意しつつ、お待ちかねの実食タイムだ。

●「いただきます」はみんなと一緒に
「「「いただきまーす!!」」」

 というわけで、楽しいお食事タイムである。
 メニューはメインのパンケーキに野菜炒めとサラダ、あとはソフトドリンクと、ガッツリとした食事というよりは軽食と言った感じだ。

「というか、いつの間にかパンケーキがすごいことになってるね」
「ふふふ、せっかくですからね。ちょっと張り切っちゃいました」
「トリさんすごいなー、お店で出てくるやつみたいだぞ!」

 3人で焼いたパンケーキだが、最後の仕上げとしてポーが器用にデコレーションを施していた。これでもかともられたホイップクリームに、きらきらの宝石みたいなフルーツがたっぷり。ジャムやベリーソースなんかも添えられて、ノーラの言う通り店で出しても恥ずかしくない仕上がりだ。

「ちょっと、食べるのがもったいなくなるな」
「でもせっかく作ったんだから食べないとだぞ!」
「ええ、そのとおりです。なので、こっちも、ちゃんと食べないとですよ」
「うぅ、わかってるけどさー」
「いざとなると気がすすまないぞ……」

 目の前に見るからに美味しいパンケーキがあるのに、なんで苦手な食べ物も並んでいるのか。企画したのは自分たちとは言え、なんだか神とかそういうものを恨みたくなる。
 楽しいはずのその場に流れる思い沈黙。誰だって苦手な食べ物を食べずに済むならそれで済ませたいものだ。

「む、む、む……野菜さ、別に食えねえわけじゃないから、本気出せば余裕だから!」

 と、シラスが意を決したようにフォークを握り、サラダに突き立てる。この場にいる唯一の男として、いや、ノーラは性別不明だったりするが、それはおいておいて。とにかく男の子としては根性見せるべき場面なのだ、多分。

「むぐ、むむむ……ど、ドレッシンがかかってれば、なんとか行ける、行けるぞ……!」
「シラス、すごいぞ、かっこいいぞー!」
「流石ですシラスさん。私達も負けていられませんね……!」

 ちょっと変なテンションに入ってきています。
 ともあれ、シラスの勇姿を見た二人もフォークを手に取り、野菜炒めの攻略にかかる。

「うぅ、やっぱりゴーヤ苦い……」
「大丈夫ですか、ノーラさん。無理はしないで……」
「大丈夫だ!みんなで作ったし、全部食べる!」
「ノーラさん……その意気です!私も今日こそ全部食べるんです!」

 うぉおお。なんて叫んでいるわけではないが、そんなような気合を込めて、3人は苦手な野菜を次々に口に運ぶ。
 お互いに励まし合って、称賛しあい、気合を込めて。そうして手を口を動かすうちに、

「むぐ……ふぅ、野菜炒め、完食です!」
「こっちもなくなったぞー!」
「サラダもなくなったよ。うん、やっぱり本気を出せば軽いもんだよ」

 しばらくは食べなくても大丈夫だね。などと言うシラスの言葉に笑い合ったりなどしつつ。苦手なものでも中のいい人たちと一緒ならば案外食べてしまえるものだ。これで完全に克服できたというわけではないが、きっところからは以前よりは食べられるようになっただろう。

 それはさておき。苦手克服メニューを食べ終わり。つまりは、お待ちかねのパンケーキを食べるターンだということだ。

「長く苦しい戦いだった……でもこの苦労もついに報われる……」、
「大げさじゃないですか?まぁ気持ちはわかりますけど」
「それよりも速く食べるんだぞ!」

 フォークを振り回すのはやめましょう。とは言え、苦難を乗り越えた今ならそのくらいは許されてもいいだろう。ポーとシラスもノーラのそんな様子に苦笑しながらも、特に注意するつもりはないようだ。

「さて、それじゃあ改めて……」
「「「いただきまーす!!」」」

 さて、後のことは記すまでもないだろう。
 仲のいい友達と、美味しい美味しいパンケーキ。苦い思い出もこのときばかりは話の種に。
 きっと、今日のことはずっと3人の記憶に残り続けることだろう。

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