SS詳細
『雷帝』ティセ・ティルマノフ
登場人物一覧
- シラスの関係者
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名前:『雷帝』ティセ・ティルマノフ
種族:鉄騎種
性別:女性
年齢:22歳
一人称:私
二人称:あなた、~さん
口調:ね、だよ、かな?
特徴(公):冷静沈着、容赦ない、多彩、万能、流麗、物静か
特徴(私):おっちょこちょい、優しい、ぽんこつ、生活力がない、ふわっふわ、早口
設定:
ラド・バウのA級闘士であり、また鉄帝国の軍人でもある。
機械部は左目。本来は右利きだが、右手以上に左手が使える訓練済。
視力や動体視力、洞察力や推察力が極めて高い優れた剣士である。要するに『見切り』の達人。
相手の予備動作や戦いの癖から次の行動を予測する『後の先』『先の先』の使い分け得手としており、命中回避能力とカウンター攻撃を得手としている。
けれどそれは彼女の一端に過ぎない。優美でしなやかな肢体からは想像出来ないほどの驚異的な膂力を誇る上、雷帝とも呼ばれる自慢のスピードはもちろんのこと、タフネスすら尋常ではない。
こうした二面性は戦略にも表れる。相手の事前調査を欠かさない『データ派』でありつつ、同時に『臨機応変』でもあるという訳だ。
そうでなければA級闘士など務まらない。
彼女は闘士として、まごう事なき『完成品』であるが、未だ実力が『伸びている』というから恐ろしい。
軍人としては特殊部隊員に相当するが、所属小隊は彼女一人である。
集団行動では、他の兵士が彼女の足を引っ張ってしまうことが原因。
つまり彼女一人で一部隊に相当する戦力だとカウントされている事になる。
公私をはっきりと分ける主義であり、プライベートの雰囲気は驚くほど異なるらしい。
そのため闘士や軍人としての彼女を知っていても、街で見かけた時には全く気付かないとか。
またプライベートではほとんどの場合は左目を隠しており、軍務においても重大な場面以外ではアクセサリーで覆っている。これは眼精疲労が理由。
闘士としては常に両目で戦っているのだが――
そんな彼女は、悩みもまた眼精疲労や肩こりであり、温泉やマッサージに通うのが趣味。
A級闘士はほとんどがスターであり、彼女は美しい容姿も相まって、記したとされる温泉巡りの本(なんと写真がついている)は相当売れたとか。とはいえ取材もまた仕事であり、彼女の『駄目な姿』を知っている者は、ごく親しい友人などに限られるのだろう。
仕事人としてあまりに『完璧』すぎる彼女は常に二面性を持ち――だとすればどんな私生活なのか。
おまけSS『とあるA級闘士の控え室』
「お疲れ様、良い試合に出来たのはマネージャーさん達、スタッフのみんなのお陰だよ。いつもありがとう、気をつけて帰ってね。うん、明日からも頑張ろうね」
「あー! あ”~~! おわったー!!
はあ”ーー!! もーーーむり! むりむりむり!
あとはー、一人でご飯たべてー、一人で温泉いってー、一人でお酒飲んでー、ふっひひ」
「は!? え!? え、なになんで。マネージャーさん達なんでまだ居んの。
え、誰その人。記者? あー、記者の方! なーる! はい帰りまーす、お疲れ様でしたー!
なに、私もう無理だから、何って、帰りますので。お先に失礼しまーす!
温泉レポ? 急に!? 今から聞き取り!? 試合の後に!? あんだけすごい頑張って戦ったのに!?
やーだーむーりー! お風呂! お風呂はいるの! 温泉いくの! むーりー!
温泉でマッサージのお姉さんに肩もんでもらうのー!
取材? しないしない! ほら明日! 明日にしよ!
もー無理、肩無理。おめめいたいのー!
あ、記者さん。あそこの温泉のマッサージのお姉さん、お肌すべすべなんですよー!
はいこれ、百合営業ってことで。記事になるよね。はい! お仕事おしまい! 私がんばったなー! こんなに頑張った闘士ティセはご褒美に帰ってよろしい! っていう空気にならざるを得ないよなー! そうするしかないもんなー! 頑張ったもんなー! はい、解散!
で、何でまだ居るのよ。じゃあさ、お酒、お酒飲もお酒。一人酒最高だよー、ほらみんな帰ろ!!
お家で飲むお酒、最高だよー! 極楽極楽!
だから、はい帰ったー! はいみんな帰ったー! 営業終了! 皆様、お帰りはあちらになりまーす!
マネージャーさんおっつー! おっつおっつー! おつかれー! ばいばーい! まーたねー!
……なんでまだ居んだよー! かーえーれーよー!
帰るノリだったじゃーん。……え、ノリ悪っる!
いいよーぉ、お家いいよーぉ。マイホームさいっこうだよー!
だーかーらー! いいじゃーん、おーさーけー! ひーとーりーざーけー!
やーだー! スタッフと一緒て、スタッフの皆にもね、私生活があるのよ? 飲みながら聞き取りとか、それ仕事じゃん! お酒じゃないじゃん仕事じゃん、残業じゃん。
あのね、そんなん労基だまってないよ? 逮捕だよ逮捕、犯罪だよ。
マネージャー君、当局だ。君を逮捕する。ブラック企業罪は死刑だ。島流しだ。
何か罪になるよ絶対、たぶん、少しは……
じゃあマネージャーさんが取材受ければいいじゃん。
だから一人でいくの! 一人がいいの! すみっことかすきなの!
だめなら寝る! もう寝ーる! ここでねーるー!
しらない! もう明日朝ゴミすてれない起きれないむーりー!
えーじゃあマネージャーさんか記者さん捨ててきて。
いいじゃんいつもちゃんと取材受けてるじゃん、もういまはプライベートなのーー!」
皇帝ヴェルスが敗北したという急報が帝都を駆け巡ったのは、そんな翌日のことだった。