SS詳細
憧れた蒼の先
登場人物一覧
名前:ルリア・エル・ヴァディス
一人称:わたし
二人称:~君、~さん
口調:です、ます、ですか?
特徴:儚い、浮世離れ、好奇心旺盛
設定:
鉄帝北方、ヴィーザル地方にある深い谷で生を受けた氷の精霊種。今の姿として顕現する前も氷の花として多少なりの意識を有していたと言う。
溶けないような岩場の影にいたから、人知れず花を咲かせられた。
溶けないような岩場の影にいたから、空満たす蒼を知らなかった。
彼女が"蒼"を知ることになったのは、誰とも知らぬ者とともにいる夢のこと。何故そのような夢を見たのかは不明だが、全く知らないものを夢で見るのは難しい。意図的か否か定かではないが、第三者が関わっている可能性がある……が、そのことにルリア自身が気づいているかは定かでない。
ともあれ度重なる蒼の夢に憧れ、現実でも蒼を見て焦がれたルリアは『ルリア』としてこの世界に顕現することとなった。
見た目は少女、または妙齢の女性とも言うべき年頃であるが、顕現してからの時間を考えれば精神はまだまだ幼く、世界に満ちた未知に好奇心を刺激されている。しかし彼女本人は穏やかで冷静に見える様、気を使っている。
1人でいる時間にはよく空を見上げている。あの焦がれた蒼も、表情を変えたような茜も、闇に散らばった光も、あの場所に居たころは知らなかった。
空は灰ばかりでなく、蒼ばかりでなく、沢山の色を持っているのだと、ヒトの姿を以て知ったのである。
おまけSS『ウヴリーの谷』
ヴィーザル地方のどこか。人に見放された深い谷。大した資源も取れないか、あるいはコストに見合わないと判断されたか、人が寄り付くことはない。もしくは、とうに忘れ去られた場所だったかも知れない。
見えるのは重く垂れた灰色の雲。
聞こえるのは通りすがりの風と、吹いた拍子に落ちてくる雪。
言葉を発するモノは――いない。
静謐に満ちた場所は、命がひそやかに生まれて、ひそやかに朽ちていく場所でもある。