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SS詳細

ジュアン・ダウン。或いは、交換魔術の祖…。

登場人物一覧

セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
セレマ オード クロウリーの関係者
→ イラスト

名前:ジュアン・ダウン(40年前の姿)
種族:幻想種(当時)
性別:女性
年齢:不明
一人称:私
二人称:君、貴方
口調:~よ、~だわ
容姿:https://rev1.reversion.jp/illust/illust/37864
流儀:あまねく全てに価値はない
欲望:世界の摂理を理解し、支配し、自らの意思で弄ぶこと。
特徴:金髪、翡翠色の目、長身、華やかな雰囲気を纏う
設定:
歴史上稀にみる天才的な契約魔術士。
また、契約魔術の応用である『交換』魔術の開発者でもある。
彼女は名の通った魔術師であり、彼女の下には弟子入りを希望する者が後を絶たなかったという。
契約魔術の習得を望む弟子たちが、最初に交わした“契約”は、契約魔術を習得すること。
しかし、実際のところジュアンは弟子たちに契約魔術を教えるつもりなど無かったのだろう。
例えば、魔力の少ない少女には、膨大な魔力を要求する“魔術の悪鬼”との契約を進めた。
例えば、長く魔術の研鑽を積んだ老爺には、力の対価に寿命を求める“生命環の蛇姫”との契約を結ばせた。
例えば、美しく才気に溢れた女魔術師には、腐敗した身体と永遠の寿命を与える“不死監獄の賢者”との契約を進めた。
当然の結末として、ジュアンの弟子たちは破滅し、命を落としたと言う。普段は退屈そうにしているジュアンだが、破滅し、泣き喚く弟子たちの姿を見る時だけは、恍惚とした笑みを浮かべていたそうだ。

セレマは40年前当時のジュアンについて、以下のように評していた。
丁寧な物腰に反し、性格は自信過剰で傲岸不遜。
一部では彼女のことを詐欺師と称する者もいるが、その評価は“正しい”。
しかし、同時に“まったく正しくない”とも言える。
彼女には他人を騙しているつもりなど一切無いのだ。ただ、相手の力量や生活環境、心身の安寧を一切考慮することなく「その者が求めているもの」を言い当て、与えているだけだ。
しかし、与えられた“何か”の代価は、必ず支払わなければならない。
当然、支払うことが出来なかった者は、莫大な不利益を被る結果となるだろう。
それゆえ、人々は彼女を“詐欺師”と称するのである。
セレマ曰く「彼女は他人に興味が無いんだ。いや、彼女は自分以外の存在を等しく価値のない存在としてみる『才能』を有していると言える」とのことだ。

そんな彼女だが、40年前に『交換』魔術の失敗によりすべてを失い、現在はどこかへ姿を晦ませているらしい。

  • ジュアン・ダウン。或いは、交換魔術の祖…。完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年08月22日
  • ・セレマ オード クロウリー(p3p007790
    セレマ オード クロウリーの関係者
    ※ おまけSS『在りし日の一幕。或いは、ジュアン・ダウンという女…。』付き

おまけSS『在りし日の一幕。或いは、ジュアン・ダウンという女…。』

●アルシェンの遺品
 コトン、と。
 1本のボトルを無造作にテーブルへと置いて、ジュアンはセレマへ問いかける。
「君はこれをどう見るかな?」
 読んでいた本の頁から目をあげ、セレマはボトルへ視線を注ぐ。
 見たところ封は切られていない。
 ボトルの中身は、琥珀色の液体。
 ラベルに書かれた文字は、誰だって知っている高級酒の名前。
 製造年は古い。市場価格は、きっと目が飛び出るほどに高額なはずだ。
「どう見るとは? 見たところ、高い酒だ。高級酒を嗜むような趣味があったのか?」
 眉をひそめてセレマは問い返す。
 ジュアンはにぃと口角をあげて、わざとらしく肩を竦めた。
「君がそれほど観察力が足りない奴とは思わなかったよ。私が高級酒を嗜むような性質に見えるかな? だとしたら本当に君は愚かで救えない」
「ボクがいつ、誰に救いを求めたんだ? 貴女から教わったことは多いし、知識を求めたこともあるが、1度だって“救い”を欲したことはない」
 本の頁に目を落とし、セレマは会話を断ち切った。
 そんな彼を見て、ジュアンはつまらなそうに「ふん」と鼻を鳴らす。
 セレマの回答は、彼女のお気に召すものでは無かったのだろう。
「いいとも。なら、私は勝手に話そう。これはね、アルシェンの私物だよ」
 アルシェンとは、つい昨日、木になって死んだジュアンの弟子の名前である。
 アルシェンは優秀な魔術師だった。
 そして無類の酒好きだった。
 そんな彼は、きっと楽しみに取っていただろう高級酒を一口も味わうことなくこの世を去ってしまった。
「先日、とあるお貴族様と会った際にね、彼はこう言っていた。高い酒や高価な衣服、芸術的な絵画や壺は、何も楽しむためだけにあるわけじゃない……とね。なんでも、そういった物にお金を使えるっていうのは、自分自身の価値と力を示す“ステータス”になるんだってさ」
 その言葉に感銘を受けた、と言うわけでは無いのだろう。
 ただ、その言葉を覚えていたから、アルシェンの遺品の中から高級酒を回収してきたというわけだ。
 ジュアンはさほど酒を楽しむ性質でもないので、味の良し悪しなど分かるはずもないのだが。
「……だったらボトルの中身を減らすんだな。その方が“サマ”になる」
「あぁ、なるほどね。えーと、それじゃあ」
 きゅぽん、と。
 ジュアンはボトルの封を切る。
 グラスの用意はなかった。
 ジュアンはボトルをつかみ取ると、一切の躊躇なくそれを逆さに向けたのである。
 琥珀色の液体が零れて、絨毯に染みを作った。
 3分の1ほど、ボトルの中身を捨ててからジュアンは満足そうに頷く。
「これで少しは“サマ”になったかな?」

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