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あの日懐いた物語
登場人物一覧
名前:舜・恵耶(しゅん・けいや) / ケーヤ
種族:亜竜種
性別:女性
年齢:unknown
一人称:わたし(私)
二人称:あなた、~さん
口調:です、ます、ですか?
特徴:覇竜集落フリアノン出身、竜覇(水)
設定:
フリアノンの舜家と言えば、古くから里長代行を担う家系である。珱家とも関わり深く、里の叡智と言えばと数えられる血筋であった。
その末の娘として生まれた恵耶は珱家の一人娘であった琉珂を支える彼女の頭脳となるべく厳しく育てられた。
まだ文字の読めない琉珂に書物の読み解きを教え、人の世について解説することこそが彼女の役割であった。
――そんな中、彼女が出会ったのは常に読書をしている蜂蜜色の髪の少女である。『アウラ』と呼ばれた彼女は父祖(ベルゼー)より外の世界の書物を賜り、博識であった。
勿論、恵耶はアウラと名乗った少女の正体を知らない。だが、読書に興じる彼女に憧れを懐いていたことは確かだ。
アウラスカルトの気紛れであったのだろう。アウラスカルトは恵耶がフリアノンの頭脳となるべく育てられ博学である事をベルゼーより聞いた。
ただの気紛れであれど、何方も幼い姫君の子守であったことは確かだ。交友を深めるまでそう時間は掛からなかった。
ケーヤと呼びかけるアウラスカルトの背を何時だって少女は追っていた。
次第に足が遠のいたアウラスカルトが訪れる日を少女は何時だって待っていた。
彼女に起点が訪れたのは深緑で『ベルゼー』が冠位魔種であると判明したときだ。
フリアノンを騒がせたその一報と共に『アウラ』が――アウラスカルトが竜種であると識ったのだ。
竜であろうとも、人であろうとも。恵耶にとっては大差はなかった。
彼女が教えてくれた物語も、彼女が読んでいた本も恵耶にとっては素晴らしいものであったのだから。
ある晩に、アウラが恵耶の前にやって来た。
もう二度とは出会うことがない、書物を与えてくれた父祖との決別を告げる程に彼女の中で恵耶は『友人』として認識されていたのだろう。
だが、恵耶は首を捻った。
――可笑しなことを。アウラさんったら。父祖は何も悪い事なんて、していないじゃない。
あの人は、沢山の世界を見てきて、私達を護る為にそうしただけなのに……物語を読みすぎて下らない英雄譚に憧れちゃったのね。
大丈夫ですよ、アウラさん。帰ってくる場所は私がちゃんと、用意しておくから、ね?