PandoraPartyProject

SS詳細

練達に羽ばたけ、二人の魔法少女!

登場人物一覧

カルウェット コーラス(p3p008549)
旅の果てに、銀の盾
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤

●練達魔法少女、推参!
「フフ、これが有れば練達に新たな秩序を打ち建てることが出来る……!」
 夜半。曇暗から微かに除く月光に照らされて、一人の男がほくそ笑む。
 恐らくは研究者かそれに類する職業なのだろう。白衣の上から厚手のコートを着込むその姿はこの時節に於いては異常なものであり――故にこそ、彼を見た者は『その中に何かを隠している』ような発想など容易に至るであろう。
「蒙昧である衆愚は私の思想が如何に高尚であるかを理解しえない。
 ならば実際に、私が彼らへ教えてやらねばならないだろう。彼ら自身の身を以てなあ……!」
「気が合うなあ。アタシも話して分からない奴には身体に教え込むことにしてんのよ」
「……何!?」
 唐突な背後からの声。
 男が振り返ると同時、そのコートへと光の球体が叩き込まれる。威力は弱くともやせぎすの男の身体は簡単に吹っ飛ばされた。
「情報屋さん、言ってた。おじさん、悪い人!」
「偽物の『変身アイテム』を街中にバラ撒こうとしてたって? お陰でこっちも余計な労働を強いられたわよ」
 身体を起こした男が漸く視界に捉えた声の主。
 果たして、そこに立っていたのは二人の人物。

「アクのココロに陽だまり笑顔を! 魔法少女ルルゥー!」

 白皙と桃髪を活かした暖色のエプロンドレスを着た少女らしき子供と、

「セイギのココロに黒星の銃弾を! 魔法少女コルネ★アリア! アンタのココロいただくわ!!」

 黒い妖精のような衣装を中心にドレスアップした精悍な女性が揃ってポーズをキメていたのである!
「……『少』……あっいや何でも」
「よーしそれ以上口を開かなくても結構よぉ!」
「いやちょっと待ってもう少し私の計画掘り下げさせアアアアァァァァァ!」
 明らかに地雷であろう発言を速攻聞き咎めたコルネ★アリア(顔赤らんでた)が大量の光の矢を撃ち込めば、数秒と経たずに男は地面に転がる襤褸切れ同然と化したのであった。

●コルネリア=フライフォーゲルの憂鬱
「言われなくても判ってるってのよ……!!」
 所変わって練達は再現性東京の路地裏。
 先ほどの衣装からシックなパンツルックの服に着替えた……と言うか変身状態から元に戻った『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が四つん這いで突っ伏す傍ら、魔法少女ルルゥーこと『旅色コットンキャンディ』カルウェット コーラス(p3p008549)はちょこんと座り、そんな彼女を心配そうに見つめている。
「コルネリア、大丈夫? 怪我、した?」
「………………ダイジョウブヨ」
 未だに変身解除していないカルウェットの姿をじっと見つめるコルネリア。
 元が幼さの残る少女然とした容姿なだけあって、用意された変身アイテムからもそれに似合った衣装が供出されたのだろうか。着る人によっては過剰なコスプレとすら思われそうな装飾付きコスチュームも、この幼子が着れば「ちょっとお洒落な普段着」として通用しそうなほどに似合っている。
「コルネリア、夜妖、早く探す!」
「……そうね。早くこんな依頼終わらせるわよ」
 そう言って駆け出した二人が、そもそもこんな状況に至ったワケは数日前にさかのぼる。

 ――以前貴様らが魔法少女姿で夜妖を退治した依頼を描いた漫画だったか? アレを媒介に新たな夜妖が発生してるらしい。倒してきてくれ。

 発端は過去に受けた依頼。魔法少女となって夜妖を退治するという内容のそれを某魔法騎士がコミカライズして出版、あまつさえそれが隠れたヒットを飛ばしたが為に起こったのは、今や練達と言う国における『魔法少女』と言う名の怪異の隠れ蓑であった。

 要は今現在、再現性東京はちょっとした魔法少女ブームなのである。良い意味でも、悪い意味でも。
「依頼を請けること自体に文句はないけど、何でこの姿になることが条件なのよ……?」
「情報屋さん、言ってた。
『魔法少女から出た夜妖』、だから、魔法少女の攻撃、効く」
 理解できるのか出来ないのか良く分からない理屈ゆえに、もう二度と使うまいと思っていた変身アイテムを渡されたコルネリアの心労は誰が察せようものか。
 対し、カルウェットの側は何処か楽しげであり、嬉しげでもある。
 過去の依頼に参加していた他のメンバーが不在と言うこともあって急遽依頼を任されたこのレガシーゼロは、情報屋から渡されたアイテムで変身するなり「ひっひー! ボク、魔法少女、なる、した!」とご機嫌な様子であった。
(……次回以降、似たような依頼が出たらカルウェットに任そう)
 悪の魔法少女(一応)として活動するこの依頼……というか前回もだが、御年33歳であるコルネリアからすれば露出性が高いこの衣装で決め台詞しながら戦うのは抵抗感しかない。
 ……うん、実際凄いと思うよ。マジで。
「コルネリア! つぎ、こっち!」
「あーはいはい、わかったわよぉ……」
 叶うならどうかこの依頼が魔法少女として最後の活動でありますように、と願うコルネリアを余所に、カルウェットは平時と変わらぬ天真爛漫な様子で彼女の手を引っ張るのであった。

●カルウェット・コーラスの窮地と……
 依頼目標である夜妖を特定するのには骨が折れた。
 先にも言った通り、少なくない数の人間に認知された『魔法少女』と言う概念はその裏に怪異を蔓延らせただけでなく、それを利用して違法なビジネスやら悪だくみやらを企んでいる輩(冒頭の男性がそれだ)なども見え隠れさせていたためである。
 依頼でなければ放っておく、などもできない以上、結果として二人はその対処にまで奔走する羽目となり……要するに圧倒的に人手が不足していたのである。
 ――だが、それでも。
「……うー」
『少しでも早く見つけるため、手分けして探す』ことにした二人の判断は、この状況に至って失敗だったと判明した。
 再現性東京は郊外の廃屋にて、両の手足を縛られて座り込んでいるカルウェットが、自身を拘束している夜妖をじっと睨んでいる。
『ハハハ、魔法少女だァ……! 魔法少女は本当に居たんだァ!』
 恐らくは討伐対象であろう夜妖は、不定形な泥のようなカタマリであった。
 複数の人間が同時に発しているかのような声を上げるソレは、つい先ほど捕らえたカルウェットを触手状の二本腕で持ち上げる。
(……どうしよう、どうしよう)
 発見した当初は小さなスライムのような姿だった夜妖。
「これなら自分一人でも倒せるかもしれない」と独断で戦った結果、急に強大な姿となった敵に対して、カルウェットは危機感と申し訳なさが綯い交ぜになっている。
『君はこれから僕だけの魔法少女になるんだよォ。
 衣装もアイテムも全部僕が考えてあげル、この世界を僕たちで支配するんだァ!』
「……!」
 徐々に腕を縮めて自身の体に引き寄せる夜妖に対して、カルウェットは恐怖の表情を浮かべることしかできず、

「天より流れる極光よ、友を傷付けし我等の敵に矢と成りて地を穿て――」

 しかし、それは一条の光によって阻まれる。

「マジカル★スウォーム!」

 窮地を救うのもまた魔法少女の美学である。
 例え倒すべき相手が夜妖であっても。
 例え救うべき相手が同じ魔法少女であっても。
 例え救いにきた魔法少女が慣れない魔法詠唱必死で考えた挙句「それ魔法撃つのに必要無いっすよ(笑)」と言われて羞恥と絶望の極地に達した御歳33の若干トウがたった女性であろうと――
「喧しいわあああああぁぁぁ!」
『ギャアアアァァ!?』
 廃屋の天井をぶち抜いて降りてきたのはコルネリア……否、魔法少女コルネ★アリア。
「毒を食らわば皿まで」の精神で不要な詠唱まで挟みつつ魔法を叩き込んだ彼女がそのまま夜妖の上に馬乗りになると、その手に持ったステッキの先端(詳細は全身イラストを確認してね!)を何度も突き刺していく。
「アンタのせいでこっちは着たくも無いコスチュームまた着る羽目になったのよぉ!? とっとと滅びろ!」
『止めてェ! その猟奇方面な攻撃手段に躊躇ないけど恥ずかしさで顔真っ赤にしてるの見ると何かに目覚める! 目覚めちゃうゥ!』
「勝手に目覚めてろ!!!!!」
 悲鳴じみた叫声と生々しい刺突音がひたすら響く廃屋にて、先輩魔法少女の活躍(?)を目の当たりにした魔法少女ルルゥーは。
「コルネリア、かっこいい……!」
 ――コルネ★アリアによる誤った魔法少女イメージを順調に定着させていたのだった。

●魔法少女の戦いは終わらない!
「……応、お疲れ」
 そうして、事が終わった後。
 疲労困憊した様子のコルネリアと、若干それを羨望混じりの視線で見ながら並んで歩くカルウェットに対して、『ローレット』の情報屋は若干同情の面持ちで迎え入れた。
「件の夜妖の討伐は確認された。あの後練達での魔法少女ブームも下火になってきたみたいだし、暫くはお役御免というところだ」
「アレをもう一度は御免よぉ……?」
「ところが、そうは言ってられないらしい」
 死んだ眼のコルネリアが「は?」と返すよりも早く、情報屋が取り出したるは『何冊か』の薄い本。
「仔細は分からんが、今回貴様らの魔法少女としての働きを知った何某かが、それを元にした同人誌を発行しているみたいでな。
 次の魔法少女ブームが来たら是非とも貴様らにと――おい待て凶器持って外へ走り出そうとするな。カルウェット捕まえてくれ」
「コルネリア! ボク、一緒行く! 二人でまた魔法少女、する!」
「何としてでも阻止してやるウウウァァァ!?」
『ローレット』を飛び出して練達に向かおうとする二人の魔法少女。
 その先には未だ多くの困難が待ち受けているであろうが、彼女らならきっとそれを乗り越えてくれるであろう。
 戦え、魔法少女ルルゥー! そして魔法少女コルネ★アリア!
 悪の魔法少女の名を、この世界中に轟かせるのだ!



 ……と言う終わり方で納得してほしいと切に願う。

  • 練達に羽ばたけ、二人の魔法少女!完了
  • GM名田辺正彦
  • 種別SS
  • 納品日2022年08月05日
  • ・カルウェット コーラス(p3p008549
    ・コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315

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