ＳＳ詳細
『蛇★巫★子 デュエルバスターズ』第128話 次回予告
登場人物一覧
- アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
耐えろ！
この頭を苛む痛みは原罪の呼び声か、あるいは敵の呪いのせいか
何であろうと、気をしっかり持てアーマデル
ここで俺が倒れたら、カジキマグロの群れと交戦中の弾正はどうなってしまうんだ？！
疾風の様に駆け、穿て蛇銃剣アルファルド！愛しい人が生臭くなる前に！
次回『クーラーでお腹冷やした』。バトルスタンバイ！
おまけSS『同人誌『帰宅部の俺が乙女ゲームの悪役令嬢に転生した件』』
●
俺の名前はアーマデル・アル・アマル（p3p008599）。練達の希望ヶ浜学園に通う、ごくごく普通の学生ーーの、はずだった。
「低身長童顔男子！」
「危ない、冒険的な( ・◡・*)！」
あの日、路上に飛び出した『冒険的な( ・◡・*)』を追いかけて、黒塗りのトラックに轢かれるまではーー
「……様、お嬢様。どうかされましたか？」
「何でもない。少しぼーっとしていただけだ……だけですわ」
お付きの爺やに声をかけられ、はっと我に返る。事故にあった後の記憶はあやふやだが、どういう訳か俺は『乙女ゲーム』の悪役令嬢とやらに転生してしまったらしい。
この状況を打破するにはきっと、ヒロインが攻略対象のキャラとくっつくよう上手い事やればいいに違いない。安心してくれ、俺は詳しいんだ。
（だとしても、ヒロインと攻略対象はどこにいるんだ？）
「ときに爺や。俺……ではなかった。私のまわりに、何か虐げ甲斐がありそうな如何にもヒロインっぽい奴はいたりしないだろうか？」
「唐突に性格悪そうな事を言い出しましたな、お嬢様」
「悪役令嬢とはそういうものらしいからな」
「左様でございますか。"如何にもヒロインっぽい奴"がどのような方か心当たりはございませんが、本日はこの後、ご学友の皆様とお茶会の予定が入っております」
（なるほど、そこに参加すれば何か解るかもしれないな）
「早めに現地へ向かおう。それにしても……」
目を細めて、自分の姿を鏡越しに見つめてみる。いつも通りの褐色肌と黒髪。顔立ちも性別も変わった様子はないのだが、ボリューミーな縦ロールの髪のせいで頭が重い。
加えて服装も着慣れていないフリルばっさばさの派手なドレスだ。こんな姿でうろうろしていて襲撃されたら、どうやって戦えばいいのだろう。
「爺や、もう少し身軽になれる服装はないのか？」
「新衣装の解放にはヒロインとの好感度が10以上必要です」
「急にシステマティックな返しをしないでくれ。ビックリするから」
申し訳ございません、と恭しく一礼をして詫びる爺や。その横を通り過ぎ、アーマデルは茶会に向かう。
(人の心は複雑で、理解しきれない所も多い。ただ、好きな人を思って胸を焦がす感覚を、俺は知っている)
――独占したいとは言わないぞ。
――俺は二番目でも三番目でも平気だぞ。
つぶやいた時に、胸の奥がきゅっとする。けれどその痛みが増すだけ、愛おしい人の優しさが身体に染み渡るのを感じられたから。
(必ずハッピーエンドへ導いてみせよう、ヒロイン殿。そうして俺も、大好きな人のいる世界に帰るんだ)
決意は固く、こころざしも高く。
……お茶会の会場で、無理矢理着せられたような残念なドレス姿の