PandoraPartyProject

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睡眠時間と作業効率の臨地実験による実態調査

登場人物一覧

枢木 華鈴(p3p003336)
ゆるっと狐姫
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル

レポート。
 極限時における心理実験。
 睡眠時間と作業効率の臨地実験による実態調査。
 
 モニターに映る被検体を見つめながらキーボードの上を指先が走る。
 
 少女(?)たちが被験体として連れてこられたその白い四角い部屋のモニターには48:00:00と数字が表示されていた。
 「ぬぬ、ドアがあかないのじゃ! というか、ここは何処じゃ」
 「わかんない……誰かのお部屋なのかな? ……だから甘い話には裏があるっていったんだよ?」
 
 ことの発端は枢木 華鈴 (p3p003336)が練達で募集されていた一つの依頼を受けてきたことから始まる。
 「とある部屋で48時間過ごしてほしい」
 空調完備、暇つぶしの雑誌、玩具あり、飲食物あり、トイレ、風呂もあり。
 ただし、睡眠してはならない。
「2日くらいの徹夜など余裕なのじゃ! ふむ。多人数でもかまわぬとな? こんな楽で面白そうな依頼、結乃も呼んで参加するかのぅ」

 練達の依頼窓口の青年に依頼受理を伝えれば、華鈴と桜坂 結乃 (p3p004256)にガスが吹き付けられた。
「な、なんじゃ?」
 遅いくる強烈な睡魔。
 二人は為すすべもなくその場に倒れ伏す。
 
 そして気づいたら今、というわけだ。
 モニターの数字はカウントダウンはされているものの、心理的理由ゆえかなんともゆっくりに思える。
 ドアは何をしても開かない。
「しかたないよ、ボクたちは依頼を受けちゃったんだから。
  えっと、何をしててもいい、のこり――47時間50分の間寝なかったらいいだけだよね?」
「まあよいわ、おもちゃもたっぷりじゃしの。おやつもいっぱいじゃ、48時間程度飽きることはないじゃろう」
 華鈴は呵呵と笑う。結乃も手元にあったぬいぐるみを抱きしめ、そうだよねと呟いた。
 まずはお茶と、結乃は備え付けのキッチンにあるケトルでお湯を沸かすことにした。
 紅茶の銘柄もそれなりに揃っている。
「おお、あめにてぃも完備じゃぞ! バスタオルふっかふかじゃ~」
 早速探検をはじめた華鈴はバスルームから結乃に声をかけた。
「長丁場になるから、はしゃがないほうがいいとおもうよ」
「わかっておる、まずは敵情視察は基本じゃぞ」
「そうなのかなあ」
 
 48:30:30
 カップに紅いお茶が注がれる。
 クッキーとビスケットにチョコレイトにケーキ。スナック菓子をならべたら、ちょっとしたお茶会。
 お茶会が嫌いな女子(?)なんているわけがない。
 テレビゲームを立ち上げて二人は対戦ゲームを始める。
 テレビゲームにテーブルゲーム。遊ぶものはたくさんあるのだ。
 開きたらすぐに違うもので遊べばきっと寝る暇なんてないのだから。
 
 45:10:56
 「次はこれであそぶとするかの」
 「すごろく? じゃあ場所を作るね」
 お菓子で占領されたその場所を結乃が片付けて広く場所をとる。
「ふむふむめざせトップインフルエンサー。えすえぬえすを利用して、いんふるえんさーカードを得てフォロアーをあつめていいねを取得しよう?
 最近のすごろくはハイカラじゃのう」
「とにかくはじめよう。おもしろそうだよ」
「そうじゃの、よし、さいをふろう。ルビコンの川を超えるぞ」
「もう、おねーちゃんおおげさ。えっと、わりと戦略性があるみたいだね。いちに、さん、し
 ……つぶやきえりあのカードをひくんだね。やった! フォロアーカード」
「おおう、さっそくとな。まだじゃ、まだこれからじゃ!」
「うーん、つぶやきかふぉとじぇにっくか……えい、ふぉとじぇにっくにしよ、あ、虹カード」
「ぐぬぬ、こっちはスティールカード、虹を奪うのじゃーー」
「うわ~~、おねーちゃんひどい」
「くふふ、勝負とは非常なものなのじゃ……え? スティール返し? ちょっとまつのじゃ」
「おねーちゃん、勝負は非常なんでしょう?」
「うう、わらわのか~ど~~~~」

 42:24:20
「はわわ~~きつねさんかわいいのじゃ~~」
「ボクはおねーちゃんのほうが可愛いとおもうけど?」
「ん? なんかいったかの?」
「ん~ん。かわいいよね。あ、わんちゃんがころがってるよ」
「はわ~~~しぬ、かわいしぬ。わらわもうかわい死してしまうのじゃ~~」
「んもう、だめだよ~しんじゃ」
「まあ結乃がおるからの。わらわはまだまだ死ねんの」
「ふふ、おねーちゃんったら」
「ほらにゃーにゃが手をあわせておるぞ」
「「か~~わ~~~い~~~い~~」」

 39:44:22
「うまいうまい棒はどんな味が好きかの?」
「う~ん、サラダ味かな?」
「なんと! サラミ味の良さがわからんとな?」
「サラミも美味しいけどやっぱり基本はサラダかなって……」
「このうらぎりもの~~、うまいうまい棒でボコボコにしてやるのじゃ~」
「食べ物であそんじゃだめだよ、おねーちゃん」

 36:12:30
「…………」

「………! いかんいかん、寝てしまっては…」
 話疲れてゲームも疲れて、お腹もお菓子でいっぱいに。
 まずは最初の難関がやってくる。
 口数もすくなくなって、ふわふわとしてきた華鈴がはたと気づきすでに夢の中にダイブしていそうな結乃の顔に気づき肩を揺らす。
「ゆ、結乃、起きるのじゃ!」
 お人形さんはゆらゆら揺れる。
 ゆらゆらゆれて、はたと気づく。この依頼では睡眠してはいけない。
「……はっ。おねーちゃん!ボク寝ちゃってた?」
「セーフ! セーフじゃぞ! わらわたち寝てないから!」
 何処へともなく華鈴は大声で叫ぶ。
 叫んだおかげですこし眠気はさった。まだまだ12時間――1/4が過ぎたところなのだ。
 
 彼女らはその後もいろいろと工夫をする。
 走ってみたり、大声をだしてみたり。
「おねーちゃん。冷蔵庫にみんみんだっはがあったよ」
「それじゃ! うぶぶ、苦い、まじゅいのじゃ」
「コーヒーものむ?」
「ふふん、結乃、コーヒーより紅茶のほうがカフェインが多く含まれておるのじゃ」
「へぇ~そうなんだ。じゃあ濃い目にだすね。ミルクは……」
「もちろんだめじゃ!」
 
「結乃よ、(多分)夜中遅くに食べるらあめんは罪の味じゃの」
「とんこつだからなんだか罪が重くなってるきがするよ」
「うむ、さもありなん」
「おねーちゃん罪の味って美味しいんだね~」
「うむ、さもさも」
「おねーちゃん、だめだよ! 食べながら寝ちゃ!」
「はっ?! わらわねてたかの?」
「ちょっとだけ!」
「だめじゃー、寝てないのじゃーーー!」
「冷たいお水で顔を洗うのは?」
「それじゃ、一緒にシャワーをあびるぞ~」
「えええっ!?」

 うと、うと、うと。
 いろいろ工夫をこらして時間を過ごす。
 しかし時間はなかなか進まない。一分間がまるで一時間のように感じる。
 もちろん楽しくないわけではない。けれどそれも限りがあるということだ。
 うとうとしては起きる。起きてはうとうとするの繰り返し。
 うつつとゆめのゆききが続く。
 
 それでも時間は確実に前にすすむのだ。
 
 三度目のカードゲームでは華鈴が勝てた。
 結乃が半分寝てたからという理由もあるけれど。戦略がまとまらないねむい。

「はぶっ、結乃。おまえ塩と砂糖をまちがえてるのじゃぞ!」
「うえぇ? 本当に? あうっ、ごめんね、おねーちゃん」
 ゆめみうつつの結乃はぼーっとしていて紅茶に入れる砂糖と塩を間違える。
「少し目がさめたのう。ではもうひと勝負いくかの?」
「うん、次はまけないよ……くぅくぅ」
「だから寝るななのじゃー」
 限界は近い。
 けれどもタイミリミットは後三時間だ。
 されど三時間。
「このままじゃ出れなくなってしまうのじゃぞ~~~」
「すや……はっ!」
「結乃、辛いかの?」
 うつらうつらとしてはくしくしを目をこする結乃に華鈴は声をかける。自分とてもう限界は近い。
 近いけれどおねーちゃんとしての矜持は守らねばならない。
「おねーちゃんはねむくないの?」
 舌っ足らずにといかける結乃が愛おしくて華鈴はくすりと笑う。
「眠くないと言えば嘘になるのじゃが……もうちょっとくらいは大丈夫なのじゃ」
「のこり三時間、ボクも頑張る」
 船を漕ぎながらもガッツポーズをとる結乃は愛らしくて。
 ついつい、華鈴はその頭を撫でる。
 結乃はくすぐったそうに体を震わして、そして――。眠りにつく。
「しかたがない妹分じゃの」
 華鈴もまた――。
 結乃をなでるうちにうつらうつらとしてくる。
 だめだというのに、でも。自分の胸で寝息を立てる少女が可愛らしくてしかたなくて。
「しかたない……の」
 う、と思った頃には華鈴もまた寝息を立て始めてしまったのだ。
 
 シュン、と音をたてて、白い部屋のドアが開く。
「ふむ。二人の場合での臨床データはとれましたね」
 練達の係員が開いたドアの向こうからダブレットをタップしてデータを打ち込む。
「お疲れ様でした。良いデータを得ることができました。ごゆっくり」
 あくまでこれは『48時間起きていないと出れない部屋』という極限状態における被検体の反応データをとるための臨床実験だ。
 起きていようが寝ていようが時間の経過でドアは開くようになっていたのだ。
 二人で抱き合って何度も寝ることを我慢した少女たちは気持ちよさそうに寝息をたてている。
 あまりにも幸せそうに寝ているので、係員は終了を記すメモを残してその場を去ることにした。

  • 睡眠時間と作業効率の臨地実験による実態調査完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別SS
  • 難易度
  • 冒険終了日時2019年10月04日 21時55分
  • 登場人物2人

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