SS詳細
冷たくも暖かく、或いはその逆さまに。
登場人物一覧
名前:ニネット゠ヴィルレ
種族:スカイウェザー
性別:女性
外見年齢:20代後半
一人称:私
二人称:呼び捨て/(茶化す時)~くん、~ちゃん
口調:~よ、~だわ、~なの、~かしら?
特徴:今様色の髪、紫色の瞳、妖艶、気まぐれ、根は真面目
設定:
チックが嘗て属した一族『渡り鳥』の一人。担う魔術媒体は月長石(ムーンストーン)の装飾が施された銃。
『渡り鳥』の一族は宝石、或いはそれを利用した装飾を介しての魔術に長けた者が殆どである中、ニネットは珍しくも魔術に関する才能が極めて乏しかった。
周囲の人間はそれに対して差別の視線を向けることもあったが、そうした者たちに対して彼女は鍛え上げた『技術』を以て補完することで、その視線を撥ね退けることに成功した。
――それ即ち、使い捨ての弾丸に込めた術式と銃身に施した宝飾魔術による『重ね掛け』である。
現在ではその独特の魔術式を操る彼女の攻性魔術と回復魔術は、一族の中でも比類する者が極めて少ないとすら言われている。
人間種たちに対する態度を三派に分けた『渡り鳥』の中で、ニネットは現在中立派の一員として活動を続けている。
ニネットはそのスタンスの重きを他者へと向けており、上述の「活動」も主たるものは身寄りのない人々に対する慈善活動となっている。
その在り方に加え、彼女自身も他者の好意を惹きつけ易い性質をしていることもあって、彼女に対する人気は極めて高い。
美しくも近づきがたい魅力を放つ高嶺の花ではなく、傍らの人に寄り添い、元気づけるかのような野花のような存在。
周囲が彼女に抱く感情は、正しくそう言ったものに対するそれである。
時としていい加減なところもあり、自身の本心をのらりくらりとした態度で見せない彼女の本性は、慈愛と冷静さの両立と言うのがぴたりと当て嵌まる。
先に語ったように、慈善活動を行うニネット自身の他者に向ける慈しみは確かに本心からのものであろう。
が、その優しさだけを抱くばかりでは、何れ心無い人に利用されることも有るのだと言うことを、彼女は過去の経験――『渡り鳥』が人間種に欺かれ、その多くを殺された過去から理解している。
現在に於いては慈善活動を行う団体のリーダーすら務め上げている彼女が、しかし個々人に対して胸中を明らかにしない理由もそこに在る。
……その愛情ゆえに、心を許さないことを覚えた彼女の来歴に、憐みを抱く者はどれほどいるだろうか。
おまけSS
中立派に属する彼女が行う慈善活動には、当然のことながら人間種もその範疇に含まれている。
それは、ともすれば中立派ではなく、人間種との融和を目指す肯定派の在り方ではないかと言う者も居る。
それに対して彼女が、アカエリヒレアシシギの女性が返す答えは、極めてシンプルなものだった。
――「困ってる人と、それを助ける人。其処に人種なんて関係ないでしょ?」――
過去に『渡り鳥』が人間種たちに追われた際、生き延びながらも仲間からはぐれた彼女は、しかしとある小村の住民に助けられた経歴を持つ。
それが、現在彼女が行う活動の理由。
「尊敬する人たち」と同じ行為に身を窶す。それが彼女の選んだ生き方なのだ。