PandoraPartyProject

SS詳細

喪い、得て、奪われ、そして今。

登場人物一覧

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠

名前:志斎 緋彩(しさい ひいろ)

種族:スカイウェザー

性別:女性

外見年齢:20代前半

一人称:私(わたくし)

二人称:~様

口調:~です、~ます、~でしょうか?

特徴:白染まりの黒髪、緋色の瞳、和装、おおらか、不安定

設定:
 チックが嘗て属した一族『渡り鳥』の一人。担う魔術媒体は橄欖石(ペリドット)の装飾が施された髪留め。
 付与や支援、攻性魔術に長けた者が多い中で、彼女は珍しくも状態異常を主とする妨害術式と、植物を傀儡とした様々な異能を使う。これは天性の才能ではなく、後述する事件から後に、血のにじむような研鑽を経て彼女が獲得した能力である。

『渡り鳥』は人間種に襲われたことで多くの同族を失った過去を持つ。
 その後生き残った彼らは人間種に対するスタンスから三派に別たれており、緋色はその中で人間種たちを敵視する否定派へ属している。
 ――件の襲撃によって、彼女は大切な者を喪った。
 それは彼女の夫である。緋彩は病死や事故死等、親族との離別を幾度も強いられてきたために、自らの『家族』に対する執着を人並み以上に抱いていた。
 それゆえ良人と結ばれた彼女は、喪失ばかりの人生に於いて初めて得られたものを愛し、慈しみ、己の生涯を捧げようと誓ったのだ。
 ……それすら奪った運命に対して、彼女の慟哭は、憤怒はどれほどのものであっただろうか。

 憎悪は、ともすればこのマナヅルの女性に『呼び声』へ応える可能性すら寄越したが、現在の彼女はそれを拒否し、あくまで純種としての理性の範囲での復讐を人間種たちに企てている。
 魔種への転化を選ばない理由は単純だ。「純種全てに害為す存在」であるそれらへと変じることは、ともすれば彼女の同族である『渡り鳥』達にすら牙を向ける可能性が在るため。
 ――関わりが薄くとも。彼女にとって生まれを同じくする彼らもまた、一種の『家族』の範疇に居るのだから。

 現在、緋彩は否定派の面々以外の交流を断ち、その住まいを豊穣へと移している。
 今の時点で彼女が名乗っているこの名前も、その土地に合わせた偽名だ。本名をグルス=ノーディンと言う彼女が、しかし今後その名を名乗る可能性は限りなく低い。
 亡き夫の姓を未だに借りる彼女がその本名を名乗ることは、即ち愛する人を奪われた過去を思い出さなければならないのと同義なのだから。

  • 喪い、得て、奪われ、そして今。完了
  • GM名田辺正彦
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年04月19日
  • ・チック・シュテル(p3p000932
    ※ おまけSS付き

おまけSS

 否定派の長であるフィン・シルヴェスタは、緋彩のことを比較的気にかけている。
 それは男女間の感情などとは違い――彼女もまた、自身と同様に『呼び声』に惹かれている存在であるという共通点ゆえだ。
 尤も、それを拒み続ける理由はそれぞれ異なる。フィンは「既に亡き人のため」に純種であることを選び、緋彩は「今生きている人たちのため」に魔種となることを拒む。

 ……しかし、それに何時まで耐えられるのかを、双方も危ぶんでいる。
 自分たちが如何に人間種たちを拒み、距離を取ろうが、この世界における彼ら種族の数は多く、関わらないことをこの世界自体が許さない。
 時として話す彼らを、触れ合う彼らを、己の憎しみゆえに手にかけない保証など無く、それと同じくらい自らが堕ちないという保証も無い。
 ――だからこそ、フィンと緋彩は小さな約束を交わしている。
「若し一方が魔種となったのならば、他方がその命を絶つ」と言う、悲しくも優しい約束を。

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