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シャルティエ・ペロー。或いは、ある不幸な少女の幸福な今…。

登場人物一覧

ジゼル・ベグラーベン(p3p010507)
特異運命座標
ジゼル・ベグラーベンの関係者
→ イラスト

名前:シャルティエ・ペロー
種族:嫉妬の魔種/猫の獣種
性別:女性
外見年齢:10代後半
一人称:シャルル
二人称:お前
口調:だね、だよ、だよね?
性格:わがまま、不安定
詳細:
一番古い彼女の記憶は身悶えもできぬほどの“強い痛み”であった。
熱に浮かされ、激痛に震え、赤く腫れた頬に涙が染みていた。
嗚咽を零した彼女の顔に「黙れ」のひと言と共に父の拳が振り下ろされる。
それから「捨ててきたら?」という母の声がした。

彼女は鋭い爪を備えて生まれてきた。
両腕の手首から先は皮膚が黒く、硬質化していたのだ。
涙を拭うために顔に手を触れた拍子に、彼女の顔面には深い裂傷が刻まれた。
痛いと泣いて、血塗れの顔で悶える彼女を両親は指差して笑う。
その日から、彼女は日々の暴力に加え自傷を義務付けられることになる。
そんな日々が、一体どれだけ続いただろう。
ある日、彼女は手を繋いで歩く親子の姿を目にした。
母と娘だろうか。どちらも笑顔で、幸せそうだ。
その日、彼女は数年ぶりに声を張り上げ泣き喚いた。
親を自称する男女から何度殴られても、蹴られても、声が枯れても、意識を失うほどの痛みを感じながらも、彼女は泣いた。否、それはもはや咆吼と呼ぶに相応しい。
そして、その日、彼女は生まれた。
抑えきれぬ嫉妬と共に張り上げた咆吼こそが、真なる彼女の産声であった。

2度目の生の最初の記憶は、部屋を濡らす夥しい量の血液と、肉塊になった男女の遺体。
自由になった、とそう確信を得たシャルティエは生まれて初めて外に出た。
それからふと、昼間に見かけた幸せそうな親子の顔を思い出す。
その瞬間、彼女は体中が痒くなる感覚に襲われた。
否、痒いのは血だ。血管のうちを無数の蛆に這い回られているような、不快な痒みがシャルティエを襲う。

幸せそうな親子を切り裂くことで、痒みが収まることをしったのはそれから暫く経ってからのことだった。
以来シャルティエは幸せそうな家族連れを見かけては、気紛れにそれを襲って殺める毎日を送っている。
血と臓物の臭いは爪に染みついて、けれど彼女は幸せだった。
だが、しかし……ある日、シャルティエは見つけてしまった。
かつて自分が襲った少女が、今も幸せそうに暮らしている様を。
それを知って、シャルティエは久方ぶりに堪えきれない血の痒みを感じた。
血の痒みを消し去るためには、再び少女の幸福をこの手で裂かねばならないと。
本能的にシャルティエはそう理解した。

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