PandoraPartyProject

SS詳細

縁が別たれぬように

登場人物一覧

ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣

●Profile
 慶織寿大学インタビュー企画協力者。

 学年:3年
 所属:文学部 民族歴史文化探求科
 (本人は専らの理系であるが、大学受験のために文系に転向した)
 名前:ヴェルグリーズ・ナーリィ
 家族構成は両親と三人の弟妹達。それぞれに血縁はなく、孤児達で構成されている。

 ヴェルグリーズ・ナーリィは慶織寿大学に所属する学生である。
 入学動悸は実習調査に重きを置いた講義に魅力を感じたから。
 アクティブに活動し勉強しようと考えていた彼にとっては魅力的な条件だったのだろう。入学以降の実習や実験的調査にも嬉々と参加していることから、意欲的な学習が見られる学生の一人だと言えるだろう。
 人当たりもよく物腰柔らかな受け答えは先輩後輩問わず信頼を置かれる要因である。壁とまでは言わないがある程度の線引を無自覚に行うところが見られるため、時折泣きながら走り去る女性を見かけることもある。これらの対応はヴェルグリーズがそもそも恋愛に興味がないこと、また以前とりあえず全部OKしていたら不倫になりかけた為に自制の意味も込めている。これを話したとき友人の一人は紅茶を吹き「ヴェルグリーズにはまだ早かったな」とからかい半分に笑っていた。
 また、時折放浪癖が災いして音信不通になることもしばしば。神出鬼没なため時折人外説が囁かれるが彼は人間である。


 春麗らかな日はまずうんと伸びをして、空の青さを噛みしめる。
 三年目の一人暮らしともなれば流石に自炊だってお手の物。最初こそ慣れなかったけれど、今は何とかなっている。そんな現状。
 高くはないけど安くもない三年目の相棒のフライパンに卵とベーコンを落とし、仲良しの後輩の店で買った食パン一斤を二枚ほど切って用意して焼いて。それから、薄く切った玉ねぎととうもろこし缶を入れただけのコンソメスープなんかがあれば、上々の朝食だ。
 毎日というほど毎日ではないけれど、用意するのが楽なのでだいたいこれを食べている。なんて告げれば、友人は「もうっ、ヴェルグリーズったら心配だわ。ねぇ、レン!」、「でもティア、ヴェルグリーズがわざわざ料理を熱心にするとも思えないんだけど」ともはや諦めきった様子で肩をすくめるばかり。
「いつまでも、ロイくんがパンを値切ってくれるなんて、思っちゃいけないんです、よ?」
「そ、そんな……僕は気にしてないよ、フェルム」
「でも。それじゃあ、センパイのためにならない……」
「ほうら! フェルムもこう言ってるのよ!」
「う、うーん……要検討、かな」
「もーっ、そうやってはぐらかして! 仕方ないわね、ここはわたしがオススメのごはん処を教えるところから……」
「……ティア、そろそろ講義が始まるよ。行こうか!」
「えっ、ちょっと、話はまだ終わってないんだからね! レン、レン、ねえってば――」
 偏食大食いなユースティティアが勧める店は、おそらくヴェルグリーズが食べている量を軽く上回る量の店だろう。あと激辛が三割。これはいけないとレンセットが回収して、それぞれ講義の部屋へと向かう。

 ありふれた青春。
 ありふれた友人。
 あり得たかもしれない世界線。
 叶わなかった結末。

(……心配してほしくないし、やっぱり見直さないとな)
 いい友人たちを持ったものだ。なんて、笑みが溢れた。

 ◇

 民族歴史文化探求科という大層な名前ではあるもののやることは一般的な科と対して代わりはしない。授業内容が科に沿ったものであることは勿論だが、特に個性的なものがあるかと言われれば否である。高校範囲の深堀りであったり、逆に何処にあるんだ聞いたこと無いぞそんな民族、と言われるであろう少数部族の生活や文化、言語の発展を学んだり、といった想像の範疇を越えないものばかりで、実習をするときのみが一番の目玉ではなかろうか。まぁ、しばらく実習はないのだけれど。
 ヴェルグリーズはだいたい講義を午前に詰めて、午後はフリーにしておきたいタイプだ。ふらふらと歩いて、そこに暮らす人や生き物の写真を撮るのも目的ではあるけど、多くはスターフロントコーヒーというカフェでバイトをしているため、アルバイトの時間を確保するためである。
「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いしま「お次のお客サマ、こちらへどうぞ!」……お伺いします」
 クソデカ大声で対抗意識を出してくるのはバイト先の同期、フィアンマ。バイトの無い日ですら彼に絡まれ見知らぬところへ連れて行かれることも多々あるのだが、それはそれで楽しいので良しとする。

 代わり映えのない日常と、鮮やかな友人たち。その声、人柄、紡いだ縁と物語。
 彼らが暮らしてきた故郷はどんなところなのか。
 彼らの祖先はどのような文化を築いたのか。
 知りたいし、触れて、見て、感じたい。
 だからヴェルグリーズは今日も学ぶ。この世界をもっともっと、知る為に。

  • 縁が別たれぬように完了
  • NM名
  • 種別SS
  • 納品日2022年04月01日
  • ・ヴェルグリーズ(p3p008566
    ※ おまけSS『友達。』付き

おまけSS『友達。』

・ユースティティア・ロンド
「ヴェルグリーズ、今日はラーメンの日よ! 三人で一緒にいきましょ!」
 学年:4年
 所属:栄養学部 実践栄養学科

 華奢な女性。
 後述するレンセット・ロンドと交際している。
 彼女は非常に大食漢であり、また健啖家でもある。
 好物は肉であり、特に牛の肉が大好き。あと辛党。
 健康維持のために栄養学部を志し、将来的には大衆食堂を開くのが夢。
 後輩であるヴェルグリーズはレンセットとの交際を始める切っ掛けとなってくれたこともあり非常に好意的。
 また、同様に後輩であるフェルムは実の妹のように可愛がっているようで、レンセットと居ない場合は彼女のところにいる。

・レンセット・ロンド
「やぁヴェルグリーズ。ティアがお世話になったようだね」
 学年:4年
 所属:医学部 人間健康科学科

 理知的な男性。
 前述の通りユースティティア・ロンドと交際をしている。彼女をとられたくないが為に入籍した。
 ユースティティアが非常に身体が弱いことから、彼女が倒れても自分が主治医になれるようにと、やや独占欲じみた理由で医者を志すように。
 地頭がいいので苦労していないようだ。
 後輩であるヴェルグリーズはユースティティアとの交際を始める切っ掛けとなってくれたこともあり非常に好意的ではあるが、ユースティティアの距離感が非常にバグっているためにやや警戒しているようである。
 また、同様に後輩であるフェルムは実の妹のように可愛がっている。彼女の勉強面のサポートをつとめ、非常に協力的である。

・フェルム・ソミニア
「センパイ……あの。ぼく、センパイに、おれい、したくて」
 学年:1年
 所属:工学部 建築デザイン学科

 人見知りな少女。
 両親は既に他界しており、家族が帰る場所をより良く素敵なものにしたいと願い建築に携わることに。
 親戚に手助けしてもらいながらなんとか上京し、偶然か必然かロンドカップルのお隣さんになった。
 先輩に当たるヴェルグリーズは遠縁の親戚にあたり、何かと面倒を見てもらっているようである。
 また、同様に先輩に当たるロイは同学科でもあることから話を聞くことも多いのだとか。

・ロイ・バカラリ
「先輩。また来てくれたんですね」
 学年:2年
 所属:工学部 建築デザイン学科

 穏やかな青年。
 実家はパン屋を営んでおり、ヴェルグリーズとも其処で知り合った。
 他校に交際をしている恋人がいる。
 将来的には実家のパン屋を大きくしたいのだとか。

・フィアンマ・メルト
「客が帰ったら付き合え、いいな!」
 学年:3年(他校)
 所属:教育学部 保健体育専攻

 気性の荒い青年。
 暑苦しくうるさい。声がでかい。
 ヴェルグリーズとは高校も違うのだが部活動で大会成績を負けたことを気にしており、バイト先をわざわざかぶせて張り合っている。
 性格はクズなためよく顔面に平手打ちされた痕をつけてくる。

PAGETOPPAGEBOTTOM